【完結】悪意か、善意か、破滅か

野村にれ

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不愉快な王女への罰2

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「お父様などと呼ぶな、虫唾が走る!」
「っ」

 プレストは、メーリンに既に顔も見たくない気持ちであった。

「ケラーとルークアは知らぬが、私はお前と生きて会うのは今日で最後であろう」

 26年後にプレストが生きているかは分からないが、刑が終わって出て来ても、二度と会うことはないという宣言であった。

「どうしてよ…話も聞かずに横暴だわ」
「横暴なのはお前だろうが!役に立つどころか、迷惑を掛けることしかしていないじゃないか!」
「そんなことないわ!話を聞いてください」
「誤解だろうがなんだろうが、事実は変わらない。お前のせいでこれ以上、他国に睨まれるわけにはいかない!いい加減にしろ!」

 国のためには敵を作るわけにはいかないのに、メーリンのことでカイニー王国にも睨まれ、オルタナ王国にも目を付けられたことは、プレストにとって最大の許せないことであった。

「私のせいじゃないわ!」
「何だと!カイニー王国にも、アジェル王国にも、オルタナ王国にも迷惑を掛けて、罪を償えと言っているんだ!」
「嫌よ、刑務所なんて…」
「ふん!お前の方がマシだろう。私たちはこれからお前の罪の尻拭いをしなければならないのが、分からぬのか!」
「どういう意味…?」

 プレストはもう話したくないと言わんばかりに、ケラーに向かって、お前が話せと首を動かした。

「メーリン王女は、他国で16歳未満の男性に不埒なことをしようとしたとして、王女の地位の剝奪。50歳まで禁固刑とすることを発表します」
「…な、そんなことしたら…」

 50歳まで出て来れないのだが、メーリンは周りにどんな目で見られるのかと、絶望的な気持ちになった。

「国のためになる相手と、結婚するわ!誰でもいいわ」

 メーリンは私と結婚が出来るのだから、相手は選んで当然だと思っていたが、刑務所に行くくらいなら、どんな相手でも構わないと初めて思った。

「そのような段階ではないのです。あなたのしたことは王女としても相応しくなく、犯罪です!誰が犯罪者と結婚したいなどと言うのです」
「でも私は王女なのよ?それなのに、たかが勘違いで刑務所なんて、おかしいわ!」
「たかが?王女として優遇しろと言った口で、王女としての立場を忘れて、勘違いだから許せ?ふざけるんじゃありません!あなたは王女に生まれて来るべきではなかったわね」

 ケラーも年々傲慢さを重ねていたのだろうと、諫めるのが遅かったと反省したが、24歳の娘にこれ以上、話す言葉もなかった。

「何てことを言うの…」
「何も言っても、罰は変わりません」
「こんなこと許されないわ」
「国王陛下、王妃陛下、私が説明をして、連れて行きます」

 黙って聞いていたルークアは、最後の責任としてメーリンに話をして、刑務所に連れて行こうと決めた。

「ああ」
「よろしく頼むわ」

 ルークアも厳しい目で見られることになるが、両親はこれから発表をして、反感を受け止める仕事が待っている。

「メーリン、行こう。話をしよう」
「お兄様…」

 ルークアは執務室に連れて行き、メーリンと二人きりで向き合った。

「お兄様、本当に刑務所なんて…私、嫌よ。どうにかしてくださるわよね?」

 メーリンはルークアに、最後の希望を抱いていた。

「どちらにせよ、オルタナ王国の怒りを鎮めるためにも、発表される。そうなれば、メーリンはそういった目で見られることは理解が出来るだろう?」

 発表の席に、メーリンを同席させて、見られて自覚させると言うことも考えたが、メーリンが何を言い出すか、分からないために、反省をしていないようなら、同席はさせられないと判断していた。

「それは…」
「メーリンには耐えられないんじゃないか?それとも、きちんと反省して、ハビット王国を汚したことを皆の前で謝罪が出来るか?」

 傲慢さが浮き彫りになったメーリンには、無理だろうとルークアも判断していた。
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