708 / 861
お詫び5
「ああ!」
ソアリスが急に大きな声を出し、珍しいことではないのだが、アンセムも驚いた。
「何だ?どうした?」
「まさか下半身が痒かったのか?」
「っえ」
「あれは掻いていたのですか?」
「うわっ」
一気に別の問題が沸き上がり、ソアリスと侍女たちはゾッとし、両手で腕を擦っている。
「もぞもぞしながら、患部を刺激していたのかもしれないわ」
「っひ」
「何て大胆な」
「もはや、不届き者では?」
王妃の前で耐えられない痒みなど、もはや重症だろうとアンセムとオーランとクイオは思ったが、絶対に違うとは言い切れないために口を挟まなかった。
「消毒をしておきましょう」
「そうですわね」
「すぐに、すぐにしましょう。メイドに伝えて来ます」
「手袋させてね」
「はい!」
キャロラインが早歩きで向かって行き、皆、ホッと胸を撫で下ろした。
「カイメル子爵の嫡男の夫人ってことは……」
「マーガレッタ夫人ですね」
アンセムが思い出そうとすると、オーランがすぐさま答えた。
マーガレッタ夫人はおっとりしており、ソアリスの周りにはいないタイプだが、だからと言って気が合わないという話ではない。
「そういった傾向があるのか?」
「そのような噂は聞いたことがありません。ソアリス様の前で緊張されていたのではないかと思いますけど、下の話までは分かりません」
「母がカイメル子爵夫人と知り合いですから、探りを入れておきます」
言い出したのはクイオで、こちらも皆で頷き合った。
そして、皆でソアリスの執務室に書類の受け取りも兼ねて、到着するとキャロラインとメイドたちがしかめっ面で、キュッキュッとマーガレッタの座っていたソファを拭いていた。
「ごめんなさいね」
「いえ!お任せください」
「念のため換気もさせていただいております」
アンセムとオーランとクイオはキャロラインは一体、何と説明したのだろうかと思うほどであったが、聞かないことにした。
マーガレッタの座ったソファは当面外した方がいいだろうと判断されたので、アンセムとソアリスは安全に腰を下ろした。
「宰相は輸入が減ったことにも気付いているだろうな」
「当然でしょう。お詫びはいただきましたが、苦情もありませんから、戻すことはないですわ」
「食べ比べができていいという話もあります」
クロンデール王国はバナナとパイナップルを、エクラオース王国から八割輸入していたが、ネリロオス王国と半々にすることにした。
クジモア侯爵の話に出ていた公爵の国である、ネリロオス王国の輸入を増やしたのである。
これこそが、ソアリスの秘策であった。
「アロワ王国の王妃陛下に、姪がネリロオス王国の王太子妃だと伺っておりましたので、お手紙を書かせていただきましたの」
「そのような伝手があったなんて、知らなかったよ」
「怪我はしておりませんけど、怪我の功名ですわよ?」
「ああ、何だったか」
「思い出せませんでしょう?私も犯人の名なのにぇ、すっかり忘れましたのぉ」
アンセムはソアリスを襲ったロンド王国の元側妃の名前が、全く思い出せなくなっていた。
「喋り方は覚えているのにな、まだ名は言わないでくれ」
侍女たちは覚えているが、オーランとクイオは渋い顔をしている。
ソアリスたちも最近、こういった思い出せないことを自力で思い出すことをよくやっており、すぐに必要な場以外は言わないようにしていた。
「うーん、短かった気がする」
「そうだったかしらぃ?煩そうな名前だったようなぅ?」
アンセムは真剣に考えているが、ソアリスは真剣に考えてもいない。
「ブーリン鼻クソ妃と、ブリブリーヌ王女は思い出せるのに」
「おりましたわね」
「いない!断じていない!誤解を招く言い方はやめなさい」
側妃は選定すらしていないと思い、アンセムは大きな声で否定した。
ソアリスが急に大きな声を出し、珍しいことではないのだが、アンセムも驚いた。
「何だ?どうした?」
「まさか下半身が痒かったのか?」
「っえ」
「あれは掻いていたのですか?」
「うわっ」
一気に別の問題が沸き上がり、ソアリスと侍女たちはゾッとし、両手で腕を擦っている。
「もぞもぞしながら、患部を刺激していたのかもしれないわ」
「っひ」
「何て大胆な」
「もはや、不届き者では?」
王妃の前で耐えられない痒みなど、もはや重症だろうとアンセムとオーランとクイオは思ったが、絶対に違うとは言い切れないために口を挟まなかった。
「消毒をしておきましょう」
「そうですわね」
「すぐに、すぐにしましょう。メイドに伝えて来ます」
「手袋させてね」
「はい!」
キャロラインが早歩きで向かって行き、皆、ホッと胸を撫で下ろした。
「カイメル子爵の嫡男の夫人ってことは……」
「マーガレッタ夫人ですね」
アンセムが思い出そうとすると、オーランがすぐさま答えた。
マーガレッタ夫人はおっとりしており、ソアリスの周りにはいないタイプだが、だからと言って気が合わないという話ではない。
「そういった傾向があるのか?」
「そのような噂は聞いたことがありません。ソアリス様の前で緊張されていたのではないかと思いますけど、下の話までは分かりません」
「母がカイメル子爵夫人と知り合いですから、探りを入れておきます」
言い出したのはクイオで、こちらも皆で頷き合った。
そして、皆でソアリスの執務室に書類の受け取りも兼ねて、到着するとキャロラインとメイドたちがしかめっ面で、キュッキュッとマーガレッタの座っていたソファを拭いていた。
「ごめんなさいね」
「いえ!お任せください」
「念のため換気もさせていただいております」
アンセムとオーランとクイオはキャロラインは一体、何と説明したのだろうかと思うほどであったが、聞かないことにした。
マーガレッタの座ったソファは当面外した方がいいだろうと判断されたので、アンセムとソアリスは安全に腰を下ろした。
「宰相は輸入が減ったことにも気付いているだろうな」
「当然でしょう。お詫びはいただきましたが、苦情もありませんから、戻すことはないですわ」
「食べ比べができていいという話もあります」
クロンデール王国はバナナとパイナップルを、エクラオース王国から八割輸入していたが、ネリロオス王国と半々にすることにした。
クジモア侯爵の話に出ていた公爵の国である、ネリロオス王国の輸入を増やしたのである。
これこそが、ソアリスの秘策であった。
「アロワ王国の王妃陛下に、姪がネリロオス王国の王太子妃だと伺っておりましたので、お手紙を書かせていただきましたの」
「そのような伝手があったなんて、知らなかったよ」
「怪我はしておりませんけど、怪我の功名ですわよ?」
「ああ、何だったか」
「思い出せませんでしょう?私も犯人の名なのにぇ、すっかり忘れましたのぉ」
アンセムはソアリスを襲ったロンド王国の元側妃の名前が、全く思い出せなくなっていた。
「喋り方は覚えているのにな、まだ名は言わないでくれ」
侍女たちは覚えているが、オーランとクイオは渋い顔をしている。
ソアリスたちも最近、こういった思い出せないことを自力で思い出すことをよくやっており、すぐに必要な場以外は言わないようにしていた。
「うーん、短かった気がする」
「そうだったかしらぃ?煩そうな名前だったようなぅ?」
アンセムは真剣に考えているが、ソアリスは真剣に考えてもいない。
「ブーリン鼻クソ妃と、ブリブリーヌ王女は思い出せるのに」
「おりましたわね」
「いない!断じていない!誤解を招く言い方はやめなさい」
側妃は選定すらしていないと思い、アンセムは大きな声で否定した。
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています
かきんとう
恋愛
王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。
磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。
その中心に、私は立っていた。
――今日、この瞬間のために。
「エレノア・フォン・リーベルト嬢」
高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。
【完結】魔女令嬢はただ静かに生きていたいだけ
⚪︎
恋愛
公爵家の令嬢として傲慢に育った十歳の少女、エマ・ルソーネは、ちょっとした事故により前世の記憶を思い出し、今世が乙女ゲームの世界であることに気付く。しかも自分は、魔女の血を引く最低最悪の悪役令嬢だった。
待っているのはオールデスエンド。回避すべく動くも、何故だが攻略対象たちとの接点は増えるばかりで、あれよあれよという間に物語の筋書き通り、魔法研究機関に入所することになってしまう。
ひたすら静かに過ごすことに努めるエマを、研究所に集った癖のある者たちの脅威が襲う。日々の苦悩に、エマの胃痛はとどまる所を知らない……
ある王国の王室の物語
朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。
顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。
それから
「承知しました」とだけ言った。
ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。
それからバウンドケーキに手を伸ばした。
カクヨムで公開したものに手を入れたものです。
さようなら、私の初恋
しょくぱん
恋愛
「さよなら、私の初恋。……もう、全部お返しします」
物心ついた時から、彼だけが世界のすべてだった。 幼馴染の騎士団長・レオンに捧げた、十数年の純粋な初恋。 彼が「無敵」でいられたのは、アリアが無自覚に与え続けた『治癒の加護』があったから。
だが婚約直前、アリアは知ってしまう。 彼にとって自分は、仲間内で競い合う「賭けの対象」でしかなかったことを。
「あんな女、落とすまでのゲームだよ」
元カレの今カノは聖女様
abang
恋愛
「イブリア……私と別れて欲しい」
公爵令嬢 イブリア・バロウズは聖女と王太子の愛を妨げる悪女で社交界の嫌われ者。
婚約者である王太子 ルシアン・ランベールの関心は、品行方正、心優しく美人で慈悲深い聖女、セリエ・ジェスランに奪われ王太子ルシアンはついにイブリアに別れを切り出す。
極め付けには、王妃から嫉妬に狂うただの公爵令嬢よりも、聖女が婚約者に適任だと「ルシアンと別れて頂戴」と多額の手切れ金。
社交会では嫉妬に狂った憐れな令嬢に"仕立てあげられ"周りの人間はどんどんと距離を取っていくばかり。
けれども当の本人は…
「悲しいけれど、過ぎればもう過去のことよ」
と、噂とは違いあっさりとした様子のイブリア。
それどころか自由を謳歌する彼女はとても楽しげな様子。
そんなイブリアの態度がルシアンは何故か気に入らない様子で…
更には婚約破棄されたイブリアの婚約者の座を狙う王太子の側近達。
「私をあんなにも嫌っていた、聖女様の取り巻き達が一体私に何の用事があって絡むの!?嫌がらせかしら……!」
捨てた私をもう一度拾うおつもりですか?
ミィタソ
恋愛
「みんな聞いてくれ! 今日をもって、エルザ・ローグアシュタルとの婚約を破棄する! そして、その妹——アイリス・ローグアシュタルと正式に婚約することを決めた! 今日という祝いの日に、みんなに伝えることができ、嬉しく思う……」
ローグアシュタル公爵家の長女――エルザは、マクーン・ザルカンド王子の誕生日記念パーティーで婚約破棄を言い渡される。
それどころか、王子の横には舌を出して笑うエルザの妹――アイリスの姿が。
傷心を癒すため、父親の勧めで隣国へ行くのだが……
【完結】旦那様、どうぞ王女様とお幸せに!~転生妻は離婚してもふもふライフをエンジョイしようと思います~
魯恒凛
恋愛
地味で気弱なクラリスは夫とは結婚して二年経つのにいまだに触れられることもなく、会話もない。伯爵夫人とは思えないほど使用人たちにいびられ冷遇される日々。魔獣騎士として人気の高い夫と国民の妹として愛される王女の仲を引き裂いたとして、巷では悪女クラリスへの風当たりがきついのだ。
ある日前世の記憶が甦ったクラリスは悟る。若いクラリスにこんな状況はもったいない。白い結婚を理由に円満離婚をして、夫には王女と幸せになってもらおうと決意する。そして、離婚後は田舎でもふもふカフェを開こうと……!
そのためにこっそり仕事を始めたものの、ひょんなことから夫と友達に!?
「好きな相手とどうやったらうまくいくか教えてほしい」
初恋だった夫。胸が痛むけど、お互いの幸せのために王女との仲を応援することに。
でもなんだか様子がおかしくて……?
不器用で一途な夫と前世の記憶が甦ったサバサバ妻の、すれ違い両片思いのラブコメディ。
※5/19〜5/21 HOTランキング1位!たくさんの方にお読みいただきありがとうございます
※他サイトでも公開しています。
【無断転載・AI利用禁止 / No Unauthorized Use or AI Training】
本作品の無断転載・複製・AI学習利用を禁じます。
Unauthorized reproduction or use for AI training is strictly prohibited.
© 魯恒凛 / RoKourin
【完結】婚約破棄?勘当?私を嘲笑う人達は私が不幸になる事を望んでいましたが、残念ながら不幸になるのは貴方達ですよ♪
山葵
恋愛
「シンシア、君との婚約は破棄させてもらう。君の代わりにマリアーナと婚約する。これはジラルダ侯爵も了承している。姉妹での婚約者の交代、慰謝料は無しだ。」
「マリアーナとランバルド殿下が婚約するのだ。お前は不要、勘当とする。」
「国王陛下は承諾されているのですか?本当に良いのですか?」
「別に姉から妹に婚約者が変わっただけでジラルダ侯爵家との縁が切れたわけではない。父上も承諾するさっ。」
「お前がジラルダ侯爵家に居る事が、婿入りされるランバルド殿下を不快にするのだ。」
そう言うとお父様、いえジラルダ侯爵は、除籍届けと婚約解消届け、そしてマリアーナとランバルド殿下の婚約届けにサインした。
私を嘲笑って喜んでいる4人の声が可笑しくて笑いを堪えた。
さぁて貴方達はいつまで笑っていられるのかしらね♪