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話し合い
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そして、リファとアルームの憂鬱な話し合いの場が設けられた。それぞれの父親も同席している。
「リファ嬢、グラフォード侯爵、この度は誠に申し訳なかった」
「申し訳ありませんでした」
「まあ、お掛けください」
4人は向かい合って座るも、さすがにビター侯爵家は居心地が悪そうだ。キャスティンのやらかしはグラフォード侯爵邸で起こったために、皆が知っている。
「そちらは婚約を継続されたいということでよろしいですか」
「勿論です」
「リファは解消したいか?」
「ええ、同じ思想を持つ、気が合う方とされればよろしいではありませんか」
「そんなことは考えたこともない」
アルームは自身は自由恋愛をしていても、自由恋愛をしている令嬢は嫌なのだ。
「様子を見てもいいんじゃないか」
「お父様っ!」
「子どもは出来ていなかったわけだし、褒められたものではないが、これからの様子を見て判断するというのはどうだ?」
「私に監視しろとおっしゃるの?」
「いや、そうではないが」
「リファ嬢、我々が今後このようなことがないように、監視しますので、もう少し時間をいただけませんか」
「今回は保留として、結婚の話の際にまた話し合いを儲け、そこで最終決定することにしませんか。ビター侯爵家は、いかがでしょうか」
「ありがとうございます、構いません」
「ありがとうございます」
結局、父親のにこやかな圧に押し切られて、保留となってしまった。おかげで翌日、リファはカナンの部屋で萎びている。
「あああああ!畜生!残り者のアバズレと結婚したくないからだろうなんて、言えないじゃない」
「言い難いわよね」
「ビター侯爵は、昔は色々あったそうだけど、結婚してからは誠実にされているそうなのよ。だからあちらの夫妻は割と良好だから、2人とも真摯に謝ってくださるし、私にも優しいのよ。だからこそ、言い難い!」
リファは人を慮れることが仇となったようだが、心が温かい証拠だ。相手が嫌な人間であれば、心も痛まずに言えただろうけども。
「心中お察しするわ。でも結婚はして貰うなんてならなくて、ひとまず良かったじゃない。まだ可能性はあるわよ」
「お父様の笑顔の圧も辛かったの」
「ああ、あのよろしくお願いいたしますねの含みのある顔ね」
「それそれ。お母様はあの顔を見ると、何かを投げ付けたくなるって言っていたわ、だから顔を合わせないようにしているんですって」
リファの母親は子どもを2人産んでくれたら、その後は好きにしていいと言われて、渋々子どもを産んだのだ。それがリファと弟である。
「はあ、これは白い結婚&別居を通す方がいいかもしれないわね」
「一応聞くけど、再構築なんてことは?」
「あるわけないでしょう。あの様子だから、いずれまたやらかすわ。子どもは他の人に産んでもらうのも、問題はないでしょうから」
「でも狙われているんでしょう?治癒」
「それもあるのかしらね。でも私、大した力じゃないのよ」
「そんなことないわよ」
リファは魔素を操り治癒を行うことが出来る。傷を治したり、腰の痛みを取ったりくらいだと本人は言うが、素晴らしい異能だと思う。
異能を持つ親は子に遺伝する可能性が高いと言われており、誰がどんな異能を持っているかは公表されることはないが、耳にすることはある。
「それを言うならカナンでしょうよ」
「まあ、私はそれが目的だもの」
「最近は会った?」
「いいえ、全く会ってないわ。蚊の鳴くような声を出さなくて有難いことよ」
「お忙しいのだものね」
「ええ、非常にお忙しいそうよ」
「リファ嬢、グラフォード侯爵、この度は誠に申し訳なかった」
「申し訳ありませんでした」
「まあ、お掛けください」
4人は向かい合って座るも、さすがにビター侯爵家は居心地が悪そうだ。キャスティンのやらかしはグラフォード侯爵邸で起こったために、皆が知っている。
「そちらは婚約を継続されたいということでよろしいですか」
「勿論です」
「リファは解消したいか?」
「ええ、同じ思想を持つ、気が合う方とされればよろしいではありませんか」
「そんなことは考えたこともない」
アルームは自身は自由恋愛をしていても、自由恋愛をしている令嬢は嫌なのだ。
「様子を見てもいいんじゃないか」
「お父様っ!」
「子どもは出来ていなかったわけだし、褒められたものではないが、これからの様子を見て判断するというのはどうだ?」
「私に監視しろとおっしゃるの?」
「いや、そうではないが」
「リファ嬢、我々が今後このようなことがないように、監視しますので、もう少し時間をいただけませんか」
「今回は保留として、結婚の話の際にまた話し合いを儲け、そこで最終決定することにしませんか。ビター侯爵家は、いかがでしょうか」
「ありがとうございます、構いません」
「ありがとうございます」
結局、父親のにこやかな圧に押し切られて、保留となってしまった。おかげで翌日、リファはカナンの部屋で萎びている。
「あああああ!畜生!残り者のアバズレと結婚したくないからだろうなんて、言えないじゃない」
「言い難いわよね」
「ビター侯爵は、昔は色々あったそうだけど、結婚してからは誠実にされているそうなのよ。だからあちらの夫妻は割と良好だから、2人とも真摯に謝ってくださるし、私にも優しいのよ。だからこそ、言い難い!」
リファは人を慮れることが仇となったようだが、心が温かい証拠だ。相手が嫌な人間であれば、心も痛まずに言えただろうけども。
「心中お察しするわ。でも結婚はして貰うなんてならなくて、ひとまず良かったじゃない。まだ可能性はあるわよ」
「お父様の笑顔の圧も辛かったの」
「ああ、あのよろしくお願いいたしますねの含みのある顔ね」
「それそれ。お母様はあの顔を見ると、何かを投げ付けたくなるって言っていたわ、だから顔を合わせないようにしているんですって」
リファの母親は子どもを2人産んでくれたら、その後は好きにしていいと言われて、渋々子どもを産んだのだ。それがリファと弟である。
「はあ、これは白い結婚&別居を通す方がいいかもしれないわね」
「一応聞くけど、再構築なんてことは?」
「あるわけないでしょう。あの様子だから、いずれまたやらかすわ。子どもは他の人に産んでもらうのも、問題はないでしょうから」
「でも狙われているんでしょう?治癒」
「それもあるのかしらね。でも私、大した力じゃないのよ」
「そんなことないわよ」
リファは魔素を操り治癒を行うことが出来る。傷を治したり、腰の痛みを取ったりくらいだと本人は言うが、素晴らしい異能だと思う。
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「それを言うならカナンでしょうよ」
「まあ、私はそれが目的だもの」
「最近は会った?」
「いいえ、全く会ってないわ。蚊の鳴くような声を出さなくて有難いことよ」
「お忙しいのだものね」
「ええ、非常にお忙しいそうよ」
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