私のバラ色ではない人生

野村にれ

文字の大きさ
761 / 861

マッドリー侯爵邸4

「中身がそっくりは、あそこでお菓子を吸い込んでいるわ」

 ソアリスとケイトに会った人は口々にそっくりだと言うが、成長しても、見た目は全く似ていない。そして、お菓子をたらふく用意してもらっているので、吸い込むように食べている。

「セレニティが消えたのかと思って、引いているじゃない」
「ああ……メイドも二度見しておりますね」

 セレニティはケイトの皿を見つめて止まっており、メイドが二度見するだけで、何が起きたか、ソアリスとカイルスには分かる。

「美味しそうによく食べることは大事ですよ」
「運動もしているので、随分許容しているのですけど、本当によく食べるわ」
「お母様の遺伝でしょう」
「うっ!」

 ソアリスは大袈裟に胸を押さえたが、間違いなくアンセムではなく、ソアリスの遺伝である。

「ラオンとリソルも、あのモンスターに食い尽くされる前に食べてらっしゃいな」
「そうですね」
「はい」
「あい」

 二人はケイトとセレニティのところに、ソルドとミコロンによって連れて行かれて、一緒にお菓子を食べることになった。

「私もこの体格は遺伝です……」
「そうね……」

 カイルスは性格は違うが、ララシャの婚約者だった頃のアンセムにそっくりになっており、ケイトとソアリスに引っ張られがちだが、こちらもそっくりである。

「でも、できればお母様ではなく、陛下か、ロアンスラー前公爵を恨んでね」

 ソアリスもムキムキにはなれなかったために、カイルスには恨まれたくなかった。

「私がお母様を恨むわけがないでしょう」
「そう?」

 カイルスは体力はあるために、そこはソアリスに似ていると思っている。

「ですが、陛下も鍛えてらっしゃるでしょう?ロアンスラー前公爵は……まあ、ちょっと」

 サエラは今のキリス、昔のキリスを思い出してみたが、どれもマッドリー侯爵家とは真逆の体格に、言葉を濁すしかなかった。

「ハッキリおっしゃっていいですわ、ひょろガーリーだと」
「っふ、ソアちゃん……でも、否定できないわ。私が見た頃から、まっすぐに細かったわね」
「でしょう?私も、物心ついた時にはひょろガーリーと樽が並んでいたもの」
「っぐふふ、そうね、対照的だものね」
「食べなさ過ぎと食べ過ぎのいい例ですわ」

 ブツブツ言いながらもマルシャはよく食べており、キリスは病気なのかと思うほど食べなかった。

「よく食べる方といると、どうなのかしらね。よく食べるようになるのかしら?」
「それは私もセレニティを預かった時に、考えましたのよ。父はよく分かりませんけど、セレニティはケイトの横だと釣られて食べますの」
「まあ」
「感化されるのでしょうね」

 ケイトは偉そうにラオンとリソルにこれが美味しい、交互に食べるとさらに美味しいなどと言いながら、お菓子を食べており、セレニティも一緒に食べている。

「でも、人によってはそれこそ引かれてしまうこともあると思うわ」
「お母様とケイトはバトルですものね」
「それは間違いないわね」
「まあまあ、以前も取り合っておりましたね」
「そうなのです、栗拾いもミフルに拾ってあげてと言っているのに、ポケットに詰め込んで大変でしたの。ねえ、カイルス?」
「はい、やりかねないとは思っておりましたが、入れすぎでした」

 ドレスが完全に重みで下がっており、ケイトもバレているのは分かっているが、押し切ろうとしていた。

「まあ、想像しただけでお可愛らしいわ」
「可愛くありませんよ」

 マッドリー侯爵家も栗拾いに招いており、皆で参加してもらっていた。

 ミフルには約束通り、ケイトが拾った栗と事前に拾っていた栗を合わせて、エスザール王国へ送り、美味しかったという返事をもらっていた。

 ミフルにはお母様がそんなことをしていたなんてと、いつか私も栗拾いをするからという宣言も書かれていた。

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢にされたので婚約破棄を受け入れたら、なぜか全員困っています

かきんとう
恋愛
 王城の大広間は、いつも以上に華やいでいた。  磨き上げられた床は燭台の光を反射し、色とりどりのドレスが揺れるたびに、まるで花畑が動いているかのように見える。貴族たちの笑い声、楽団の優雅な旋律、そして、ひそやかな噂話が、空気を満たしていた。  その中心に、私は立っていた。  ――今日、この瞬間のために。 「エレノア・フォン・リーベルト嬢」  高らかに呼ばれた私の名に、ざわめきがぴたりと止む。

ある王国の王室の物語

朝山みどり
恋愛
平和が続くある王国の一室で婚約者破棄を宣言された少女がいた。カップを持ったまま下を向いて無言の彼女を国王夫妻、侯爵夫妻、王太子、異母妹がじっと見つめた。 顔をあげた彼女はカップを皿に置くと、レモンパイに手を伸ばすと皿に取った。 それから 「承知しました」とだけ言った。 ゆっくりレモンパイを食べるとお茶のおかわりを注ぐように侍女に合図をした。 それからバウンドケーキに手を伸ばした。 カクヨムで公開したものに手を入れたものです。

【完結】魔女令嬢はただ静かに生きていたいだけ

⚪︎
恋愛
 公爵家の令嬢として傲慢に育った十歳の少女、エマ・ルソーネは、ちょっとした事故により前世の記憶を思い出し、今世が乙女ゲームの世界であることに気付く。しかも自分は、魔女の血を引く最低最悪の悪役令嬢だった。  待っているのはオールデスエンド。回避すべく動くも、何故だが攻略対象たちとの接点は増えるばかりで、あれよあれよという間に物語の筋書き通り、魔法研究機関に入所することになってしまう。  ひたすら静かに過ごすことに努めるエマを、研究所に集った癖のある者たちの脅威が襲う。日々の苦悩に、エマの胃痛はとどまる所を知らない……

元カレの今カノは聖女様

abang
恋愛
「イブリア……私と別れて欲しい」 公爵令嬢 イブリア・バロウズは聖女と王太子の愛を妨げる悪女で社交界の嫌われ者。 婚約者である王太子 ルシアン・ランベールの関心は、品行方正、心優しく美人で慈悲深い聖女、セリエ・ジェスランに奪われ王太子ルシアンはついにイブリアに別れを切り出す。 極め付けには、王妃から嫉妬に狂うただの公爵令嬢よりも、聖女が婚約者に適任だと「ルシアンと別れて頂戴」と多額の手切れ金。 社交会では嫉妬に狂った憐れな令嬢に"仕立てあげられ"周りの人間はどんどんと距離を取っていくばかり。 けれども当の本人は… 「悲しいけれど、過ぎればもう過去のことよ」 と、噂とは違いあっさりとした様子のイブリア。 それどころか自由を謳歌する彼女はとても楽しげな様子。 そんなイブリアの態度がルシアンは何故か気に入らない様子で… 更には婚約破棄されたイブリアの婚約者の座を狙う王太子の側近達。 「私をあんなにも嫌っていた、聖女様の取り巻き達が一体私に何の用事があって絡むの!?嫌がらせかしら……!」

さようなら、私の初恋

しょくぱん
恋愛
「さよなら、私の初恋。……もう、全部お返しします」 物心ついた時から、彼だけが世界のすべてだった。 幼馴染の騎士団長・レオンに捧げた、十数年の純粋な初恋。 彼が「無敵」でいられたのは、アリアが無自覚に与え続けた『治癒の加護』があったから。 だが婚約直前、アリアは知ってしまう。 彼にとって自分は、仲間内で競い合う「賭けの対象」でしかなかったことを。 「あんな女、落とすまでのゲームだよ」

刺繍妻

拓海のり
恋愛
男爵令嬢メアリーは魔力も無くて、十五歳で寄り親の侯爵家に侍女見習いとして奉公に上がった。二十歳まで務めた後、同じ寄り子の子爵家に嫁に行ったが。九千字ぐらいのお話です。

捨てた私をもう一度拾うおつもりですか?

ミィタソ
恋愛
「みんな聞いてくれ! 今日をもって、エルザ・ローグアシュタルとの婚約を破棄する! そして、その妹——アイリス・ローグアシュタルと正式に婚約することを決めた! 今日という祝いの日に、みんなに伝えることができ、嬉しく思う……」 ローグアシュタル公爵家の長女――エルザは、マクーン・ザルカンド王子の誕生日記念パーティーで婚約破棄を言い渡される。 それどころか、王子の横には舌を出して笑うエルザの妹――アイリスの姿が。 傷心を癒すため、父親の勧めで隣国へ行くのだが……

記憶が戻ったのは婚約が解消された後でした。

しゃーりん
恋愛
王太子殿下と婚約している公爵令嬢ダイアナは目を覚ますと自分がどこにいるのかわからなかった。 眠る前と部屋の雰囲気が違ったからだ。 侍女とも話が噛み合わず、どうやら丸一年間の記憶がダイアナにはなかった。 ダイアナが記憶にないその一年の間に、王太子殿下との婚約は解消されており、別の男性と先日婚約したばかりだった。 彼が好きになったのは記憶のないダイアナであるため、ダイアナは婚約を解消しようとするお話です。