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真実5
「後悔していますか」
「ああ…悪かったと思っている」
サイラは最後までアレクスは悪かったとは認めないと思っていたので、メルベールの化けの皮を剥す必要があった。
「大なり小なりありますが、ユーリを殺したのはここにいる全員でしょう」
メルベールはむくれていたが、皆、否定は出来なかった。
「アレクスが一番強く当たり、私も止められなかった、ルオンは見て見ぬ振り、トスター侯爵とレイア夫人にお金を奪われ、オーランド君は不貞、メルベールは嘘のために利用され続けた。キリアムくんは…見る目がなかったことかしら」
「…はい」
唯一、メルベールに間接的には加担していたが、キリアムだけは直接、何かをしたということはない。
「あと、誤解のないように言っておきますが、ユーリがキリアムくんを好きだったことはないと思います。気遣って声を掛けて来る、幼なじみという存在でした」
「そんなはず……」
声を漏らしたのはメルベールだった。
「メルベールは、だからキリアムくんが欲しかったのでしょう?私はユーリにオーランドくんを仕向けたのもあなただと思っているのだけど、どうかしら?」
「その通りです。ユーリが貧乏男爵家と結婚させられると言われました。キリアムが好きだと聞いて諦めようとしましたが、ずっとユーリが好きだった。だから、結婚させて欲しいと…」
「都合がいいなどという言い方をしなければ良かったのに」
「…はい」
何か変わったかは今ではもう分からないが、オーランドの気持ちがユーリに伝わっていないことだけは、確かだろう。
「オーランドくんには酷だけど、メルベールが好意を持ったのは、その貧乏男爵家と言われた、ミランス・オーリー様だけです」
「…そ、そうでしたか」
「っな、あんな男爵家の、好きなわけないじゃない!」
何を言っているのよ、お見合いのようなもので、数回しか会っていない、男爵家の男なんて好きはなずがない。
それよりも幼なじみで、側にいたオーランドの方がいいに決まっているじゃない。
「あなた、会いに行ったんでしょう?身を引くように。私はてっきりアレクスが、強引に進めたのだと思ったけど、オーリー男爵夫妻に聞いたわ。ずっとユーリのことが好きだった、幼なじみと結婚する方が幸せだと…」
「男爵家と伯爵家よ、比べるまでもないじゃない」
「私は離縁してでも、ユーリと逃げて、どうにかあの子を嫁がせれば良かったと思っているわ。でもユーリに今さらだって言われたわ…」
サイラはあの時のユーリの顔を思い出して、ぽろぽろ涙を流した。
「どうせ幸せになんてなれなかったわよ!」
「そうかもしれない、でもこんな死に方をすることはなかったわ!」
「今さらじゃない!どうせその男だって、ユーリを忘れて、別の相手と結婚したんでしょう?」
「黙りなさい!ミランス様は、亡くなっているわ!」
「は?」
亡くなっている?まさかユーリのことが好きで、報われなかったから、死んだとでも言うのか?だったら、身を引かなければ良かったじゃない。
「ミランス・オーリー様は、ユーリが亡くなる一年前に事故で亡くなっています」
「事故なら、やっぱりユーリは結婚しなくて正解じゃない!」
サイラはメルベールを今日、一番強く睨んだ。
「ユーリは当分は辛かったけど、時が経てば落ち着いて、ミランス様が幸せそうな姿も見ることも出来るようになると、幸せを願っていたのよ。だから、彼の死は…ユーリには生にしがみつくことが、もう出来なかったんだと思うわ…そのきっかけを皆で作ってしまったのよ!」
「そんな…こと…知らないわ」
「私は、私は何も知らずに酷いことをしてしまったんだな…」
オーランドは悲痛に満ちた表情で、項垂れるしかなかった。
「ああ…悪かったと思っている」
サイラは最後までアレクスは悪かったとは認めないと思っていたので、メルベールの化けの皮を剥す必要があった。
「大なり小なりありますが、ユーリを殺したのはここにいる全員でしょう」
メルベールはむくれていたが、皆、否定は出来なかった。
「アレクスが一番強く当たり、私も止められなかった、ルオンは見て見ぬ振り、トスター侯爵とレイア夫人にお金を奪われ、オーランド君は不貞、メルベールは嘘のために利用され続けた。キリアムくんは…見る目がなかったことかしら」
「…はい」
唯一、メルベールに間接的には加担していたが、キリアムだけは直接、何かをしたということはない。
「あと、誤解のないように言っておきますが、ユーリがキリアムくんを好きだったことはないと思います。気遣って声を掛けて来る、幼なじみという存在でした」
「そんなはず……」
声を漏らしたのはメルベールだった。
「メルベールは、だからキリアムくんが欲しかったのでしょう?私はユーリにオーランドくんを仕向けたのもあなただと思っているのだけど、どうかしら?」
「その通りです。ユーリが貧乏男爵家と結婚させられると言われました。キリアムが好きだと聞いて諦めようとしましたが、ずっとユーリが好きだった。だから、結婚させて欲しいと…」
「都合がいいなどという言い方をしなければ良かったのに」
「…はい」
何か変わったかは今ではもう分からないが、オーランドの気持ちがユーリに伝わっていないことだけは、確かだろう。
「オーランドくんには酷だけど、メルベールが好意を持ったのは、その貧乏男爵家と言われた、ミランス・オーリー様だけです」
「…そ、そうでしたか」
「っな、あんな男爵家の、好きなわけないじゃない!」
何を言っているのよ、お見合いのようなもので、数回しか会っていない、男爵家の男なんて好きはなずがない。
それよりも幼なじみで、側にいたオーランドの方がいいに決まっているじゃない。
「あなた、会いに行ったんでしょう?身を引くように。私はてっきりアレクスが、強引に進めたのだと思ったけど、オーリー男爵夫妻に聞いたわ。ずっとユーリのことが好きだった、幼なじみと結婚する方が幸せだと…」
「男爵家と伯爵家よ、比べるまでもないじゃない」
「私は離縁してでも、ユーリと逃げて、どうにかあの子を嫁がせれば良かったと思っているわ。でもユーリに今さらだって言われたわ…」
サイラはあの時のユーリの顔を思い出して、ぽろぽろ涙を流した。
「どうせ幸せになんてなれなかったわよ!」
「そうかもしれない、でもこんな死に方をすることはなかったわ!」
「今さらじゃない!どうせその男だって、ユーリを忘れて、別の相手と結婚したんでしょう?」
「黙りなさい!ミランス様は、亡くなっているわ!」
「は?」
亡くなっている?まさかユーリのことが好きで、報われなかったから、死んだとでも言うのか?だったら、身を引かなければ良かったじゃない。
「ミランス・オーリー様は、ユーリが亡くなる一年前に事故で亡くなっています」
「事故なら、やっぱりユーリは結婚しなくて正解じゃない!」
サイラはメルベールを今日、一番強く睨んだ。
「ユーリは当分は辛かったけど、時が経てば落ち着いて、ミランス様が幸せそうな姿も見ることも出来るようになると、幸せを願っていたのよ。だから、彼の死は…ユーリには生にしがみつくことが、もう出来なかったんだと思うわ…そのきっかけを皆で作ってしまったのよ!」
「そんな…こと…知らないわ」
「私は、私は何も知らずに酷いことをしてしまったんだな…」
オーランドは悲痛に満ちた表情で、項垂れるしかなかった。
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追記
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