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王妃陛下の身に余る素晴らしい取り調べ(アンセム視点9)
「ありのまま教えたくないと言っていますよ、ソアリス様でないと言えませんね」
ハッキリとソアリスが教えたくないと言い切り、子どものような言葉だが、彼女だからこそ言える言葉である。
「訴えたければすればいいと言っている。助ける気が一切ないな」
「姉妹揃ってですからね」
「ソアリス様にとっては二度と関わることもないと思っていた相手ですからね」
「妙な因果だよな……」
ソアリスとメディナが臭いと訴えていた相手の姉だとは誰も思いもしなかった。正直、本来なら知るはずもない相手だったが、奇しくもまだ渾名で会話ができるほどの印象深い相手であった。
「バカ息子が訴えると言っていますよ、どの口が言っているのだと皆が思っているでしょう」
「あのバカ息子の口ですよ!」
すっかりオーランとクイオはルックリンツソルをバカ息子扱いになっており、確かに自分ではない相手が責めることができることに必死になっていた。
「貴族の名を知らずとも名乗っていたことは無視できない」
「余罪は出ていないのでしょうか」
「その名前を聞いたという者はいるそうだが……」
ソアリスは余罪と言ったが、まだ本物のミリス・エザンに実害が出ているような話は出ていない。
「何か買ってもらっていたとしたら、それでも犯罪ですよね?」
「ただな、ダイヤは貴族だと思っていたわけではないからな」
「ああ、そうでしたね……」
「どちらにせよ、ミリス・エザン殿がどう判断されるかだな」
「そちらもセザンアース侯爵と同じですか」
ルックリンツソルとダイヤの罰については、双方からという形になる。もし、罰までは求めないとするならば、クロンデール王国側が上乗せするつもりであった。
「そうなるな」
「伯爵もさすがに怒ったようですよ」
「怒らない教育……確かにそのような方もいるのかもしれませんね」
「息を吸っている……完全に悪い口が開かれる序章ではないか」
「上手いことおっしゃいますね」
「私も母親と祖母が怖かったのでよく分かります」
クイオも友人たちと調子に乗って、いたずらや遊び呆けていたこともあった。だが、母と祖母に怒られてからはハッとすることが多々あった。そんな話をしていると取り調べは大詰めとなっていた。
「ん?んんん?我が妻が尻を叩こうとしていないか?」
「そうでございますね」
「間違いありません」
いよいよ、ソアリスが尻を叩く許可を得ようとしており、アンセムは方眉を上げたが、オーランとクイオは国王が動揺しているために冷静に対応をした。
「ぷりぷりの女の子の尻を狙っていたのか……」
「狙っていたのはシシリーヌ元王女殿下ですからね」
「ぷりぷりだったでしょうね」
ソアリスが叩けば良かったと言っていた当時シシリーヌは17歳で、間違いなくぷりぷりだっただろう。
「残念だが、あまりぷりぷりはしていなさそうだな」
「はい、痩せておりますので」
「でもお尻はぷりっとしているかもしれませんよ」
「私たちは何の話をしているのだ?」
アンセムは急に冷静になって、どうして側近と尻の話をしているのかと我に返った。だが、誰でもないソアリスが言い出したからである。
「あんな王妃いるのか?」
「おりません。素晴らしいと思います」
「こぼれんばかりの笑顔です」
「尻を叩く前の顔ではないがな」
ソアリスは可愛い笑顔を振りまいており、淡々と話しているために笑顔など見せなかったために逆に恐ろしいことになっている。
「はあ……ずっと尻を叩きたいと言っていたからな、チャンス到来だな。仕方ない。私も押さえるか。そうすれば、大人しくしているだろう」
「そうですね」
「ええ、それがよろしいかと思います」
オーランとクイオも賛同して、ようやくアンセムは皆の前に姿を現した。
「私も手伝おう」
アンセムも立ち上がることにしたのである。
ハッキリとソアリスが教えたくないと言い切り、子どものような言葉だが、彼女だからこそ言える言葉である。
「訴えたければすればいいと言っている。助ける気が一切ないな」
「姉妹揃ってですからね」
「ソアリス様にとっては二度と関わることもないと思っていた相手ですからね」
「妙な因果だよな……」
ソアリスとメディナが臭いと訴えていた相手の姉だとは誰も思いもしなかった。正直、本来なら知るはずもない相手だったが、奇しくもまだ渾名で会話ができるほどの印象深い相手であった。
「バカ息子が訴えると言っていますよ、どの口が言っているのだと皆が思っているでしょう」
「あのバカ息子の口ですよ!」
すっかりオーランとクイオはルックリンツソルをバカ息子扱いになっており、確かに自分ではない相手が責めることができることに必死になっていた。
「貴族の名を知らずとも名乗っていたことは無視できない」
「余罪は出ていないのでしょうか」
「その名前を聞いたという者はいるそうだが……」
ソアリスは余罪と言ったが、まだ本物のミリス・エザンに実害が出ているような話は出ていない。
「何か買ってもらっていたとしたら、それでも犯罪ですよね?」
「ただな、ダイヤは貴族だと思っていたわけではないからな」
「ああ、そうでしたね……」
「どちらにせよ、ミリス・エザン殿がどう判断されるかだな」
「そちらもセザンアース侯爵と同じですか」
ルックリンツソルとダイヤの罰については、双方からという形になる。もし、罰までは求めないとするならば、クロンデール王国側が上乗せするつもりであった。
「そうなるな」
「伯爵もさすがに怒ったようですよ」
「怒らない教育……確かにそのような方もいるのかもしれませんね」
「息を吸っている……完全に悪い口が開かれる序章ではないか」
「上手いことおっしゃいますね」
「私も母親と祖母が怖かったのでよく分かります」
クイオも友人たちと調子に乗って、いたずらや遊び呆けていたこともあった。だが、母と祖母に怒られてからはハッとすることが多々あった。そんな話をしていると取り調べは大詰めとなっていた。
「ん?んんん?我が妻が尻を叩こうとしていないか?」
「そうでございますね」
「間違いありません」
いよいよ、ソアリスが尻を叩く許可を得ようとしており、アンセムは方眉を上げたが、オーランとクイオは国王が動揺しているために冷静に対応をした。
「ぷりぷりの女の子の尻を狙っていたのか……」
「狙っていたのはシシリーヌ元王女殿下ですからね」
「ぷりぷりだったでしょうね」
ソアリスが叩けば良かったと言っていた当時シシリーヌは17歳で、間違いなくぷりぷりだっただろう。
「残念だが、あまりぷりぷりはしていなさそうだな」
「はい、痩せておりますので」
「でもお尻はぷりっとしているかもしれませんよ」
「私たちは何の話をしているのだ?」
アンセムは急に冷静になって、どうして側近と尻の話をしているのかと我に返った。だが、誰でもないソアリスが言い出したからである。
「あんな王妃いるのか?」
「おりません。素晴らしいと思います」
「こぼれんばかりの笑顔です」
「尻を叩く前の顔ではないがな」
ソアリスは可愛い笑顔を振りまいており、淡々と話しているために笑顔など見せなかったために逆に恐ろしいことになっている。
「はあ……ずっと尻を叩きたいと言っていたからな、チャンス到来だな。仕方ない。私も押さえるか。そうすれば、大人しくしているだろう」
「そうですね」
「ええ、それがよろしいかと思います」
オーランとクイオも賛同して、ようやくアンセムは皆の前に姿を現した。
「私も手伝おう」
アンセムも立ち上がることにしたのである。
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