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謝罪
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「国の者ではないというのは死んでいるからだったんですね」
「回復は可能だろう、私の籍にしてもいいが、サリスが結婚するなら別の養子の方がいいか」
「伯父上はアズラインなんて聞きたくないですよね」
「ああ、忌々しい!」
「ただ、あの調子では難しいかと思います」
「ああ、そうだな。ラズリーも娘が見付かったなんてこんな嬉しい話は無いだろうが、正直、ミルシュア嬢がラズリーにとって良き環境を与える相手とは思えない。不安定な時期でもあるんだ」
申し訳ないが、ラズリーは現在三十六歳で妊娠中のため、負担を掛けたくない。
「分かっています」
「でも私が力になることは協力する」
「ありがとうございます。何とか口説いてみます」
「ああ、その意気だ」
サリスは公務の合間の時間に、次の傭兵の仕事までグランド王国にいるミルシュアの宿屋に会いに行くも、追い返される日々が続いた。
「ラズリー様の娘だとは思わなかった」
「ははははは、止めてよ、人殺しの名前なんて聞きたくないわ」
「確かに君にとっては不幸なことだったかもしれないが、伯父上は君たちを引き取るつもりだったんだ」
「頼んでないのに?」
弟に会えば違うのではないかと、カインドールに許可を得て、緩和剤として甥である二歳のミリナードを連れて、ミルシュアに会いに行った。
「あなたが、おねえさま?」
「誰だ?」
「ミルシュアの弟のミリナードだよ」
「へえ?」
「ミリナードです。よろしくおねがいします」
「よろしくしなくていいですよ。私は近い内にこの世からいなくなる身ですから、忘れてください」
「っ!!」
「びょうきなのですか」
「ええ、酷くて悪い病で、もう助かりませんの。ゴッホゴッホ」
わざとらしく咳き込んでいるが、ミリナードは本当に心配して、足踏みしながら、走り出そうとしている。
「ぼくがおいしゃさまをよんでくるよ」
「いいえ、もう治りませんから、お医者様は要りませんのよ。お医者様の力は下賤な私よりも、尊きあなたのような方に使われてください」
「おねえさまなのに?」
「ええ、いくら血が繋がっていても、あなたと私は違うのです。お会いしてすぐにお別れで、ごめんなさいね。お元気でね」
「もうすぐおとうとかいもうともうまれるんだよ?」
「へえ、それは良かったですね」
今日はもう休みますというミルシュアに、ミリナードはその方がいいと乗せられてしまい、結局サリスも一緒に帰ることになってしまった。ミリナードはすぐに父親にミルシュアのことを話した。
「おとうさま、おねえさまはごびょうきだって。どうして?」
「彼女がそう言ったのか」
「びょうきだからもうおわかれだって、なおせるおいしゃさまをさがして」
「ああ、そうだな。探してみるよ」
「ぜったいだよ?」
「ああ、任せなさい」
カインドールは一人でミルシュアに会いに行った。ミルシュアは代わる代わるやって来る王族に嫌気がさしていた。
「申し訳なかった、辛い目に遭わせたのは私の責任だ。恨まれて当然だ。償いになるなら、何でもする」
「本当ですか!」
「ああ、何でも言ってくれ」
「では、殺して貰えませんか?」
「それは出来ないと言ったはずだ」
「竜人は役に立たないのですね、ならもう結構です」
心底呆れた顔をして、情けないという表情を崩すこともない。
「回復は可能だろう、私の籍にしてもいいが、サリスが結婚するなら別の養子の方がいいか」
「伯父上はアズラインなんて聞きたくないですよね」
「ああ、忌々しい!」
「ただ、あの調子では難しいかと思います」
「ああ、そうだな。ラズリーも娘が見付かったなんてこんな嬉しい話は無いだろうが、正直、ミルシュア嬢がラズリーにとって良き環境を与える相手とは思えない。不安定な時期でもあるんだ」
申し訳ないが、ラズリーは現在三十六歳で妊娠中のため、負担を掛けたくない。
「分かっています」
「でも私が力になることは協力する」
「ありがとうございます。何とか口説いてみます」
「ああ、その意気だ」
サリスは公務の合間の時間に、次の傭兵の仕事までグランド王国にいるミルシュアの宿屋に会いに行くも、追い返される日々が続いた。
「ラズリー様の娘だとは思わなかった」
「ははははは、止めてよ、人殺しの名前なんて聞きたくないわ」
「確かに君にとっては不幸なことだったかもしれないが、伯父上は君たちを引き取るつもりだったんだ」
「頼んでないのに?」
弟に会えば違うのではないかと、カインドールに許可を得て、緩和剤として甥である二歳のミリナードを連れて、ミルシュアに会いに行った。
「あなたが、おねえさま?」
「誰だ?」
「ミルシュアの弟のミリナードだよ」
「へえ?」
「ミリナードです。よろしくおねがいします」
「よろしくしなくていいですよ。私は近い内にこの世からいなくなる身ですから、忘れてください」
「っ!!」
「びょうきなのですか」
「ええ、酷くて悪い病で、もう助かりませんの。ゴッホゴッホ」
わざとらしく咳き込んでいるが、ミリナードは本当に心配して、足踏みしながら、走り出そうとしている。
「ぼくがおいしゃさまをよんでくるよ」
「いいえ、もう治りませんから、お医者様は要りませんのよ。お医者様の力は下賤な私よりも、尊きあなたのような方に使われてください」
「おねえさまなのに?」
「ええ、いくら血が繋がっていても、あなたと私は違うのです。お会いしてすぐにお別れで、ごめんなさいね。お元気でね」
「もうすぐおとうとかいもうともうまれるんだよ?」
「へえ、それは良かったですね」
今日はもう休みますというミルシュアに、ミリナードはその方がいいと乗せられてしまい、結局サリスも一緒に帰ることになってしまった。ミリナードはすぐに父親にミルシュアのことを話した。
「おとうさま、おねえさまはごびょうきだって。どうして?」
「彼女がそう言ったのか」
「びょうきだからもうおわかれだって、なおせるおいしゃさまをさがして」
「ああ、そうだな。探してみるよ」
「ぜったいだよ?」
「ああ、任せなさい」
カインドールは一人でミルシュアに会いに行った。ミルシュアは代わる代わるやって来る王族に嫌気がさしていた。
「申し訳なかった、辛い目に遭わせたのは私の責任だ。恨まれて当然だ。償いになるなら、何でもする」
「本当ですか!」
「ああ、何でも言ってくれ」
「では、殺して貰えませんか?」
「それは出来ないと言ったはずだ」
「竜人は役に立たないのですね、ならもう結構です」
心底呆れた顔をして、情けないという表情を崩すこともない。
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