私のバラ色ではない人生

野村にれ

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対峙

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 ソアリスとララシャが約6年振りに会う日。

 アンセムとソアリスは、エクルはちょうどミルクを飲んで、お昼寝をしていたので、先にリベル殿下とララシャに会うことになった。

「やっぱり雑巾のままか」
「ええ、私の前には洗っても洗っても、匂いの取れない雑巾が、二つ並んでいると思っていてください」

 とんでもないことを言っているが、ソアリスの侍女は表情すら変えない。

 これまでの面倒事が染みついていると言いたのだろう。気持ちも分かるが、姉妹でありながら、ソアリスがララシャに何を言うのかが想像が出来ない。

「大丈夫です。一応、雑巾でもララシャへの対応は実績がありますから、踏み付けたりはしません」
「そ、そうか…」

 アンセムたちが着くと、既にリベル殿下とララシャが待っていた。

「ソアリス!」

 ララシャはソアリスの姿を見付けて叫んだが、アンセムとソアリスは王太子夫妻として挨拶をする。

 ソアリスの目には、6年前のままのララシャで、やっぱり雑巾だなと気持ちは変わらなかった。

「お待たせしました、ようこそお越しくださいました」
「リベル殿下、ララシャ妃殿下、ご無沙汰しております」

「こちらこそ、お時間をいただきありがとうございます」
「もう、久し振りに会ったのに、皆、堅苦しいわ。もっと楽しくお話ししましょう」

 リベル殿下も図々しく訪ねては来ていたが、こちらがきちんとすれば、同じように返せる。場違いなのはララシャのみである。

「さようでございますか、ララシャ妃殿下の仰せのままに」

 アンセムはもっと(雑巾相手に)過激に話すかと思えば、とても丁寧であることに驚いた。おそらくリベル殿下も厳しい言葉を掛けられると覚悟をしていたようで、じっとソアリスを見ている。

「私たちはとても仲良しなのよ?ねえ、ソアリス?どうして会ってくれなかったの?忙しくたって私のために時間を作ってくれても良かったじゃない」
「公務を疎かにして、お姉様に会った方が良かったと仰っているわけではありませんわよね?」
「そ、それはそうだけど」
「そうよね、驚いたわ。公務より自分に時間を作るようにと仰ってのかと思ってしまったわ、ほほほ」

 アンセムは勿論、リベルもこれは怒っているけど、口調が違うだけだと気付いた。

「アリルのことは申し訳なかったわ。当たり前に出来るはずの子どもが出来なくて、過敏になってしまったの」
「そうですか」

 この世に当たり前などない。今の雑巾(ララシャ)の言葉が、6年前と何一つ変わっていない証拠である。

 待っていれば、生まれて来るはずだと信じているのだろう。確かにそういう人もいる、ままならないことではある。私も運よくと言われれば、その通りだろう。

 だが、せめて人から子どもを奪い取ろうなどと考えず、努力をした人から聞きたい言葉である。

「簡単に妊娠したソアリスには分からないと思うけど」
「ララシャ、そういう言い方はいけない」

 いくら羨ましいと言っても、迷惑を掛けた相手に言う言葉ではない。

「でもっ」
「お姉様は期待されても、応えられる力を持ち、努力される方ですから、きっと乗り越えるのでしょうね。私にそう仰いましたものね?」
「も、勿論、努力はしているわ」
「失礼ですが、どのようなことをされているのですか?私も勉強しているのですが、経験者からなかなか話を聞けないので、お教えいただけませんか?」
「それは、いくら姉妹でもデリケートなことだから…」
「そうですわよね、失礼しました。私も生活習慣を見直して、妊娠に向けた体づくりをしていたのですよ」

 アンセムですら初耳だったが、申し訳ない気持ちになり、後でちゃんと話を聞こうと思った。

「そ、そうなの…」
「ええ、お姉様には及ばないでしょうけど、やはり努力が必要ですものね?」
「そうね…」

 ララシャは何もせずに、運良く何度も妊娠してずるいとしか思っていなかったが、ソアリスも努力をしていたのならば、ずるいとは言えなくなった。
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