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母親
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「どうして死にたいなどと」
「理由が無くてはなりませんか?理由など無くとも殺されて、死ぬ人間はおりますのよ?尊い方はご存じありませんの?」
「そなたは生きているではないか!ラズリーは喜んでいる」
「だから何?」
「私を恨んで、憎んでくれていい、でも母親のことは恨まないでやって欲しい」
「どうして?」
「彼女は関係ないからだ、全て私が悪い」
「へえ」
「妹君はどこにいるんだい?」
「私は仕事でここに来ているから、近くにはいないわ」
「そうか、出来れば落ち着いたら一緒に会って貰いたい。私が嫌なら金輪際、姿を現さない。約束する」
「夫人のためによくやるわね、会うつもりはないから心配しないで」
「…難しいか」
説得は難しいことは分かっていた、勝手に母親を連れ去った男でしかない。でもラズリーは娘を求めている。番の望むことは、どうにかしてやりたい。
「ふっ、やったと思っているんでしょう?息子もいるじゃない、また子どもも生まれるんでしょう?二人産んで殺して、また二人産む、凄いわね。自分たち以外の家族は要らないって言えばいいのに。建前がお上手ね」
「何てことを言うんだ!そんなことは思っていない」
「そうしないと、夫人に、甥にも責められるものね。どうでもいいけど、己のせいにされたくない。違う?」
「そうじゃない!」
「大丈夫よ、いずれ消えますから。会いたくても会えなくなります。勝手に消えたんだ、私は知らない、関係ないと隠蔽すればよろしいではありませんか」
「そのようなことは…妹君が悲しむだろう?」
「ええ、でも殺されたら仕方ないでしょう?あなたは他のことは無視して、自分の家族をぬくぬくと守っていればいいんじゃない?それが番ってものでしょう?」
確かに番の本質はそうである。番さえいればいい。でも番の幸せも必要なのだ。
「…お父上のことを慕っていたのかい?」
「さあ?どうだったかしら?悪口でも吹き込んで、お母様だけでも助け出してくれてありがとうとでも言わせたいの?死んでも言わないわよ」
「いや、君から両親を奪ったのは私だ。それは事実だ」
「もういいかしら?あなたの言葉は全て空虚だわ。空っぽ。ねっ?」
毎日ミルシュアに会いたいというラズリーには、会いに行ったことは黙っていた。妊娠は安定期に入っていたが、それでもいつどうなるかわからないからだ。
「ミルシュアに会いたいの」
「出産してからでいいだろう。今、あまり感情的になるのは良くない」
「でも、あの子は私の子なの。ずっと会いたかった、リズファンにも会いたいのよ」
「これからはいつでも会えるだろう。子どもを産んでからでいいじゃないか。この子はミルシュア嬢とリズファン嬢の家族でもあるんだ」
「でも、あの子は死ぬと言っていたわ。死んでしまったらどうするの!」
「サリスが死なせる訳ないだろう」
「嫌よ!早く会わなくちゃ」
「駄目だ!お腹の子が心配じゃないのか」
「あなたは結局、ミルシュアは自分の子じゃないからどうでもいいのでしょう!娘を心配しちゃいけないっていうの!」
ミルシュアと同じ言葉を言われ、カインドールは驚いた。確かに自分の子とミルシュア嬢であれば、自分の子を助けるだろう。ミルシュア嬢にはサリスがいるんだから、私の出る幕ではない。
「そ、そういう意味じゃない。落ち着いてくれ」
「やっと会えたのになんて酷いことを言うの!そんな人だとは思わなかったわ」
「違う!私だって大事に思っている」
「だったら会わせて!」
「お腹の子に障ったら心配なんだ」
「やっぱり自分のための心配ね」
「そうじゃない、ミルシュア嬢にはこっそり護衛を付けている。サリスも会いに行っているようだし、心配ない」
「会いたいの、あの子に許してもらわないと生きていけないわ」
「きっと許してくれるよ、そのためにも落ち着いてからでないと」
「…この子を産んだら毎日謝りに行くわ」
「ああ、私も付き添うよ」
「理由が無くてはなりませんか?理由など無くとも殺されて、死ぬ人間はおりますのよ?尊い方はご存じありませんの?」
「そなたは生きているではないか!ラズリーは喜んでいる」
「だから何?」
「私を恨んで、憎んでくれていい、でも母親のことは恨まないでやって欲しい」
「どうして?」
「彼女は関係ないからだ、全て私が悪い」
「へえ」
「妹君はどこにいるんだい?」
「私は仕事でここに来ているから、近くにはいないわ」
「そうか、出来れば落ち着いたら一緒に会って貰いたい。私が嫌なら金輪際、姿を現さない。約束する」
「夫人のためによくやるわね、会うつもりはないから心配しないで」
「…難しいか」
説得は難しいことは分かっていた、勝手に母親を連れ去った男でしかない。でもラズリーは娘を求めている。番の望むことは、どうにかしてやりたい。
「ふっ、やったと思っているんでしょう?息子もいるじゃない、また子どもも生まれるんでしょう?二人産んで殺して、また二人産む、凄いわね。自分たち以外の家族は要らないって言えばいいのに。建前がお上手ね」
「何てことを言うんだ!そんなことは思っていない」
「そうしないと、夫人に、甥にも責められるものね。どうでもいいけど、己のせいにされたくない。違う?」
「そうじゃない!」
「大丈夫よ、いずれ消えますから。会いたくても会えなくなります。勝手に消えたんだ、私は知らない、関係ないと隠蔽すればよろしいではありませんか」
「そのようなことは…妹君が悲しむだろう?」
「ええ、でも殺されたら仕方ないでしょう?あなたは他のことは無視して、自分の家族をぬくぬくと守っていればいいんじゃない?それが番ってものでしょう?」
確かに番の本質はそうである。番さえいればいい。でも番の幸せも必要なのだ。
「…お父上のことを慕っていたのかい?」
「さあ?どうだったかしら?悪口でも吹き込んで、お母様だけでも助け出してくれてありがとうとでも言わせたいの?死んでも言わないわよ」
「いや、君から両親を奪ったのは私だ。それは事実だ」
「もういいかしら?あなたの言葉は全て空虚だわ。空っぽ。ねっ?」
毎日ミルシュアに会いたいというラズリーには、会いに行ったことは黙っていた。妊娠は安定期に入っていたが、それでもいつどうなるかわからないからだ。
「ミルシュアに会いたいの」
「出産してからでいいだろう。今、あまり感情的になるのは良くない」
「でも、あの子は私の子なの。ずっと会いたかった、リズファンにも会いたいのよ」
「これからはいつでも会えるだろう。子どもを産んでからでいいじゃないか。この子はミルシュア嬢とリズファン嬢の家族でもあるんだ」
「でも、あの子は死ぬと言っていたわ。死んでしまったらどうするの!」
「サリスが死なせる訳ないだろう」
「嫌よ!早く会わなくちゃ」
「駄目だ!お腹の子が心配じゃないのか」
「あなたは結局、ミルシュアは自分の子じゃないからどうでもいいのでしょう!娘を心配しちゃいけないっていうの!」
ミルシュアと同じ言葉を言われ、カインドールは驚いた。確かに自分の子とミルシュア嬢であれば、自分の子を助けるだろう。ミルシュア嬢にはサリスがいるんだから、私の出る幕ではない。
「そ、そういう意味じゃない。落ち着いてくれ」
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「だったら会わせて!」
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「そうじゃない、ミルシュア嬢にはこっそり護衛を付けている。サリスも会いに行っているようだし、心配ない」
「会いたいの、あの子に許してもらわないと生きていけないわ」
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「…この子を産んだら毎日謝りに行くわ」
「ああ、私も付き添うよ」
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