私のバラ色ではない人生

野村にれ

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突撃

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 コンパル伯爵家は力のある家ではないが、それでも真面目にクロンデール王国に貢献し続けている家でもある。

 夫妻もあまり発言などはしないが、支援金を度々要求したり、私利私欲のために税を上げたりするような家ではない。

「でも、ちゃんと指を舐めたことを謝罪したのかしら?息子を叱ったのかしら?」
「その後もトレアン子爵家に行っていたのだったな」
「そうよ、行かせないでしょう?行こうとしたら、横っ腹に蹴りを入れるわよ」
「ああ、やむなしだな。私も加勢する」

 ソアリスが躊躇なく、横っ腹に蹴りを入れているところが容易く想像ができる。その後は、悪い口が止まることはないだろう。

「でしょう?変態王子、変態王女、また変態行為をしようとしてんのか。お前の顔なんて見たくねえどころか、一生視界に入るな、地べたを這いつくばって生きて行けって言うだろう?」
「あ、ああ……さすがにやむなしだな」

 指を舐めたとなれば、そこまでしなくともとは言えない。特にアマリリスは男性恐怖症気味になっていると聞き、それほどまでに追い詰めたとしたら、やり過ぎではないだろう。

「きっと、お二人はしていないのでしょう?」
「そうだな、だがアマリリス嬢とのことで、関係が悪くなっているのではないかという話なのだろう?」
「それでもでしょう?」
「そうだな、息子を怖いと思っている?」
「息子が?」
「ソアリスにはあり得ないことだろうが」
「分かっているわ。暴力を振るったりする、手を付けられないということがあるのよね。でも私なら、戦うわ」
「そうだろうな」

 ソアリスが息子に勝てない想像がそもそもつかない、ねじ伏せることはできたとしても、その後が怖い。母親に頭が上がらないというのは良いことかもしれない。

 王家の場合はソアリスが出てきた時点で終わりだが、それでも駄目ならアンセム、ロラン、テラーがいる。母親、父親がいるのなら、そのようにできるはずだろう。

「変態から絶対に変態が生まれるわけでもないし、誰にでも起こり得ることだものね。でも……もしも邸にいたら、話は変わってくるわ」
「それはそうだな」
「私も部屋中を捜索したりしなきゃいけなかったかしら」
「いや、王宮は清掃が入るから、見付かるだろう」
「そうね、良かったわ」

 ソアリスは子どもたちを疑うようなことをして来なかったが、抜き打ちでやるべきだったかと思ったが、王宮で人を隠すのはいくら広くて難しいだろう。

「ケイトにも美味しいチョコレートがどこかに付いていても、舐めてはいけないと言っておかないといけないわ」
「そ、そうだな……」

 何を言い出すのかと思ったが、ケイトであるために、そんなことはしないだろうとも言い切れない、何とも言えない空気が流れた。

「エーゲンはどうなったかしらね」
「はい、早く戻ってくるといいのですが……」
「無理させるのは申し訳ないけど」
「いいえ、弟も分かっておりますから」

 オーランは安全に早く許可を得て戻って来て欲しいと伝えてあり、エーゲンも最短で戻って来ますと飛び出して行った。

「書類はしっかり準備しておいてくださいね」
「既に作ってある」
「では、エーゲンの帰りを待つだけですわね」
「ああ」

 それからソアリスは公務を行いながら、エーゲンの帰りを待っていた。そして、その瞬間がやって来た。

「ソアリス王妃陛下、戻りました!」
「ご苦労様、無理をさせたわね」
「いいえ」

 ソアリスの執務室にやって来たエーゲンに、オーランも一緒に付き添っていた。エーゲンは言葉通り、一泊で戻って来た。

「どうだった?」
「すべて、可でございます。セザンアース侯爵も仕事を片付けたら、こちらにいらっしゃるということです」
「侯爵が?」
「はい」
「そう、分かったわ。オーランがいるということは陛下が書類を作っているのね」
「はい」
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