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異能
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「どうしても結婚を希望するのであれば、白い結婚と別居を希望します。結婚式も、家もお金も要りません」
「っな」
「それでは結婚の意味がないだろう」
「辺境の力にはなります。いい案ではありませんか?」
「それは…」
「ルーフランは、君が異能を使うところに好意を抱いたんだ」
カナンの異能は身体の機能を引き上げる、規格外の身体強化である。ルーフランは魔素を操ることから外向者と呼ばれ、カナンは内向者と呼ばれる。
身体強化を使える者は他にもいるが、スピード、力の強さ、瞬発力、たいして大きくもない身体に他を凌駕する力を持っている。
魔獣を倒すのに、接近戦にはなるが、有能である。異能に加え、運動神経が良い、筋がいいと思われる。
リッツソード侯爵領は凶暴化した魔獣が夏の時期に多い。だが迅速に対処されることから、ルーフランはこっそりと見学に行った。そこで見たのがカナンであった。
自身も魔素を操り、倒すことは出来るが、接近戦ではないことから逃げられることもある。しかし、カナンはガンガン近づいて行って、張り倒していく。
見る人によっては恐ろしいと思うだろうが、ルーフランはそうではなかった。人生で一番ゾクゾクした。
カナンは表向きは避暑という名目で、毎年、凶暴化した魔獣を駆除している。国からも侯爵家からもお金も貰えて、引退した騎士たちが領に住んでいるので、後方支援を手伝って貰い、報酬を与えている。
皆、カナンの剣の先生たちである。日々の鍛錬も欠かさない。自身で持つ武器なら、一緒に強化することも出来るのも、他の身体強化持ちとは違うところである。おそらく多少魔素を操れるのだろうと思われる。
王都で気分の悪い話ばかりで、発散させるように暴れ、リファもその様子を面白がって見ていたのだ。本来、考えることよりも、身体を動かす方が好きなのである。
「そんな方、沢山おりますわ」
「何?」
「お嬢、お嬢と皆、慕ってくれますわよ。元騎士団長とか、元騎士副団長とか、元騎士団の方とか、うちの領にも来てくれというおじ様とか」
アレヴァーは皆、それはまとめておじさんたちではないかと思ったが、好意はあることは間違いないだろう。
「宰相が許すのか」
「最終手段がありますから、そのくらいは了承させますよ」
「っ」
「なぜ父が公爵家を選んだかは分かりますよ。私はちょっと、無鉄砲ですからね。辺境ならと思ったのでしょう」
王都で宰相の娘の侯爵令嬢が大立ち回りをすることは、さすがに目立ってしまう。
護衛騎士を捕まえたのも、パドラもおかげもあるが、両足をカナンが掴んでいる以上、動くことはそれこそ何か異能を持っていないと難しかっただろう。
そして度々、父に吐かせるかと言っていたのは、異能を使ってと言う意味であった。ゆえに渋り続けていたのだ。
「不貞くらいと思っているのでしょう」
「思っていない」
「不貞は、悲しみよりも、全ての信用を失うのです。言葉、行動、怪しむ方も怪しまれる方も疲れます。不貞を犯した過去を持つ者は、帰って来なければ不貞をと思われ、女性と親しくしていたら、過去の女性だと思われ、互いに息苦しくなるでしょう。信用とはそういうものなんです。私の場合は、あなたに背中は任せられない。それが答えです」
それはルーフランにとって、戦う者にとって、抉られるような言葉であった。
「他に支えてくれる方を探してはいかがですか。私はその方がいいと思います」
「君は誰かと結婚するのか」
「まあ、するんでしょうね。あなたよりマシであれば、良かったと思えるはずです」
「それは駄目だ」
「あなたもビター侯爵令息と同じね。自分は自由恋愛をしていても、残り者のアバズレは嫌なんでしょう?自由恋愛民たちは、責任を持ってアバズレを回収しようという気概はないのですか」
「アバズレ…」
確かに自由恋愛をした令息もだが、それ以上に令嬢は結婚は難しい。托卵を疑われて解消は珍しくはない。それなのに、自由恋愛をする者はいなくならない。
「私は自由恋愛などしていない」
「しているんですよ、あなたは自由恋愛でおかげで解消されずに済んでいる。違いますか?これが他国なら、即解消、もしくは即破棄です。恩恵を受けておきながら、いいように使うのは滑稽ですよ」
「っな」
「それでは結婚の意味がないだろう」
「辺境の力にはなります。いい案ではありませんか?」
「それは…」
「ルーフランは、君が異能を使うところに好意を抱いたんだ」
カナンの異能は身体の機能を引き上げる、規格外の身体強化である。ルーフランは魔素を操ることから外向者と呼ばれ、カナンは内向者と呼ばれる。
身体強化を使える者は他にもいるが、スピード、力の強さ、瞬発力、たいして大きくもない身体に他を凌駕する力を持っている。
魔獣を倒すのに、接近戦にはなるが、有能である。異能に加え、運動神経が良い、筋がいいと思われる。
リッツソード侯爵領は凶暴化した魔獣が夏の時期に多い。だが迅速に対処されることから、ルーフランはこっそりと見学に行った。そこで見たのがカナンであった。
自身も魔素を操り、倒すことは出来るが、接近戦ではないことから逃げられることもある。しかし、カナンはガンガン近づいて行って、張り倒していく。
見る人によっては恐ろしいと思うだろうが、ルーフランはそうではなかった。人生で一番ゾクゾクした。
カナンは表向きは避暑という名目で、毎年、凶暴化した魔獣を駆除している。国からも侯爵家からもお金も貰えて、引退した騎士たちが領に住んでいるので、後方支援を手伝って貰い、報酬を与えている。
皆、カナンの剣の先生たちである。日々の鍛錬も欠かさない。自身で持つ武器なら、一緒に強化することも出来るのも、他の身体強化持ちとは違うところである。おそらく多少魔素を操れるのだろうと思われる。
王都で気分の悪い話ばかりで、発散させるように暴れ、リファもその様子を面白がって見ていたのだ。本来、考えることよりも、身体を動かす方が好きなのである。
「そんな方、沢山おりますわ」
「何?」
「お嬢、お嬢と皆、慕ってくれますわよ。元騎士団長とか、元騎士副団長とか、元騎士団の方とか、うちの領にも来てくれというおじ様とか」
アレヴァーは皆、それはまとめておじさんたちではないかと思ったが、好意はあることは間違いないだろう。
「宰相が許すのか」
「最終手段がありますから、そのくらいは了承させますよ」
「っ」
「なぜ父が公爵家を選んだかは分かりますよ。私はちょっと、無鉄砲ですからね。辺境ならと思ったのでしょう」
王都で宰相の娘の侯爵令嬢が大立ち回りをすることは、さすがに目立ってしまう。
護衛騎士を捕まえたのも、パドラもおかげもあるが、両足をカナンが掴んでいる以上、動くことはそれこそ何か異能を持っていないと難しかっただろう。
そして度々、父に吐かせるかと言っていたのは、異能を使ってと言う意味であった。ゆえに渋り続けていたのだ。
「不貞くらいと思っているのでしょう」
「思っていない」
「不貞は、悲しみよりも、全ての信用を失うのです。言葉、行動、怪しむ方も怪しまれる方も疲れます。不貞を犯した過去を持つ者は、帰って来なければ不貞をと思われ、女性と親しくしていたら、過去の女性だと思われ、互いに息苦しくなるでしょう。信用とはそういうものなんです。私の場合は、あなたに背中は任せられない。それが答えです」
それはルーフランにとって、戦う者にとって、抉られるような言葉であった。
「他に支えてくれる方を探してはいかがですか。私はその方がいいと思います」
「君は誰かと結婚するのか」
「まあ、するんでしょうね。あなたよりマシであれば、良かったと思えるはずです」
「それは駄目だ」
「あなたもビター侯爵令息と同じね。自分は自由恋愛をしていても、残り者のアバズレは嫌なんでしょう?自由恋愛民たちは、責任を持ってアバズレを回収しようという気概はないのですか」
「アバズレ…」
確かに自由恋愛をした令息もだが、それ以上に令嬢は結婚は難しい。托卵を疑われて解消は珍しくはない。それなのに、自由恋愛をする者はいなくならない。
「私は自由恋愛などしていない」
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