【完結】悪意か、善意か、破滅か

野村にれ

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不愉快な王女への罰1

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「離縁されて戻されることになるかもしれない。でもメーリンは一度手にした物は失いたくないと思う性格でしょう?きっとハビット王国よりも、良い暮らしを手放したくないと、あの子は思うのではないかしら?」
「我慢するようになると?」

 あの様子のメーリンが我慢するとは思えないが、結婚していたら違うのだろうか。

「ええ、そうするしかないもの。愛情があったとしても、一生続く保証もなければ、容姿を気にいっても、一生その容姿のままではない。我儘なメーリンは要らないとされるもの」
「そうですね…」
「私たちもあのような子に育てた責任があるわ」

 ケラーは子どもを産んでから、国のために奔走していた。子どもたちに構うこともしてはいたが、大人になってから問題が出て来るとは思っていなかった。

 反省をして、置かれている立場が理解が出来るルークアと、反省もせず理解する気もないメーリンの差は大きい。

「刑は発表するのですか?」
「ええ、オルタナ王国にお伺いをして、許可が得られれば、相手は伏せて、王女の地位の剝奪と禁固二十年となったことを発表します。その後は、私費で管理します」

 メーリンのお金は一切ないこともあるが、国のお金を使うわけにはいかない。

「反発は…」
「ええ、大きいでしょうね。でもそうしないと、オルタナ王国に申し訳が立たない上に、許されることもないと思っているわ」
「そうですね…父上はどうでしょうか?」
「上手く話すわ」

 そして、ハビット王国に戻って来た。ケラーはメーリンに監視を置き、すぐにプレストに話をするために向かった。

「連れて帰って来たのか?殺してしまえば良かったのに」
「落ち着いてください。あまりに過剰な罰にすれば、オルタナ王国の機嫌も損ね兼ねません」
「要らんだろうが、あれは」

 既にメーリンを見たくもないほど、見限っていたプレストは、もう自分の娘ではないとすら思っていた。

「そうだとしても、私たちは罰を受け入れることが先決です。アジェル王国からの希望は禁固二十年とのことでした。その旨の書いて、オルタナ王国にお伺いさせていただきますが、よろしいですか?」
「生かして置いて意味などないだろう」
「それでも、私たちは親なのです。あの子に責任があるように、私たちにも責任があります」

 その言葉に、カッカしていたプレストも黙り込んだ。

「…それは、そうだな。分かった。禁固刑ならあそこがいいだろう」
「ジラルダ刑務所ですか?」
「ああ」
「はい、そのつもりです」

 ジラルダ刑務所は独房で、必要な物は支給されるが、他者との関わりはなく、皆でやるのではなく、自分のことは自分でしなければならない刑務所である。

 警備はいるが、駆け付けるのは自殺をしようとした時くらいである。

 オルタナ王国王家と、レオラッド大公閣下に同様の謝罪と、アジェル王国の罰に習って、禁固二十年の刑とさせていただきたいことと、要望があれば必ず従いますと手紙を出して、返答を待つことになった。

 メーリンはこれから過ごす独房生活のために、掃除以外は部屋から出さず、掃除の際も別の部屋で監視させて、情報を入れずに生活をさせていた。

 そして、オルタナ王国王家から返事が来た。

 そこには24歳とだから、二十年から六年を追加して、50歳まで禁固刑として欲しいという要望があり、メーリンの刑が決まることになった。

 久し振りにメーリンは、プレスト、ケラー、ルークアと会うことになった。

 パーメリア王太子妃は話は聞き、信じられない思いだったが、メーリンに可哀想な気持ちもあることから、同席は辞退した。

「メーリン、お前は禁固二十六年の刑と処す」
「え?」
「ただちに、ジラルダ刑務所に住処を移す」
「っな!待って、お父様!冗談が過ぎるわ!」

 メーリンは罰が決まったと連れて来られていたが、信じられずに声を上げた。
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