私のバラ色ではない人生

野村にれ

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マッドリー侯爵家6

「さすがに、私の僅かな王妃の魂が不味いかもと思いましてね……」
「でも、レモン・グレンバレンは語呂は良かったですよね」
「そうなの、楽しくなるでしょう?」
「はい」
「確かに飛び上がる感じがしますわね」

 付けられることのなかった名前ではあるが、今でも皆が覚えているほど、意外と評判はいい。ケイトに至ってはレモンでも良かったと言っているくらいである。

「もしも由来を聞かれることがもしあったら、レモンのマドレーヌだなんて言ったら、ねえ……微かな王妃の威厳がなくなってしまうわ」

 さすがに他にレモンと名付けた嘘の理由も思いつかないために、急に冷静になった。そこからひねり出したのが男女どちらでも呼びやすいケイトであった。

「そんなことでなくなりませんわ!ミラン様もテラー様もご立派でしたけど、我が国を誇る王妃ですわ」
「まあ、それはありませんわ……どうやっても、お二人のようにはなれませんから、早々に引退したいのですけど……皆が止めますのよ」
「当然ですわ」

 まだまだソアリスには王妃として、この国の頂点でいて欲しい。それを支えたいというのは、マッドリー侯爵家の総意であった。

「おば様まで私に続けろとおっしゃるの?ルルエの方が向いているわ、国母って感じではありませんか?私は陰の支配者で、悪の親玉ですのよ?」
「何それ、いえ、聞いたわね……」

 サエラは一瞬、何かと思ったが、どこかで聞いたようなと思い出した。

「まあ、おば様までもご存知だったのですか?」
「姪に聞いたのよ、立派に過ごしていると」
「私も割と最近、聞きましたのよ……そんな風に思われていたのかと、でも悪の親玉はちょっと似合うと思っておりますけども。王妃が悪の親玉だなんて、どんな独裁国家なのかと思われるわ」

 少なからず悪の親玉だと思われている国もあるだろうが、ソアリスに好意を抱いている国の方が多い。

「大丈夫ですわ、皆が支えますから」
「確かにマッドリー侯爵家が支えてくれれば、私も安心ですわ」
「そうでしょう?」

 マッドリー侯爵家はラオンとリソルが騎士になるかは分からないが、あの身体つきは期待してしまう。

「認められるまで、できることをやるしかありませんね。ケイト!そろそろ、食べ過ぎですよ。一回、休憩なさい。動けなくなるわよ?」
「うごけるわ」

 セレニティも、ラオンとリソルも食べていないのに、食べ続けているケイトにソアリスの注意が入った。

「いいえ、猫ちゃんたちもあなたに食べられるのではないかと、怖くて出て来ないのかもしれないわよ」
「ちょんな~」
「お茶を飲みなさい」
「わかったわ」

 ケイトはまだ食べられるのにと思いながら、渋々お茶を飲み始めた。

「レモンはやっぱり間違っていなかった気もします。お母様は感じていたのかもしれませんよ」
「そうなのよ、王子も王女もよく食べるのだけど、あんなに執着する子になるとは思っていなくてね。食べさせていないのかと思われるじゃない……」
「たっぷり食べていてですからね」

 ケイトがよく食べることを知っている者はいいが、何も知らない者はソアリスが食べさせない姿が誤解を招くと思い、気を付けているくらいである。

「この前も、オーリーのコースト侯爵家に行って、おもてなしを受けたそうなのよ。帰って来たら、お腹がまん丸でね。びっくりしちゃったわ」
「申し訳ございません……」

 オーリーが申し訳なく、頭を下げたが、コースト侯爵家はケイトを喜ばせたい思いであるために、叱るようなことではない。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

本日もお読みいただきありがとうございます。

今年もありがとうございました。

今年中に終わるのではないかと思っていたのですが、
全然、終わりませんね。
去年も同じことを書いており、自分で引きました。

ですが、今年も引き続き
お読みいただいたことに感謝しかありません。
ありがとうございます。

よいお年をお迎えください。

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