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決められた結婚
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グラーフ伯爵家とトスター侯爵家は、気心が知れた間柄だからと、婚約期間は半年で、卒業と同時に結婚することが決まり、合同結婚式を行うことになった。
華やかなことの好きなキリアムとメルベールはああしよう、こうしようと嬉しそうで、オーランドは忙しいため任せると言ったようで、ドレスもブーケも何もかもメルベールが決めて、ユーリは横でいいわねと言っていただけであった。
見かねて母が声を掛けてくれたが、私は首を振った。
「ユーリも意見を言っていいのよ」
「別に特に希望もないから大丈夫よ」
私も人並みの希望はあった、でもメルベールの意向を添わなければ、どちらにせよ覆させることだ。言って覆されるのならば、言うことはない。
「でも一生に一度のことなのに」
「一生に一度…そうね、何かあれば言ってみるわ」
「ユーリ、大丈夫?」
「大丈夫よ、もう決まったことなんでしょう?」
そう言うと母は目を伏せてしまい、私の結婚のことを父に意見して、怒られていたのを知っている。弟・ルオンが私のせいで母上が怒られていた、いい加減にしろとわざわざ言いに来たからだ。
「本当に大丈夫だから心配しないで」
「…分かったわ」
唯一、叶ったことと言えば、オーランドも許可したように、ユーリは薬師の試験に合格し、結婚後しても薬師として働くことになった。
案の定、父は不器用なお前には無理だと反対したが、侯爵家の方も社交もないに等しいから、いいじゃないかと賛成し、珍しく父が折れることとなった。
だが、実は薬学も季節の変わり目に体調を崩しやすい、姉と弟のためにという父の思惑から始まっている。どうせユーリには結婚相手もいない、無一文で追い出すのは体裁が悪い、だから薬師として働けばいい、何かあった時に役に立つだろうと思ってのことだった。
しかし、結婚するならば別である。女は結婚したら家におり、家のために働くべきだと考えており、結婚しても働くという選択肢はなく、自身の考え通りにならないことが不満だった。だが侯爵家もオーランドも賛成しているとなれば、とりあえず賛成するしかなかった。次第にユーリと二人きりになれば小言が増えていった。
「無理を言いやがって、折を見て、私には無理でしたと辞めるんだ。いいな?」
「なぜですか、認められています」
いつもとは違って、メルベールが関わっていないため、ユーリは強く主張した。
「だからお前が無理を言ったから、仕方なく折れてくださったんだ。そんなことも分からないのか?馬鹿はいつまで経っても馬鹿なんだな」
「そうでしょうか」
「はあ…察しの悪い、恥を掻くのはお前なんだ。私は良かれと思って言っているんだぞ。感謝して欲しいものだ」
「…」
父の小言は続いたが、侯爵家に言うことも出来ないことは分かっていたため、聞き流すようにして、結婚式の日を迎えた。
合同結婚式は花嫁花婿共に同じ装いで、対になるような華やかな式となった。 両親の数こそ二組だが、親族、友人たちも一堂に揃い、四人の門出を祝福した。
だがユーリだけはメルベールと同じ、純白のウエディングドレスを着ているのにも関わらず、ここにポンと置かれて、立たされている人形のような気持ちで、どこか他人事のように感じていた。
同じ顔で微笑むメルベールを見て、おめでとうと思う気持ちしかなく、結婚の実感が全くと言っていいほどなかった。
オーランドは昔とは違って、きちんと話が出来る人になっており、声を掛けてくれるようになったが、だからと言って苦手意識がなくなるわけではない。
本来なら良い相手と言えるのだろう、でも愚かな私はそうは思えなかった。
華やかなことの好きなキリアムとメルベールはああしよう、こうしようと嬉しそうで、オーランドは忙しいため任せると言ったようで、ドレスもブーケも何もかもメルベールが決めて、ユーリは横でいいわねと言っていただけであった。
見かねて母が声を掛けてくれたが、私は首を振った。
「ユーリも意見を言っていいのよ」
「別に特に希望もないから大丈夫よ」
私も人並みの希望はあった、でもメルベールの意向を添わなければ、どちらにせよ覆させることだ。言って覆されるのならば、言うことはない。
「でも一生に一度のことなのに」
「一生に一度…そうね、何かあれば言ってみるわ」
「ユーリ、大丈夫?」
「大丈夫よ、もう決まったことなんでしょう?」
そう言うと母は目を伏せてしまい、私の結婚のことを父に意見して、怒られていたのを知っている。弟・ルオンが私のせいで母上が怒られていた、いい加減にしろとわざわざ言いに来たからだ。
「本当に大丈夫だから心配しないで」
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唯一、叶ったことと言えば、オーランドも許可したように、ユーリは薬師の試験に合格し、結婚後しても薬師として働くことになった。
案の定、父は不器用なお前には無理だと反対したが、侯爵家の方も社交もないに等しいから、いいじゃないかと賛成し、珍しく父が折れることとなった。
だが、実は薬学も季節の変わり目に体調を崩しやすい、姉と弟のためにという父の思惑から始まっている。どうせユーリには結婚相手もいない、無一文で追い出すのは体裁が悪い、だから薬師として働けばいい、何かあった時に役に立つだろうと思ってのことだった。
しかし、結婚するならば別である。女は結婚したら家におり、家のために働くべきだと考えており、結婚しても働くという選択肢はなく、自身の考え通りにならないことが不満だった。だが侯爵家もオーランドも賛成しているとなれば、とりあえず賛成するしかなかった。次第にユーリと二人きりになれば小言が増えていった。
「無理を言いやがって、折を見て、私には無理でしたと辞めるんだ。いいな?」
「なぜですか、認められています」
いつもとは違って、メルベールが関わっていないため、ユーリは強く主張した。
「だからお前が無理を言ったから、仕方なく折れてくださったんだ。そんなことも分からないのか?馬鹿はいつまで経っても馬鹿なんだな」
「そうでしょうか」
「はあ…察しの悪い、恥を掻くのはお前なんだ。私は良かれと思って言っているんだぞ。感謝して欲しいものだ」
「…」
父の小言は続いたが、侯爵家に言うことも出来ないことは分かっていたため、聞き流すようにして、結婚式の日を迎えた。
合同結婚式は花嫁花婿共に同じ装いで、対になるような華やかな式となった。 両親の数こそ二組だが、親族、友人たちも一堂に揃い、四人の門出を祝福した。
だがユーリだけはメルベールと同じ、純白のウエディングドレスを着ているのにも関わらず、ここにポンと置かれて、立たされている人形のような気持ちで、どこか他人事のように感じていた。
同じ顔で微笑むメルベールを見て、おめでとうと思う気持ちしかなく、結婚の実感が全くと言っていいほどなかった。
オーランドは昔とは違って、きちんと話が出来る人になっており、声を掛けてくれるようになったが、だからと言って苦手意識がなくなるわけではない。
本来なら良い相手と言えるのだろう、でも愚かな私はそうは思えなかった。
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