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教育
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帰ると母・マルシャからどうだったのかと詰め寄られたが、もう何も話さなかった。口を開いても、何も言わなくても、気に入らないなら、後者を選ぶ。
「王太子妃になることがあなたの幸せなの」
「…」
「黙っていてもいいわ、どうせ逃げられはしないのだから。ララシャみたいに王子様がやって来なくても、あなたはお姫様になれるのよ」
「…」
ソアリスは幼児に言えば喜ぶ者もいるかもしれないような、馬鹿みたいなことを言ってくるものだと、呆れるしかなかった。
「ララシャは素直な子だったのに」
「…」
「ララシャが二人いれば」
ソアリスは王太子妃教育だと王宮に連れて行かれて、教育を受けることになった。本人にはやる気がない。むしろ、やるつもりもない。
「このようなことも分からないのですか」
「これでは間に合いませんわ」
「ララシャ様は優秀でも妹は別ですわね」
教師は腕や太ももを打ったり、手荒なこともした上で、相応しくないと王家に進言した。ソアリスは悪い口を開くなり、誰かに目撃させるなり、どうにでも出来たが、逃げられるかもしれないと思って黙っていた。
悲しくもマルシャのせいで、ソアリスは女性からの暴力には慣れていたのだ。
しかし王宮のメイドが痣を発見し、教師は処罰された。痣も教師だけではなく、マルシャが行った痣も教師のせいにされてしまったようだ。
教師はララシャがいなくなったことで、子爵家で王家に嫁ぐのは難しいにも拘わらず、自分の娘を召し上げようとと考えていたようで、追い出したかったのだ。
側妃であれば可能性はあったかもしれないが、勝手に沈んでいった。
おかげで優しい教師、監視役も付けられて、逃げ場がなくなった上に、無下にすることも出来ず、渋々授業を受けることになってしまった。
ソアリスも何も非がない者を責め立てる趣味はない。
ララシャが結婚前に一度、里帰りすることになり、両親がソアリスを説得して欲しいと頼むと、任せて欲しいと微笑んだ。
ララシャはなぜか幼い頃から、ソアリスが自分に憧れていると思い込んでいる。
「ソアリスは王太子殿下が嫌なの?優しい方なのよ?」
「でしたらお姉様が戻ってあげてたらいかがです?」
「それは出来ないわ、リベルが怒ってしまうもの。ふふふ」
「怒らせてしまいましょうか?めちゃくちゃになればいい、そう思いませんか?」
ララシャは不思議な顔をして、微笑んだ。
「あら、本当に嫌なのね。恥ずかしがって駄々をこねているのだと聞いていたから。ソアリスには申し訳ないけど、私のように奪い合ってくれる王子様でも現れない限りは、結婚させられてしまうわよ。どうするの?」
「結婚するか、逃げるかしかないでしょう」
「逃げたらお父様にもお母様にもお兄様にも迷惑が掛かるのよ」
「あの方々は大変優秀らしいですから、ご自身でどうにかするでしょう」
いつも両親も、特に兄は私と話しても、次元が合わないとすら言っているくらいだ。ララシャのこともどうにかなったのだから、勝手にどうにかするだろう。
「逃げても、私は匿えないわよ」
「頼るつもりはありませんからご心配なく。誰も知らないところに参ります」
「危ないんじゃないの?それより殿下に守っていただけばいいじゃない」
「守って貰う?死ぬほど嫌なところで生きながらえるのと、好きなところで嫌なことをするのはどちらも同じだとは思いませんか?」
ララシャはいつものように人差し指を頬に当てて考えているようであったが、ソアリスは今の年齢ならまだいいが、老いてもこの仕草を彼女は可愛いと思ってするのだろうと思い、なるべく可愛らしいまま生きて欲しいものだと思った。
「王太子妃になることがあなたの幸せなの」
「…」
「黙っていてもいいわ、どうせ逃げられはしないのだから。ララシャみたいに王子様がやって来なくても、あなたはお姫様になれるのよ」
「…」
ソアリスは幼児に言えば喜ぶ者もいるかもしれないような、馬鹿みたいなことを言ってくるものだと、呆れるしかなかった。
「ララシャは素直な子だったのに」
「…」
「ララシャが二人いれば」
ソアリスは王太子妃教育だと王宮に連れて行かれて、教育を受けることになった。本人にはやる気がない。むしろ、やるつもりもない。
「このようなことも分からないのですか」
「これでは間に合いませんわ」
「ララシャ様は優秀でも妹は別ですわね」
教師は腕や太ももを打ったり、手荒なこともした上で、相応しくないと王家に進言した。ソアリスは悪い口を開くなり、誰かに目撃させるなり、どうにでも出来たが、逃げられるかもしれないと思って黙っていた。
悲しくもマルシャのせいで、ソアリスは女性からの暴力には慣れていたのだ。
しかし王宮のメイドが痣を発見し、教師は処罰された。痣も教師だけではなく、マルシャが行った痣も教師のせいにされてしまったようだ。
教師はララシャがいなくなったことで、子爵家で王家に嫁ぐのは難しいにも拘わらず、自分の娘を召し上げようとと考えていたようで、追い出したかったのだ。
側妃であれば可能性はあったかもしれないが、勝手に沈んでいった。
おかげで優しい教師、監視役も付けられて、逃げ場がなくなった上に、無下にすることも出来ず、渋々授業を受けることになってしまった。
ソアリスも何も非がない者を責め立てる趣味はない。
ララシャが結婚前に一度、里帰りすることになり、両親がソアリスを説得して欲しいと頼むと、任せて欲しいと微笑んだ。
ララシャはなぜか幼い頃から、ソアリスが自分に憧れていると思い込んでいる。
「ソアリスは王太子殿下が嫌なの?優しい方なのよ?」
「でしたらお姉様が戻ってあげてたらいかがです?」
「それは出来ないわ、リベルが怒ってしまうもの。ふふふ」
「怒らせてしまいましょうか?めちゃくちゃになればいい、そう思いませんか?」
ララシャは不思議な顔をして、微笑んだ。
「あら、本当に嫌なのね。恥ずかしがって駄々をこねているのだと聞いていたから。ソアリスには申し訳ないけど、私のように奪い合ってくれる王子様でも現れない限りは、結婚させられてしまうわよ。どうするの?」
「結婚するか、逃げるかしかないでしょう」
「逃げたらお父様にもお母様にもお兄様にも迷惑が掛かるのよ」
「あの方々は大変優秀らしいですから、ご自身でどうにかするでしょう」
いつも両親も、特に兄は私と話しても、次元が合わないとすら言っているくらいだ。ララシャのこともどうにかなったのだから、勝手にどうにかするだろう。
「逃げても、私は匿えないわよ」
「頼るつもりはありませんからご心配なく。誰も知らないところに参ります」
「危ないんじゃないの?それより殿下に守っていただけばいいじゃない」
「守って貰う?死ぬほど嫌なところで生きながらえるのと、好きなところで嫌なことをするのはどちらも同じだとは思いませんか?」
ララシャはいつものように人差し指を頬に当てて考えているようであったが、ソアリスは今の年齢ならまだいいが、老いてもこの仕草を彼女は可愛いと思ってするのだろうと思い、なるべく可愛らしいまま生きて欲しいものだと思った。
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