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憂鬱
覇気のないルーフランに、アレヴァーも慣れては来た。
忙しくても、なぜ会いに行かなかったのかは、何を話したらいいか分からない、カナンがのどの調子も悪いことが多く、あまり楽しそうではないからだと言っていたが、そのツケが回って来ている。
「婚約者から連絡はないのか」
「…ありません」
「建国祭は宰相に頼んだから、2人で出席するといい」
「えっ、ですが」
宰相にルーフランとの婚約とのことで時間を取って貰った。宰相も事情を知ってはいたが、カナンに話すことは出来なかった。そして、話してもカナンの意思が変わらなかったことから、厳しいという判断を下していた。
「私の両親を見て育ったせいもあり、カナンは婚約に乗り気ではなかったのです」
「確かに前侯爵夫妻は異例な立場ではありますね」
「はい、正直、両親とカナンが押し寄せたら、私は負けます」
両親は見守ってくれてはいるが、自由恋愛には反対である。私も例にも洩れず、妻と婚約していながら、別の女性と安易な気持ちで関係を持ったことがあった。
妻は結婚前のことだからと許してくれたが、両親には格好いいと思っているのか、気持ち悪いと言われ、妻はカナンに洗脳されているのか、借金でもあったのかと何度か問われていた。ただ妻の家が、令嬢はとやかく言わないことが美徳だと教え込まれていただけであった。
息子は婚約者を作らずに、自由恋愛を楽しんでいるようで、カナンにチクチクと嫌味を言われている場によく遭遇する。あれでも妹に嫌われたくないという気持ちもあるのだろう。
「…ああ、そうでしょうね。だが、今まで言わなかったのはなぜですか?」
「おそらく、他の婚約を勧められるのも面倒なのだと思います」
「だが、誰かと結婚する立場でしょう?」
「しなくてもいいと思っていると思います。ひとりで出来るものではないから、どうにかなるだろうと、あの子は異常に運が良いですから」
それでもルーフランにチャンスを与えて欲しい、建国祭に一緒に出席して貰えないかと頼むと、そのくらいならばと了承して貰えたのだ。
「最後のチャンスだと思って、きちんと迎えに行きなさい。何かあっても他の者で対処するから」
「ありがとうございます」
「ただ、ドレスは侯爵家で用意するから、贈り物はしないで欲しいとのことだ」
「そ、そうですか…」
母に相談して、ドレスと宝石を贈ろうと思ったが、封じられてしまった。
「憂鬱ね…」
「本当に…私は昨日、ドレスが送られて来たわ」
「私は先にその手は封じておいたわ…」
「私はその手は無理だったでしょうね…息子じゃなくて、おば様が選んで送って来たのよ…きっと」
「それは阻止し難いわね…」
カナンとリファは遠くの山を見つめて、現実逃避をしていた。2人とも婚約解消は出来ておらず、2人ともが勝手に再構築をされているような状態で、リファもアルームから頻繁に誘いがあるそうだ。3回に1回くらい応じているらしいが、無理して笑っているアルームを見ると、全く楽しくないそうだ。
カナンも婚約解消を言い出す前のにっこり笑う表情が今でも思い出されて、不愉快な気持ちになる。
リファには王族も関わっていることから、王太子殿下に聞いたことを全て話すわけにはいかなかったが、反省して懺悔しているとは伝えている。
「他国ではパーティーの最中に婚約破棄だ!なんてことがあるそうよ…」
「喜んで!って言うのかしら…」
「私の何が至らなかったのでしょうかなんて、そんな場で言われて言わないよね…」
「私ならすぐ承知するか、まるごと抱えて、どこかに運ぶわね、そんな周りが見ている中で話なんて出来ないわ…」
「その通りね…」
他に誰もいない個室ではあるが、誰かが2人の背中を見たら、哀愁が漂っていたと言うかもしれない。
憂鬱な建国祭は迫って来ていた。
忙しくても、なぜ会いに行かなかったのかは、何を話したらいいか分からない、カナンがのどの調子も悪いことが多く、あまり楽しそうではないからだと言っていたが、そのツケが回って来ている。
「婚約者から連絡はないのか」
「…ありません」
「建国祭は宰相に頼んだから、2人で出席するといい」
「えっ、ですが」
宰相にルーフランとの婚約とのことで時間を取って貰った。宰相も事情を知ってはいたが、カナンに話すことは出来なかった。そして、話してもカナンの意思が変わらなかったことから、厳しいという判断を下していた。
「私の両親を見て育ったせいもあり、カナンは婚約に乗り気ではなかったのです」
「確かに前侯爵夫妻は異例な立場ではありますね」
「はい、正直、両親とカナンが押し寄せたら、私は負けます」
両親は見守ってくれてはいるが、自由恋愛には反対である。私も例にも洩れず、妻と婚約していながら、別の女性と安易な気持ちで関係を持ったことがあった。
妻は結婚前のことだからと許してくれたが、両親には格好いいと思っているのか、気持ち悪いと言われ、妻はカナンに洗脳されているのか、借金でもあったのかと何度か問われていた。ただ妻の家が、令嬢はとやかく言わないことが美徳だと教え込まれていただけであった。
息子は婚約者を作らずに、自由恋愛を楽しんでいるようで、カナンにチクチクと嫌味を言われている場によく遭遇する。あれでも妹に嫌われたくないという気持ちもあるのだろう。
「…ああ、そうでしょうね。だが、今まで言わなかったのはなぜですか?」
「おそらく、他の婚約を勧められるのも面倒なのだと思います」
「だが、誰かと結婚する立場でしょう?」
「しなくてもいいと思っていると思います。ひとりで出来るものではないから、どうにかなるだろうと、あの子は異常に運が良いですから」
それでもルーフランにチャンスを与えて欲しい、建国祭に一緒に出席して貰えないかと頼むと、そのくらいならばと了承して貰えたのだ。
「最後のチャンスだと思って、きちんと迎えに行きなさい。何かあっても他の者で対処するから」
「ありがとうございます」
「ただ、ドレスは侯爵家で用意するから、贈り物はしないで欲しいとのことだ」
「そ、そうですか…」
母に相談して、ドレスと宝石を贈ろうと思ったが、封じられてしまった。
「憂鬱ね…」
「本当に…私は昨日、ドレスが送られて来たわ」
「私は先にその手は封じておいたわ…」
「私はその手は無理だったでしょうね…息子じゃなくて、おば様が選んで送って来たのよ…きっと」
「それは阻止し難いわね…」
カナンとリファは遠くの山を見つめて、現実逃避をしていた。2人とも婚約解消は出来ておらず、2人ともが勝手に再構築をされているような状態で、リファもアルームから頻繁に誘いがあるそうだ。3回に1回くらい応じているらしいが、無理して笑っているアルームを見ると、全く楽しくないそうだ。
カナンも婚約解消を言い出す前のにっこり笑う表情が今でも思い出されて、不愉快な気持ちになる。
リファには王族も関わっていることから、王太子殿下に聞いたことを全て話すわけにはいかなかったが、反省して懺悔しているとは伝えている。
「他国ではパーティーの最中に婚約破棄だ!なんてことがあるそうよ…」
「喜んで!って言うのかしら…」
「私の何が至らなかったのでしょうかなんて、そんな場で言われて言わないよね…」
「私ならすぐ承知するか、まるごと抱えて、どこかに運ぶわね、そんな周りが見ている中で話なんて出来ないわ…」
「その通りね…」
他に誰もいない個室ではあるが、誰かが2人の背中を見たら、哀愁が漂っていたと言うかもしれない。
憂鬱な建国祭は迫って来ていた。
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