私のバラ色ではない人生

野村にれ

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王妃陛下のありがたい取り調べ5

「何のために雇ったの?コンパル伯爵家には多くのメイドがいたでしょう?」
「個人的に動いてもらうのに使おうと思ったのです……」

 ソアリスもミリスを雇ったのはマリーに出会う前であることから、何に使うためだったのかは分からなかったが、何かに使えると思ったのか程度であった。

「何のために?」
「別邸に移ったので、本邸に頼みに行くのが面倒だったので……」
「どうして別邸に移ったの?思春期?反抗期?」

 まだアマリリスの名前がルックリンツソルから出ないために、少し煽ってみることにした。

「違います……静かに暮らしたかっただけです」
「ご両親と喧嘩したわけではないの?」
「違います!勝手に決めないでください」

 彼は真っ赤になって強く答え、まだ19歳であることから親に反抗していることは恥ずかしく、格好つけたいのだろうと痛々しい視線で見られることになった。

「そういえば、本邸のメイドにもおつかいを頼んでいたわよね?」
「あれは、彼女たちのものではありません」
「誰の?」
「それは関係ないのではありませんか」

 皆はアマリリスかと思ったが、関係ないのならそれでいい。あの時、買ったドレスは商会と照らし合わせればいい。

「では、どうしてミリスと名乗っていた彼女も床下収納に入れたの?」
「あの、それは……」

 やはり彼女も見つかっていたのかと思うと同時に、床下収納に入れたことは弁明の使用はないことは分かっていた。

 ソアリスが言ったように、人を床下収納に入れる趣味でもない限りは、おかしいとしか言いようがなく、短い時間で隠さなければと焦っていたとはいえ、自分を追い詰めることになった。

「メイドだったのでしょう?都合の悪いことを話されると思ったの?」
「説明するのが面倒だったので、隠しただけです」
「睡眠薬を打って?」
「起きたら困ると思ったので……でも彼女に聞いてもらえば、私がマリリアに酷いことをしていないことは証明できます」
「そう、分かったわ。彼女に聞いてみましょう」
「はい」

 ダイヤがどう証言するのかは分からないが、ルックリンツソルは自分に都合のいい証言をしてもらえると考えているのだろう。

「彼女は貴族ではないのですよね?」

 マリリアのことがあったために、ルックリンツソルは確認のために問い掛けた。

「ええ、正確には元貴族ね」
「元……ですか?」
「そう、元貴族で、元娼婦」
「しょ、娼婦……ああ、だから……」

 ルックリンツソルは無駄に褒めて来たり、体を触って来たりした嫌悪感と、気色の悪さは娼婦だったからかと納得した。だが、そんなことはソアリスには関係ない。

「コンパル伯爵家もこれから大変よね。あなたのこともあるのに、妙な方を引き入れたことも見る目がないと言われるのでしょうね」
「どういうことですか」
「ふふふ、知っている方は知っている人物だったってことよ」
「っな!そんなこと知りません」
「そんなことこっちも知らねぇんだよ!」
「っっ!」

 まるで自分は騙されたと言わんばかりだが、ソアリスのほうが関係ない。

 ダイヤはどう判断するかというところだが、ソアリスにはコンパル伯爵家を貶めることなど簡単である。

 正直、ダイヤについて何者か分かるまでに時間を要したために、巡り巡れば目の前のルックリンツソルのせいであるために怒りをぶつけられることになった。

「だ、誰なんですか……?」
「自分でお調べになったら?ヒントはあげたでしょう?ねえ、バーセム公爵、十分なヒントよね?」
「ええ、あげすぎです」
「まあ、失敗しちゃったわ、ふふふ」

 ミリス・エザンだと思っていた本名も知らない相手で、元貴族で元娼婦をどうやって導き出すのか分からないが、やってみればいい。

 コンパル伯爵家にも伝えないように、包囲網を広げておこうと決めた。

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