私のバラ色ではない人生

野村にれ

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獲物2

「は?だが、それもそうか。ポシッジュは国王陛下から叱られているはずだからな。ということは、夫人の独断ということか」

 イエフォール国王陛下の手紙に謝罪と、大公家の独断であり、王家は関与していないこと。しっかりを注意を行うことが書かれていた。

「そうかもしれないわね。でも、確かぁ、こちらにはぁ、イエフォール国王陛下から今後、大公家から何かご迷惑を掛けることがあれば、如何様にしていただいて構わないという一筆いただいていたわよねぇん」
「あの元側妃の話し方が、また降臨してしまったじゃないか!」
「ピッキーねっ!」
「ソアリス様、ビリリーにございます」

 キャロラインがとても申し訳なさそうに、訂正をした。

「まあ、全く当たってないじゃない!」

 ソアリスは自分を襲おうとしたのに、すっかり名前を忘れていた。

「正直、私も名前を忘れていた。キャロライン夫人、さすがだな」
「恐れ入ります」

 アンセムも元側妃と言ったように、名前を思い出せなかった。

「それで、この前はお世話になりましたとはあるけど、謝罪は一切なし。この前お会いした際に、誤解を解きたいので、訪問させていただくと書かれているわ」
「はあ?」
「訪問っていつなのですか?」
「さあね?」
「また急にやって来るのですか……」

 アンセムもチェチリーの手紙を読んだが、確かにソアリスが酷い顔になることが理解ができた。

「はあ……先触れだと思っているのだろうな」
「返事をしていないのに」
「それで、私の獲物にしてよろしいの?でも、今日は孫と遊ぼうと思ったのに」
「だが、ナイルスとイレナは限界だろう?」

 3歳児のナイルスは眠そうにしており、イレナは既に眠ってしまっている。

「だから、次はミオスとエマリーを攫おうと思っていたのに」

 孫攫い婆は、次は授業の終わったミオスとエマリーを攫おうと考えていた。

「今日、来るのですか?」

 マイノスの手紙を見たが、今日来るとは書いていないために、素朴な疑問を口にすると、ソアリスが目を逸らした。

「ソアリス?」
「またアンテナとか言うのでしょう?」
「今日、来ると思っているのですか!」
「多分ね……ああ!折角、午前で公務が終わったのにぃ!おやつを食べたら、お昼寝しようと思っていたのにぃん」

 言っていることがケイトで、口調はビリリーだが、ソアリスの日常である。

「だが、獲物いいのか?」
「いえ、消化不良だったから、迎え撃ちたいわね」
「そうだろう?再起不能にしてやるといい」
「父上、大丈夫ですか?」
「大丈夫だろう、折角の孫との時間を奪われたのだから、二度と来たくないようにしてやった方がいいだろう」

 アンセムもうんざりであった、イエフォール国王陛下からも許可を得ているのだから、この前よりもやりやすいだろう。そもそも、あれだけ言われたのに、よく来る気になるなという印象であった。

「実母を連れて来るのか……どうしようかしらね」
「母上を連れて行くか?」

 ソアリスが実母であるマルシャを呼ぶことはないために、テイラーなら力強い味方になるだろう。

「いいえ、隠居されたのに、美味しくない空気を吸わせたくないわ」
「自分がやられたら嫌だからだろう」
「さすが、じいさま!」
「マイノス、よく覚えておけ。隠居したら、ソアリスは手伝わないぞ!しかも、寝ていたら絶対に起きない」
「起きないのはよく知っております。手伝わないのも、想定内です」

 ソアリス度々、隠居を匂わせているが、アンセムもまだだろうと思っており、さらに頑なにユリウスとルルエが阻止している。

 隠居しても、無理を言えば手伝ってくれるだろうが、文句を言われながらになり、今の言葉で自分がやられたくない、テイラーはやってくれたという前例を作りたくないことが見え見えである。

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