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狩猟の後始末2
「いびられた上で、お尻を叩かれるでしょうね」
「ああ、叩かない選択肢はないだろう」
「私に生尻を叩かれたと周りに吹聴するといいわと、言いそうですね」
「違いない」
オーランとクイオも、お尻を叩きたいという並々ならぬ気持ちを抱えていることをよく聞いている。
「しれっとした顔で、ええ、正確に下着を下にずらして、生尻をベチンベチン叩きましたわって認めるんでしょうね」
「ああ……」
ソアリスが爽快な顔で、話している姿が三人の目に浮かぶ。
確実に婚約解消もしくは、離縁になるだろう。
「基本的に何を言っても返されますし、手を出されても、負ける姿が想像できません。そもそも、悪いのは相手ですからね。今日も泣き出してからが本番だとでも、思っていそうな勢いでしたね」
「ああ……あれが本来の姿なのだよ」
「王子殿下や王女殿下が、叱られて泣いているようなところはあまり見たことがありませんが、どうされていたのですか?」
「怒られてということはあまりないな」
ソアリスが怒ったことがないなどと言うことはないが、そう多くない。
それなりに成長してからは減り、それはソアリスが自分の評価が低いために、王族としてという部分以外は私が怒るところではないと考えている。
「そうなのですか?」
「自我が芽生えてから泣くと言っても、ソアリスは寝ると起きないから、お母様が起きないとか、お母様がどこにもいないとか……」
「後者はカイルス様ですね」
「ああ、二人もよく見ただろう」
オーランとクイオも、度々、見た光景であった。
「ごきょうだいでの喧嘩の際は?」
「ああ、本気で怒ることはないが、口で勝てないからと手を振り上げた時は、素早い早さで腕を掴んで何をしようとしたと凄んでいたな。泣き喚いていたが、ソアリスはネチネチ、ネチネチ叱っていた」
「それは、そうですよね」
「はい」
先程もチェチリーを脅していたが、一方的に暴力を振るうことは許さない。
「それは人間以下の者がすることだ。相手は手を出していない、話せるのだから、口で言いなさいとね。それで駄目なら、両手で頬を引っ張りなさいと。当時は私もよく分かっていなかったから、動揺しながら宥めたのだが、一方的に叩くなんて、クソがやることだと言われたよね」
「おっしゃるでしょうね」
「はい、想像しかできないです」
頬を引っ張るというのも、力の強さはあるが、黙らせるには効果的である。
ゆえに、きょうだい喧嘩に、頬を引っ張るというのは、許可されたことだと、揉みくちゃになっていることもあり、ソアリスが事情を聞かれることにもなった。
「母上に事情を聞かれたそうなんだよ、お母様がいいって言ったとね。だが、ソアリスはしれっと、頬を引っ張る時は概ね顔を突き合わせるでしょう?子どもの喧嘩は目を合わせていれば、いずれ終わりますとね」
「ああ、なるほど……分かる気がします」
「無視ではなく、顔を突き合わせることが大事ということですね」
二人も子どもたちが幼かった頃を思い出し、しかも王家はカイルスとケイトは年が離れているが、年が近いことでお互いに思うことがあっただろう。
「自我が芽生えた証拠です。折角、血の繋がったきょうだいなのですから、お互いを知るために向き合えばいいのですと言い切られて、あの母上も納得したそうだ」
「私も納得する思います。王子殿下も王女殿下も、今の成長したお姿を見る限り、間違っていないと思います」
「その通りです」
アンセムはソアリスからではなく、ロランからその話を聞かされて、そういう意味だったのかと、回り道をして理解した。
「ソアリスに誰も敵うと思っていないだろうからな」
「アンセム様は、狩猟にも参加できませんでしたね」
「あれに加勢できる力を私は持っていない」
「さようですね」
「誰も持っておりませんよ」
「ああ、叩かない選択肢はないだろう」
「私に生尻を叩かれたと周りに吹聴するといいわと、言いそうですね」
「違いない」
オーランとクイオも、お尻を叩きたいという並々ならぬ気持ちを抱えていることをよく聞いている。
「しれっとした顔で、ええ、正確に下着を下にずらして、生尻をベチンベチン叩きましたわって認めるんでしょうね」
「ああ……」
ソアリスが爽快な顔で、話している姿が三人の目に浮かぶ。
確実に婚約解消もしくは、離縁になるだろう。
「基本的に何を言っても返されますし、手を出されても、負ける姿が想像できません。そもそも、悪いのは相手ですからね。今日も泣き出してからが本番だとでも、思っていそうな勢いでしたね」
「ああ……あれが本来の姿なのだよ」
「王子殿下や王女殿下が、叱られて泣いているようなところはあまり見たことがありませんが、どうされていたのですか?」
「怒られてということはあまりないな」
ソアリスが怒ったことがないなどと言うことはないが、そう多くない。
それなりに成長してからは減り、それはソアリスが自分の評価が低いために、王族としてという部分以外は私が怒るところではないと考えている。
「そうなのですか?」
「自我が芽生えてから泣くと言っても、ソアリスは寝ると起きないから、お母様が起きないとか、お母様がどこにもいないとか……」
「後者はカイルス様ですね」
「ああ、二人もよく見ただろう」
オーランとクイオも、度々、見た光景であった。
「ごきょうだいでの喧嘩の際は?」
「ああ、本気で怒ることはないが、口で勝てないからと手を振り上げた時は、素早い早さで腕を掴んで何をしようとしたと凄んでいたな。泣き喚いていたが、ソアリスはネチネチ、ネチネチ叱っていた」
「それは、そうですよね」
「はい」
先程もチェチリーを脅していたが、一方的に暴力を振るうことは許さない。
「それは人間以下の者がすることだ。相手は手を出していない、話せるのだから、口で言いなさいとね。それで駄目なら、両手で頬を引っ張りなさいと。当時は私もよく分かっていなかったから、動揺しながら宥めたのだが、一方的に叩くなんて、クソがやることだと言われたよね」
「おっしゃるでしょうね」
「はい、想像しかできないです」
頬を引っ張るというのも、力の強さはあるが、黙らせるには効果的である。
ゆえに、きょうだい喧嘩に、頬を引っ張るというのは、許可されたことだと、揉みくちゃになっていることもあり、ソアリスが事情を聞かれることにもなった。
「母上に事情を聞かれたそうなんだよ、お母様がいいって言ったとね。だが、ソアリスはしれっと、頬を引っ張る時は概ね顔を突き合わせるでしょう?子どもの喧嘩は目を合わせていれば、いずれ終わりますとね」
「ああ、なるほど……分かる気がします」
「無視ではなく、顔を突き合わせることが大事ということですね」
二人も子どもたちが幼かった頃を思い出し、しかも王家はカイルスとケイトは年が離れているが、年が近いことでお互いに思うことがあっただろう。
「自我が芽生えた証拠です。折角、血の繋がったきょうだいなのですから、お互いを知るために向き合えばいいのですと言い切られて、あの母上も納得したそうだ」
「私も納得する思います。王子殿下も王女殿下も、今の成長したお姿を見る限り、間違っていないと思います」
「その通りです」
アンセムはソアリスからではなく、ロランからその話を聞かされて、そういう意味だったのかと、回り道をして理解した。
「ソアリスに誰も敵うと思っていないだろうからな」
「アンセム様は、狩猟にも参加できませんでしたね」
「あれに加勢できる力を私は持っていない」
「さようですね」
「誰も持っておりませんよ」
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