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狩猟7
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ソアリスは面倒なことが日常であったために、諦めるということはしない。
ララシャは姉なので、上手く交わすことも多かったが、それ以外はちゃんと相手にはしてきたつもりである。
「そ、んなことありません」
「できない言い訳をして、努力したくなかったんじゃないのか?」
「努力しました」
「エクラオース王国がどうかは分からないが、そう言えば、出来なくても仕方ないと許されるのか?努力している姿を娘に見せて来たとでも言うのか?」
「そ、そうです!だから今、ピュアジュエルは頑張ろうとしているのだと思います」
活路を見出したチェチリーは、意気揚々と話し出した。
「身に付いていないのに?」
「身に付いていなくとも、母親として努力をしたことを見せることが大事なのです」
「都合の良い時だけ、母親面する奴が一番信用ならねぇんだよ!」
チェチリーとフェジェには分からないだろうが、誰よりも重みがあった。
「お前は娘の努力を自分のおかげだと言うのか?」
「そうではありません」
「そうだよな、お前はできねぇんだから、おっかしいもんな」
チェチリーは分からないが、ララシャならエミアンローズがもしも、良い成績、何か功績を残したり、褒められただけでも、自分のおかげだと言うだろう。
「で、お母様は実母としてどう思います?良しとしておりますの?発言を許可いたしますから、どうぞ答えてくださいませ」
もはや、何もできずに置物のようになっていたフェジェに、ソアリスの牙がついに向いた。
「いえ、私は……」
「私が母親だったら張り倒したいところですけど?」
いや、ほほほほほと言いながら、連れ出して、実際に張り倒すだろうと、クロンデール王国側はもれなく思った。
「やることもやらないくせに、一丁前に大公夫人を名乗ってんじゃねぇよって思いませんか?ご存じありませんでしたの?」
「っあ、その……」
「お母様は60代くらいでしょう?」
「はい……?」
「私とそこまで変わらないのだから、大きく意見は変わらないと思うのですけど」
「っえ、いえ、はい」
ソアリスはいくつだったかと頭を働かせたが、思い出せなかった。チェチリーより見た目は年下に見えるが、おそらく間違っている。
だが、自分が言うべき言葉はそうではない。
「娘が申し訳ございません、大変失礼なことばかりを、申し訳ございません」
「お母様?」
「失礼を通り越しているわ、私はどうしていいのか分からないのに。あなたは……どうなっているの」
フェジェは黙っている間に考えていたこと、混乱に陥っていたことを、チェチリーにぶつけた。
「だって、ピュアジュエルにはカイルス殿下が必要なの」
「お断りになられているじゃない。ピュアジュエルがいくら今、努力をしていても、本来は身に付けてから話すべきことでしょう?いい加減になさい」
ソアリスはフェジェは賛同する様子はなく、どちらかと言うと驚いているような様子で、同類とまでは思っていなかったが、常識がある方だったようだと見ていた。
「でも、幸せになって欲しいのよ。お母様もそう言っていたでしょう?」
「そうだとしても、こちらで話すことではないわ。大変失礼いたしました、ポシッジュ様にもこのことはちゃんと伝えます」
フェジェは頭を下げて、必死で訴え、チェチリーに頭を下げなさいと叱りつけた。
「どうして!このまま帰るわけには!っあ!ピュアジュエルは、社交は得意です」
「共通語もできないのに、どうやって社交するんだ?」
「共通語なんて、分かる方がいればいいではありませんか」
「なんてだと?」
ソアリスの眉間の皺が今日一番、深く刻まれた。
アンセムはその様子を、美容はメイド任せであるために、皴など気にもしないが、細い木の枝が挟まりそうなほどで、瞳も炎が見えるような気がする。
ララシャは姉なので、上手く交わすことも多かったが、それ以外はちゃんと相手にはしてきたつもりである。
「そ、んなことありません」
「できない言い訳をして、努力したくなかったんじゃないのか?」
「努力しました」
「エクラオース王国がどうかは分からないが、そう言えば、出来なくても仕方ないと許されるのか?努力している姿を娘に見せて来たとでも言うのか?」
「そ、そうです!だから今、ピュアジュエルは頑張ろうとしているのだと思います」
活路を見出したチェチリーは、意気揚々と話し出した。
「身に付いていないのに?」
「身に付いていなくとも、母親として努力をしたことを見せることが大事なのです」
「都合の良い時だけ、母親面する奴が一番信用ならねぇんだよ!」
チェチリーとフェジェには分からないだろうが、誰よりも重みがあった。
「お前は娘の努力を自分のおかげだと言うのか?」
「そうではありません」
「そうだよな、お前はできねぇんだから、おっかしいもんな」
チェチリーは分からないが、ララシャならエミアンローズがもしも、良い成績、何か功績を残したり、褒められただけでも、自分のおかげだと言うだろう。
「で、お母様は実母としてどう思います?良しとしておりますの?発言を許可いたしますから、どうぞ答えてくださいませ」
もはや、何もできずに置物のようになっていたフェジェに、ソアリスの牙がついに向いた。
「いえ、私は……」
「私が母親だったら張り倒したいところですけど?」
いや、ほほほほほと言いながら、連れ出して、実際に張り倒すだろうと、クロンデール王国側はもれなく思った。
「やることもやらないくせに、一丁前に大公夫人を名乗ってんじゃねぇよって思いませんか?ご存じありませんでしたの?」
「っあ、その……」
「お母様は60代くらいでしょう?」
「はい……?」
「私とそこまで変わらないのだから、大きく意見は変わらないと思うのですけど」
「っえ、いえ、はい」
ソアリスはいくつだったかと頭を働かせたが、思い出せなかった。チェチリーより見た目は年下に見えるが、おそらく間違っている。
だが、自分が言うべき言葉はそうではない。
「娘が申し訳ございません、大変失礼なことばかりを、申し訳ございません」
「お母様?」
「失礼を通り越しているわ、私はどうしていいのか分からないのに。あなたは……どうなっているの」
フェジェは黙っている間に考えていたこと、混乱に陥っていたことを、チェチリーにぶつけた。
「だって、ピュアジュエルにはカイルス殿下が必要なの」
「お断りになられているじゃない。ピュアジュエルがいくら今、努力をしていても、本来は身に付けてから話すべきことでしょう?いい加減になさい」
ソアリスはフェジェは賛同する様子はなく、どちらかと言うと驚いているような様子で、同類とまでは思っていなかったが、常識がある方だったようだと見ていた。
「でも、幸せになって欲しいのよ。お母様もそう言っていたでしょう?」
「そうだとしても、こちらで話すことではないわ。大変失礼いたしました、ポシッジュ様にもこのことはちゃんと伝えます」
フェジェは頭を下げて、必死で訴え、チェチリーに頭を下げなさいと叱りつけた。
「どうして!このまま帰るわけには!っあ!ピュアジュエルは、社交は得意です」
「共通語もできないのに、どうやって社交するんだ?」
「共通語なんて、分かる方がいればいいではありませんか」
「なんてだと?」
ソアリスの眉間の皺が今日一番、深く刻まれた。
アンセムはその様子を、美容はメイド任せであるために、皴など気にもしないが、細い木の枝が挟まりそうなほどで、瞳も炎が見えるような気がする。
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