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マクローズ伯爵家3
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「そんなことまで言ったのか?」
「だって、アニバーサリーは必要でしょう?なくなったせいで、責められて、化粧品だって手に入らなくなって…」
ハイリーはアニバーサリーの化粧品が使えなくなったせいで、自分がどんどん老いて、醜くなっていると信じていた。
「食べ物だって、アニバーサリーから色んな新しい食べ物が入って来ていたのに、なくなって。誰からも相手にされなくなって…フォンターナ家と家族になっていたら、今でも注目を集めていたわ」
マクローズ伯爵家は悪い意味では、注目は集めていた。だが、ハイリーは羨望の眼差しで見られることであって、恥知らずという眼差しではなかった。
「あなたのせいじゃない!私は反対したわ」
「それは分かっている、だから弁えているだろう!」
ジェフも自分が一番悪いことは自覚していた。だが、シャーリンとの結婚を最終的には認めて貰ったことで、関係も悪くはなかった。
だが、フォンターナ家が出て行ったことで責められるようになり、シャーリンとの結婚当初には既に口を開けば文句ばかりであった。
だから、距離を置き、それでも孫が出来たことで、少し距離は縮まったが、お金がなくなっていること、今度は子どもが多いことにも文句を言い始めた。
その頃には大きな溝が出来ており、離縁のことは伝えたが、その後はお互いに同じ敷地にいるだけの関係になっていた。
「それなのに、どうして母上はこんなことをしたんだ…マクローズ伯爵家を潰して欲しいと言っているようなものじゃないか」
「だから、知らなくて…」
「もういいです。まずは殿下にお伺いしてから、謝罪が出来るようならするが…おそらく難しいでしょう。母上も責任を追及されたら、覚悟して置いてください」
「ど、どうして私が…」
「自分が大公家に盾突いたのでしょう」
茫然とするハイリーを残して、ジェフはハイリーに付いていた侍女に話を聞きたいと伝えて、本邸に来て貰うことにした。
ハイリーに付いていた侍女は、サラと言い、ジェフより8歳年下で、男爵令嬢から男爵家に嫁いだが、子沢山でお金が足りずに、通いの侍女をやっている。
「君を罪に問う気はないから、母が何を言ったのかありのまま教えて欲しい」
「はい…」
サラはハイリーの話している相手が大公閣下夫人だと聞いて不味いとは思ったが、大公家と言われても、どこの誰かも分からず、どうすることも出来なかった。
だが、落ち着いて考えてみると、あの方はアジェル王国を出て行かれたフォンターナ家の方だと気付いた。
サラはジェフたちの世代と年が離れていたこともあり、肌で感じることはあまりなく、話に聞いたことがあっただけであった。
だが、マクローズ伯爵家や王家が原因だと言われており、とは言っても男爵家でピンと来なかった。
評判が良くないマクローズ伯爵家にどうして勤めているかは、給金がいいからではなく、あまり要領が良くないので、すぐに辞めさせられてしまったからである。
ハイリーの侍女は出掛けるのに付き添ったり、体を支えたり、付いて行くだけで良かったので、何とかなっていた。
ジェフ相手にはビクビクはしていたが、ゆっくりと頷き、ハイリーがエルムに言った言葉を覚えている限り話し、ジェフは眉をひそめたくなるのをどうにか堪えながら、穏やかに聞いた。
「ありがとう、もう戻っていい」
「はい」
孫との婚約やアニバーサリーのこと、そして呆けているのかと何度も聞いていたことから、正気ではないと思われていたことも当然だと思った。
そして、大公閣下はシャーリンのこと、男娼が相手だということも知っていた。ゴシップ誌にも書かれていたので、調べたのかは分からないが、調べたと思って置いた方がいいだろうと感じた。
出掛けていた父が戻って来たというので、話をすることにした。
「だって、アニバーサリーは必要でしょう?なくなったせいで、責められて、化粧品だって手に入らなくなって…」
ハイリーはアニバーサリーの化粧品が使えなくなったせいで、自分がどんどん老いて、醜くなっていると信じていた。
「食べ物だって、アニバーサリーから色んな新しい食べ物が入って来ていたのに、なくなって。誰からも相手にされなくなって…フォンターナ家と家族になっていたら、今でも注目を集めていたわ」
マクローズ伯爵家は悪い意味では、注目は集めていた。だが、ハイリーは羨望の眼差しで見られることであって、恥知らずという眼差しではなかった。
「あなたのせいじゃない!私は反対したわ」
「それは分かっている、だから弁えているだろう!」
ジェフも自分が一番悪いことは自覚していた。だが、シャーリンとの結婚を最終的には認めて貰ったことで、関係も悪くはなかった。
だが、フォンターナ家が出て行ったことで責められるようになり、シャーリンとの結婚当初には既に口を開けば文句ばかりであった。
だから、距離を置き、それでも孫が出来たことで、少し距離は縮まったが、お金がなくなっていること、今度は子どもが多いことにも文句を言い始めた。
その頃には大きな溝が出来ており、離縁のことは伝えたが、その後はお互いに同じ敷地にいるだけの関係になっていた。
「それなのに、どうして母上はこんなことをしたんだ…マクローズ伯爵家を潰して欲しいと言っているようなものじゃないか」
「だから、知らなくて…」
「もういいです。まずは殿下にお伺いしてから、謝罪が出来るようならするが…おそらく難しいでしょう。母上も責任を追及されたら、覚悟して置いてください」
「ど、どうして私が…」
「自分が大公家に盾突いたのでしょう」
茫然とするハイリーを残して、ジェフはハイリーに付いていた侍女に話を聞きたいと伝えて、本邸に来て貰うことにした。
ハイリーに付いていた侍女は、サラと言い、ジェフより8歳年下で、男爵令嬢から男爵家に嫁いだが、子沢山でお金が足りずに、通いの侍女をやっている。
「君を罪に問う気はないから、母が何を言ったのかありのまま教えて欲しい」
「はい…」
サラはハイリーの話している相手が大公閣下夫人だと聞いて不味いとは思ったが、大公家と言われても、どこの誰かも分からず、どうすることも出来なかった。
だが、落ち着いて考えてみると、あの方はアジェル王国を出て行かれたフォンターナ家の方だと気付いた。
サラはジェフたちの世代と年が離れていたこともあり、肌で感じることはあまりなく、話に聞いたことがあっただけであった。
だが、マクローズ伯爵家や王家が原因だと言われており、とは言っても男爵家でピンと来なかった。
評判が良くないマクローズ伯爵家にどうして勤めているかは、給金がいいからではなく、あまり要領が良くないので、すぐに辞めさせられてしまったからである。
ハイリーの侍女は出掛けるのに付き添ったり、体を支えたり、付いて行くだけで良かったので、何とかなっていた。
ジェフ相手にはビクビクはしていたが、ゆっくりと頷き、ハイリーがエルムに言った言葉を覚えている限り話し、ジェフは眉をひそめたくなるのをどうにか堪えながら、穏やかに聞いた。
「ありがとう、もう戻っていい」
「はい」
孫との婚約やアニバーサリーのこと、そして呆けているのかと何度も聞いていたことから、正気ではないと思われていたことも当然だと思った。
そして、大公閣下はシャーリンのこと、男娼が相手だということも知っていた。ゴシップ誌にも書かれていたので、調べたのかは分からないが、調べたと思って置いた方がいいだろうと感じた。
出掛けていた父が戻って来たというので、話をすることにした。
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