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行方不明4
「知らないかなんて訪ねたら、何をするか分からないような奴だったら、危険だな」
「身分のことを言いたくはないけど、平民で家族も分からないとなるのよね」
「貴族だったら、すぐに動けるのですけどね」
貴族だったら、男爵家だったとしても、伯爵家にいるところを見たと嘘でもついて、調べることは力を使えば可能だろう。
「本当は変態息子が女を監禁してねぇか!って押し入りたいところなんだけどね」
「はい、その通りです」
何も考えなければ、そうしたいところだが、そうもいかない事情が沢山ある。
「確実な証拠がないのですよね……」
「ですが!ソアリス様の嫌な予感は当たるのです!」
キャロラインが悲痛な表情で、当たらないで欲しい気持ちも含めて訴えた。
「ひょっこり見つかってくれたら一番だから、当たって欲しくないけどね」
「はい、最初は兄の話をソアリス様にして、ルルンパの話になっただけなのです」
キャロラインもルックリンツソルと覚えていたが、口にしたくなくなっており、ルルンパでいいと判断していた。
「そうなの、始めは子猫の話だったの。でも、それから気持ちが悪いほど、あまりに色々繋がっていくような感じがして、正直どう思います?」
「考え過ぎと言ってしまうには、何も解決した部分がない」
「そうなのです!」
ライックは疑いの掛かった部分が何一つ、一ヶ月経っても解決しないことから、考え過ぎとは言い切れない嫌な予感を感じていた。
「それこそ、ソアちゃんの考えていた出番ではないか?」
「猫ですか?」
「ああ、猫をきっかけにして訪ねて、様子を伺うのはどうだろうか。私が保護猫を飼ってもらえないかと訊ねてみるか」
「とてもいいと思います。騎士団を動かせば、察されるかもしれませんから、まずは水面下の方がいいと思います」
リッシュとライックは頷き合い、サエラとスーラも同じように頷き合っていた。
「兄に頼もうかとも考えたのですけど、不自然ではないかということになりまして……」
「お父様、生真面目だから猫だけで急に訪ねて来るのはおかしいと思います」
「でしょう?子猫で浮かれているとしても、あの顔だと伝わらないでしょう?」
「はい、絶対に伝わりません」
エドワードは生真面目でフランクな性格ではないために、商会で会っただけで訪ねて来るような人ではない。妹と娘はさすがに辛辣である。
「私なら保護施設にも関わっており、猫のことはミコロンが嫁いでいるから、エドワード殿に聞いたと言えばいいしな」
「現役ではない方が警戒心も少ないでしょうしね」
リッシュでも威圧感は変わらないが、ライックが向かえば、相手も騎士団員と知っている部分でも身構えるだろう。
「申し訳ないのですが、様子を伺って来てもらえますか?」
「ああ、任せなさい」
「ソルちゃん、コロンちゃん」
「「はい」」
「ラオンとリソルをお借りしてもいいかしら?」
「もちろんです!ですが、何にでしょうか?」
ソアリスに貸して欲しいと言われれば、いいえはないが、まだまだ手のかかる二人であるために不安であった。
「リッシュおじ様と一緒に行ってもらいたいの。子どもを連れていたら、邪険には絶対しないわ。おじ様なら、何かあった時に守れますし」
「そういうことですか、どうぞ」
「どうぞどうぞ」
ソルドとミコロンは、二人揃って両手を差し出していた。
「確かにあなたが一人で行ったら、きっとあちらは緊張してしまうわ、でも孫がいれば和らぐでしょう」
「本当ならケイトを貸し出したいくらいなのだけど、さすがに理由なく、おじ様が連れていたら、おかしいですからね」
「それはさすがにねぇ」
ソアリスとしては巻き込みたくはないが、リッシュ一人では警戒される可能性を考えて、緩衝材としてお願いすることにした。
「身分のことを言いたくはないけど、平民で家族も分からないとなるのよね」
「貴族だったら、すぐに動けるのですけどね」
貴族だったら、男爵家だったとしても、伯爵家にいるところを見たと嘘でもついて、調べることは力を使えば可能だろう。
「本当は変態息子が女を監禁してねぇか!って押し入りたいところなんだけどね」
「はい、その通りです」
何も考えなければ、そうしたいところだが、そうもいかない事情が沢山ある。
「確実な証拠がないのですよね……」
「ですが!ソアリス様の嫌な予感は当たるのです!」
キャロラインが悲痛な表情で、当たらないで欲しい気持ちも含めて訴えた。
「ひょっこり見つかってくれたら一番だから、当たって欲しくないけどね」
「はい、最初は兄の話をソアリス様にして、ルルンパの話になっただけなのです」
キャロラインもルックリンツソルと覚えていたが、口にしたくなくなっており、ルルンパでいいと判断していた。
「そうなの、始めは子猫の話だったの。でも、それから気持ちが悪いほど、あまりに色々繋がっていくような感じがして、正直どう思います?」
「考え過ぎと言ってしまうには、何も解決した部分がない」
「そうなのです!」
ライックは疑いの掛かった部分が何一つ、一ヶ月経っても解決しないことから、考え過ぎとは言い切れない嫌な予感を感じていた。
「それこそ、ソアちゃんの考えていた出番ではないか?」
「猫ですか?」
「ああ、猫をきっかけにして訪ねて、様子を伺うのはどうだろうか。私が保護猫を飼ってもらえないかと訊ねてみるか」
「とてもいいと思います。騎士団を動かせば、察されるかもしれませんから、まずは水面下の方がいいと思います」
リッシュとライックは頷き合い、サエラとスーラも同じように頷き合っていた。
「兄に頼もうかとも考えたのですけど、不自然ではないかということになりまして……」
「お父様、生真面目だから猫だけで急に訪ねて来るのはおかしいと思います」
「でしょう?子猫で浮かれているとしても、あの顔だと伝わらないでしょう?」
「はい、絶対に伝わりません」
エドワードは生真面目でフランクな性格ではないために、商会で会っただけで訪ねて来るような人ではない。妹と娘はさすがに辛辣である。
「私なら保護施設にも関わっており、猫のことはミコロンが嫁いでいるから、エドワード殿に聞いたと言えばいいしな」
「現役ではない方が警戒心も少ないでしょうしね」
リッシュでも威圧感は変わらないが、ライックが向かえば、相手も騎士団員と知っている部分でも身構えるだろう。
「申し訳ないのですが、様子を伺って来てもらえますか?」
「ああ、任せなさい」
「ソルちゃん、コロンちゃん」
「「はい」」
「ラオンとリソルをお借りしてもいいかしら?」
「もちろんです!ですが、何にでしょうか?」
ソアリスに貸して欲しいと言われれば、いいえはないが、まだまだ手のかかる二人であるために不安であった。
「リッシュおじ様と一緒に行ってもらいたいの。子どもを連れていたら、邪険には絶対しないわ。おじ様なら、何かあった時に守れますし」
「そういうことですか、どうぞ」
「どうぞどうぞ」
ソルドとミコロンは、二人揃って両手を差し出していた。
「確かにあなたが一人で行ったら、きっとあちらは緊張してしまうわ、でも孫がいれば和らぐでしょう」
「本当ならケイトを貸し出したいくらいなのだけど、さすがに理由なく、おじ様が連れていたら、おかしいですからね」
「それはさすがにねぇ」
ソアリスとしては巻き込みたくはないが、リッシュ一人では警戒される可能性を考えて、緩衝材としてお願いすることにした。
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