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抗議文と謝罪3
「あなた、相当やられたのね」
「ええ、王太子妃様にはまだ難しいかもしれませんがなんて言っていた者が、共通語が分からないなんて!信じられません!」
「そんなこと言われていたのね」
「お若いということは無知でいいと言うわけではありませんとも言われましたわ!すべてのことを私が知っているわけではありません」
工場のやり方について、どういった物か分からなかったために訊ねた際に言われたことである。
「それはそうよ」
「それをねちねちねちねち、言うのですよ!あの更地まっしぐらは!陛下への報告書に名前ではなく、ぜーんぶ、はげあがった絵にしてやろうかと思いましたわ」
毛をむしろ取ろうとする絵を付けて、報告書を届けてもらったことも多々あり、アンセムが保管していた中に、実はあったのである。
「それは、ええ、気持ちは分かるけど」
「とても嫌な方でございますね」
「そうなの」
セレニティもこのソアリスの捲し立てる様に話すことにも、慣れて来ており、参加することもできるようになっていた。
「あの、希望の轍というのは馬車が通った後の車輪の跡ということですよね……?」
「そうよ。サイドにちょっぴり、しょわしょわって残っていたでしょう?」
「しょわしょわ……」
アンセムとおなじように、しょわしょわが引っ掛かてしまい、希望の轍について確認したかったのに、すっかり薄れてしまっていた。
「あれがもっと前はあったの、それこそ車輪の後くらい」
「な、なるほど……」
「酷い例えでしょう?セレニティは真似ては駄目よ」
「お義母様、さすがに私だって本人は一度も言っておりませんよ。頭の中で呼びつけて罵るだけですわ」
「頭の中で、ですか?」
「そう、この王妃陛下の処世術よ」
「なるほど……」
セレニティは口に出せば傷付けたり問題になるが、頭の中で考えるだけなら問題にはならない。改めて言われて、そんなことを考えたこともなかったセレニティは、とても納得した。
「と言うことは、ケイトはまだまだってことね」
「共通語だったことと、6歳ですから、ギリギリってところかしら?」
「そうね、2歳はセーフだと思うけど」
「気を付けるようにも言っておきますわ。正直、あれには言ってもいいと思っていた自分がいたのですけどね」
はげむすめについては、実は誰も注意してはおらず、ソアリスも言われて当然と思ってしまっていた。だが、ケイトも7歳であるために、注意しておかなくてはならない。
「まあ、今回はセレニティのことを助けたのですから、褒めるべきことですけどね」
「ちゃんと褒めましたよ、報酬も与えました」
「報酬制なの?」
「そうではないのですけど、散歩をしていたりするので、王宮のことで結構気付くことが多いのですよ」
ケイトはソアリスに似ていることから、変化に気付く質である。
「ですので、何かあったら教えてと言ってありましたの。それで成果に応じて、おやつを与えております。やる気が違いますから」
「ケイトらしいわね……」
「ちゃっかりしておる」
テラーとロランも、ケイトは王女としてということもあるが、おやつを期待していたのもさすがケイトというところである。
「告げ口すると、堂々とおっしゃっておりました」
「利用したみたいで、ごめんなさいね」
「いいえ、むしろ報酬をいただいていて良かったです」
「6歳だから許してやってね」
「7歳でも、17歳でもやるのではないかしら?」
「えぇぇぇぇ……」
ソアリスはそんなに長い間、ケイトはあのままなのかと、改めてゾッとして、どんどん勢いをなくした。
「自分で考えてみなさい、7歳と17歳、変わった?」
「いいえ」
「そうでしょう?」
「あぁぁぁぁ……私を育てるって難しいのね」
がっくりと落ち込んだソアリスだったが、すぐさま復活した。
「陛下に丸投げしちゃお」
「それもいいわね」
「ええ、王太子妃様にはまだ難しいかもしれませんがなんて言っていた者が、共通語が分からないなんて!信じられません!」
「そんなこと言われていたのね」
「お若いということは無知でいいと言うわけではありませんとも言われましたわ!すべてのことを私が知っているわけではありません」
工場のやり方について、どういった物か分からなかったために訊ねた際に言われたことである。
「それはそうよ」
「それをねちねちねちねち、言うのですよ!あの更地まっしぐらは!陛下への報告書に名前ではなく、ぜーんぶ、はげあがった絵にしてやろうかと思いましたわ」
毛をむしろ取ろうとする絵を付けて、報告書を届けてもらったことも多々あり、アンセムが保管していた中に、実はあったのである。
「それは、ええ、気持ちは分かるけど」
「とても嫌な方でございますね」
「そうなの」
セレニティもこのソアリスの捲し立てる様に話すことにも、慣れて来ており、参加することもできるようになっていた。
「あの、希望の轍というのは馬車が通った後の車輪の跡ということですよね……?」
「そうよ。サイドにちょっぴり、しょわしょわって残っていたでしょう?」
「しょわしょわ……」
アンセムとおなじように、しょわしょわが引っ掛かてしまい、希望の轍について確認したかったのに、すっかり薄れてしまっていた。
「あれがもっと前はあったの、それこそ車輪の後くらい」
「な、なるほど……」
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「頭の中で、ですか?」
「そう、この王妃陛下の処世術よ」
「なるほど……」
セレニティは口に出せば傷付けたり問題になるが、頭の中で考えるだけなら問題にはならない。改めて言われて、そんなことを考えたこともなかったセレニティは、とても納得した。
「と言うことは、ケイトはまだまだってことね」
「共通語だったことと、6歳ですから、ギリギリってところかしら?」
「そうね、2歳はセーフだと思うけど」
「気を付けるようにも言っておきますわ。正直、あれには言ってもいいと思っていた自分がいたのですけどね」
はげむすめについては、実は誰も注意してはおらず、ソアリスも言われて当然と思ってしまっていた。だが、ケイトも7歳であるために、注意しておかなくてはならない。
「まあ、今回はセレニティのことを助けたのですから、褒めるべきことですけどね」
「ちゃんと褒めましたよ、報酬も与えました」
「報酬制なの?」
「そうではないのですけど、散歩をしていたりするので、王宮のことで結構気付くことが多いのですよ」
ケイトはソアリスに似ていることから、変化に気付く質である。
「ですので、何かあったら教えてと言ってありましたの。それで成果に応じて、おやつを与えております。やる気が違いますから」
「ケイトらしいわね……」
「ちゃっかりしておる」
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「告げ口すると、堂々とおっしゃっておりました」
「利用したみたいで、ごめんなさいね」
「いいえ、むしろ報酬をいただいていて良かったです」
「6歳だから許してやってね」
「7歳でも、17歳でもやるのではないかしら?」
「えぇぇぇぇ……」
ソアリスはそんなに長い間、ケイトはあのままなのかと、改めてゾッとして、どんどん勢いをなくした。
「自分で考えてみなさい、7歳と17歳、変わった?」
「いいえ」
「そうでしょう?」
「あぁぁぁぁ……私を育てるって難しいのね」
がっくりと落ち込んだソアリスだったが、すぐさま復活した。
「陛下に丸投げしちゃお」
「それもいいわね」
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