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エリザベータ王妃陛下3
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息子で王太子であるジュリアンは優秀ではあるが、子どもには興味を持たななかった。側妃は二人いるが、王太子妃であるシェリーが第一子出産の際に、次の子どもは望めなくなってしまい、側妃を娶ることになった。
二人なのも、一人だと一対一になってしまうからと、ジュリアンの希望で二人にしたのである。
とは言え、権力争いなどはなく、ジュリアンはシェリーを優先し、側妃は側妃という扱いで、一線を引いていた。そうでなければ、追い出されて終わりである。
子どもはシェリーに王子が一人、側妃リーンに王女が二人、フィーネに王女が二人と王子が一人がいる。
だが、フィーネがセレニティの母で、9年前に病気で亡くなり、結局今は、ジュリアンには正妃と側妃が一人いる状態である。
『側妃のいない者には分からないと言われましたか?』
『まあ、そんな力もあるの?』
『私も言われたものですから』
『そうなの、お義母様には分かりませんわって言われて、そんなこと言われてもって思っちゃったわ』
『私は想像してみましたのよ?』
『まあ』
エリザベータはジュリアンと王子と王女の二人産んでいるが、シェリーと同じ立場なら、側妃を勧めただろう。
だが、実際にはいないことで、気持ちまでは分からない。
『正直、実際にいると思っていた頃もあったのですけどね』
『えっ』
『ふふふ、我が国は一緒に生活しませんから、どこかにいるんだろうって思っておりましたの。それがただいなかっただけですの』
エリザベータは王太子妃、王妃の覚悟を持てる女性だと感じた。
『あなたは七人も子どもがいるんだから』
『おかげさまで健康だけが取り柄ですから』
エリザベータも三人でも大変だったと分かっている身としては倍以上、頭が下がる思いであった。孫を集めても六人、それよりも多いのである。
産むだけでも大変な上に、王子や王女たちを見れば、それこそ放置されていたとは考えられない。しかも、自分が放置されていたということから、同じことをする者もいるが、ソアリスの様子から同じ目には遭わせないだろう。
王家なら色んな目があるからと思うところもあるが、あったにも関わらず、セレニティのような状態になっていたエリザベータには何も言えなかった。
『側妃様のご実家は?』
『そちらにも何も言っていなかったみたいなの』
『ごきょうだいは?』
『同じ母親の姉と兄がいるんだけど、それもこの子が何も言わないものだから知らなかったらしいの』
19歳の王女というのが、セレニティの姉にあたる。
『ソアリスはご実家との関係は?』
『最悪ですね、でも今では立場は大逆転しておりますから、言いなりですわよ、ほほほほほ』
『それは最高ね』
『そうでございましょう?都合よく扱われたので、都合よく扱っておりますの』
『当然の報いだわ』
『やったことは、やり返されると思って生きなければなりませんわ』
『それは当然のことね』
ソアリスもだが、エリザベータも覚悟を持って向き合っている。
『それで、もしも留学となった場合は、教育はどうされますか?アロワ王国の何か決まりがありますか?』
『カリキュラムはありますが、そのまましていただかなくてもいいわ』
『いえ、こちらもそちらを参考にしていただいても構いませんか?』
『勿論よ、私が許可しますわ』
フェリックスにもエリザベータが決めていいと言われており、何か求められれば受け入れる覚悟であった。カリキュラムなど、求められるような話ですらない。
『こちらも勉強になると思いますの。ちゃんと教育はプロに任せますから、すっかり口が悪くなっていたなんてことにはなりませんから、ご安心ください』
『それは、あなたのお子様を見れば分かるわ』
『ありがとうございます』
ソアリスは再び、セレニティに向き合った。
二人なのも、一人だと一対一になってしまうからと、ジュリアンの希望で二人にしたのである。
とは言え、権力争いなどはなく、ジュリアンはシェリーを優先し、側妃は側妃という扱いで、一線を引いていた。そうでなければ、追い出されて終わりである。
子どもはシェリーに王子が一人、側妃リーンに王女が二人、フィーネに王女が二人と王子が一人がいる。
だが、フィーネがセレニティの母で、9年前に病気で亡くなり、結局今は、ジュリアンには正妃と側妃が一人いる状態である。
『側妃のいない者には分からないと言われましたか?』
『まあ、そんな力もあるの?』
『私も言われたものですから』
『そうなの、お義母様には分かりませんわって言われて、そんなこと言われてもって思っちゃったわ』
『私は想像してみましたのよ?』
『まあ』
エリザベータはジュリアンと王子と王女の二人産んでいるが、シェリーと同じ立場なら、側妃を勧めただろう。
だが、実際にはいないことで、気持ちまでは分からない。
『正直、実際にいると思っていた頃もあったのですけどね』
『えっ』
『ふふふ、我が国は一緒に生活しませんから、どこかにいるんだろうって思っておりましたの。それがただいなかっただけですの』
エリザベータは王太子妃、王妃の覚悟を持てる女性だと感じた。
『あなたは七人も子どもがいるんだから』
『おかげさまで健康だけが取り柄ですから』
エリザベータも三人でも大変だったと分かっている身としては倍以上、頭が下がる思いであった。孫を集めても六人、それよりも多いのである。
産むだけでも大変な上に、王子や王女たちを見れば、それこそ放置されていたとは考えられない。しかも、自分が放置されていたということから、同じことをする者もいるが、ソアリスの様子から同じ目には遭わせないだろう。
王家なら色んな目があるからと思うところもあるが、あったにも関わらず、セレニティのような状態になっていたエリザベータには何も言えなかった。
『側妃様のご実家は?』
『そちらにも何も言っていなかったみたいなの』
『ごきょうだいは?』
『同じ母親の姉と兄がいるんだけど、それもこの子が何も言わないものだから知らなかったらしいの』
19歳の王女というのが、セレニティの姉にあたる。
『ソアリスはご実家との関係は?』
『最悪ですね、でも今では立場は大逆転しておりますから、言いなりですわよ、ほほほほほ』
『それは最高ね』
『そうでございましょう?都合よく扱われたので、都合よく扱っておりますの』
『当然の報いだわ』
『やったことは、やり返されると思って生きなければなりませんわ』
『それは当然のことね』
ソアリスもだが、エリザベータも覚悟を持って向き合っている。
『それで、もしも留学となった場合は、教育はどうされますか?アロワ王国の何か決まりがありますか?』
『カリキュラムはありますが、そのまましていただかなくてもいいわ』
『いえ、こちらもそちらを参考にしていただいても構いませんか?』
『勿論よ、私が許可しますわ』
フェリックスにもエリザベータが決めていいと言われており、何か求められれば受け入れる覚悟であった。カリキュラムなど、求められるような話ですらない。
『こちらも勉強になると思いますの。ちゃんと教育はプロに任せますから、すっかり口が悪くなっていたなんてことにはなりませんから、ご安心ください』
『それは、あなたのお子様を見れば分かるわ』
『ありがとうございます』
ソアリスは再び、セレニティに向き合った。
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