私のバラ色ではない人生

野村にれ

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王妃陛下の非常にありがたい罰3

「変態ではありません……」
「人様のリボンやドレスを持ち帰るのは変態なんだよ!この中にいるか?貰ってもいない異性のリボンやドレスをも持ち帰った者は手を上げてみなさい」

 当然だが、誰も手を上げることはない。

「ほら見ろ!誰もいないじゃないか」
「ソアリス、過去に学園で盗難がなかったか調べてみたらどうだ?先輩がいるかもしれない」
「そうだな、どういう罰だったか調べてみよう」

 ようやく納得したソアリスが黙ると、ケインドルとリリンナッタが勢いよくアンセムに向かって頭を下げた。

「国王陛下、この度は息子が大変申し訳ございませんでした」
「申し訳ございませんでした」

 ソアリスの拷問の数々に呆気に取られていたが、ルックリンツソルがようやく答え、ソアリスの話が終わるのを待っていた。

「コンパル伯爵家にも責任を取ってもらう」
「「はい」」
「では、そろそろメインディッシュを始めようか」
「「「は!」」」

 アンセムの言葉にバーセム公爵、マッドリー侯爵、ソルドが背筋を伸ばした。

「メディナ、ポーリア、キャロライン、例の音を」
「「「は!」」」

 ソアリスは侍女たちに何やら指示を出して、三人はテキパキとレコードを変えるために一旦音楽が鳴りやみ、流れ出したのは女性の声だった。

 嫌い……嫌い……気持ち悪い……

 近付かないで……本当に気持ち悪い……

 地獄に落ちろ……

 不穏なピアノの音に、恨みめいた言葉が流れ出し、アンセムは一体なんだろうか。流行りには疎いために、最近の歌なのだろうかと思ったが、一番最初に気付いたのはさすがの変態だった。

「アマ、リリスの声……」
「さすが変態!アマリリスに頼んで、お前への憎しみを録音させてもらったの。嬉しいだろう?しっかりと嫌われていることを聞きなさい」

 録音も鮮明ではないために、驚ろ驚ろしい雰囲気が出ている。

 もはやソアリスはルックリンツソルを変態と呼び出しており、アンセムはなんてことを考えているのかと思ったが、どこかで聞いたようなと思い返した。

「ソアリス、ケイトの案か」

 ケイトが耳の傍で嫌い、気持ち悪いという陰湿な考えをアマリリスを呼ぶことはできないために、録音をしたのだと理解した。

「そうよ、皆にせっかく聞いたのだから参考にしないとね」
「そうか」

 こう言った部分も彼女は平等なのだと思ったが、愛する人に憎しみを言われているのはどのような気持ちなのだろうかとルックリンツソルを見たが、さすがにアマリリスの声であるせいか、耳を塞いでいた。

 これがアンセムならソアリスになるだろうが、おそらく途中でやめてくれと泣きながら土下座をするかもしれない。

「ピアノはポーリアに弾いてもらったの」

 ポーリアは頭を下げ、ピアノが得意だと言うために、呪詛や不穏に聞こえる曲を弾いてもらっていた。

「そうか、ならば始めようではないか」
「ええ!皆様、よろしく!小童!国王、公爵、侯爵、侯爵令息だからな、暴れて怪我でもさせたら、罪が増えるかもしれぬな?ハハハハハ」

 悪の親玉らしい言葉に、アンセム以外は胸を張っていた。

「陛下はこいつは右利きですから、左腕にしてもらうといい」

 アンセムもこの三人に敵うはずがないために、ソアリスの案に大人しく従うことにした。そして、気付かぬ間に侍女たちがオットマンを間隔をあけて二つ用意しており、そこに四つん這いにさせる予定になっていたのだろうと思った。

 立ち尽くしていたルックリンツソルをバーセム公爵が腕で首を絞めつけて、オットマンの傍に連れて来た。

 既にルックリンツソルは青い顔をしており、バーセム公爵が気絶させてしまうのではないかと思うほどだったが、弱らせるには十分であった。

「四つん這いになれ!」
「こんなこと……」

 さすがにルックリンツソルも、大勢の前で四つん這いになること、本当に尻を叩かれるのかと羞恥心がまだ残っていた。

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