200 / 818
一言目
しおりを挟む
「ああ~これだったの?」
「何ですか?」
「いえ、ケイトが陛下にぺっぺって、よく言っていて、嫌われているのかと悩んでいたようなのですが…」
置かれたのは、甘いものより良いだろうと、用意されていたのはカナッペであった。ケイトは完全に、指差している。
「ぺっぺっ」
「きっと陛下が食べているのを見たのね」
「謎が解けて、お父様も喜ぶわ」
「そうね、そしてケイトはこれはまだ食べられないわ」
うわ~んと嘆くケイトをヒョイと抱えて退室し、グレイとミフルは短い時間ながらも沢山の話をして、グレイは帰って行った。
アンセムにも伝えられ、オーランとクイオもまさかという顔をしていた。
「カナッペだったのか…」
「ええ、とても美味しそうに見えたんだと思うわ」
カナッペは色んなものが上にのっており、確かに美味しそうである。小腹の空いた時に、アンセムはカナッペを食べていた。
だか、まさか誰もカナッペだったとは思わなかった。
そして、ついにその日がやって来た。
「おやちゅ、よこしなしゃい」
いつもおやつを食べる机の前にペタンと座り、クイっとソアリスの方を向いて、言い放った。
「ハッキリ言ったわね」
「はい、間違いなく聞こえました」
「はい、しっかりお話になりました」
メディナとポーリアが、落ち着いた様子で、続くように答えた。
「やはりはっきりお話になりましたね」
「はい、ちゃんと聞き取れました」
護衛のマイト、アレクも続いて答えた。
今までも返事のような言葉は発していたせいか、皆も冷静で、言葉を喋ったという感動や、興奮が一切ない。
「はあ…予想通りというか、傲慢な口調ね…せめて、おやつ頂戴って言って欲しいわ。しかも、おやつは1時間前に食べたばかりよ」
「おやちゅ、ちょうだい」
「またちゃんと言ったわよ、言って欲しい言葉を言ったわよ?それなのに喜べないのはなぜかしら」
皆はソアリスの問いに、全員が目を逸らした。
「おやちゅ、おかあしゃま、おやちゅ」
「今日のおやつは、もう食べました」
「ぶ~!」
座ったまま、手足をバタバタさせている。
「おかわり」
「おかわりって言ったわよ」
「おっしゃいましたね…」
ドアを叩く音がして、「カイルスです」という声が聞こえ、ソアリスがどうぞと答えると、ポーリアがドアを開き、カイルスが入って来た。
「お母様!本日の授業が終わりました」
「はい、今日もお疲れ様でした」
「おちゅかれさま」
続く声にカイルスは驚愕の顔をして、ケイトを見つめた。
「ケイトが言ったの?」
「うん!かいるす、おにいしゃま」
カイルスは思わずケイトに近寄って、ギュっと抱きしめた。微笑ましい光景なのだが、ただいまおやつを絶賛強請られているので、そのような空気ではない。
「素晴らしいじゃないか!いつから喋れたの?」
「うん?」
「私たちが聞いたのは、ついさっきよ」
「何て言ったんですか?」
「おやつ、よこしなさいって言ったわ」
「おやつ…よこしなさい…」
カイルスは最初に話した言葉は、もちろん『おかあしゃま』である。むしろ、『おとうしゃま』をなかなか言わなかったくらいで、アンセムは落ち込んでいた。
「傲慢な顔だったわ…カイルスはおかあさまだったのに、おやつに負けたわ」
ソアリスは遠い目をして、遠くの緑を見ていた。
「お兄様はおやつはまだだから、少し、少しだけ分けてあげよう」
「わぁい!おにいしゃま」
「カイルス~!」
ソアリスはじっとりと、カイルスを見つめた。
「少しだけ、喋ったお祝いに少しだけ。いいでしょう?」
「少しだけよ、でないと夕食が減るわよ?いいわね?」
「はい」「はぁい」
カイルスのおやつが運ばれて来て、ソアリス達の監視の下で、少しだけおやつを分けてもらったケイトであった。
そして、誰も報告していなかったので、夕食時にソアリスとカイルスとケイト以外が驚くことになる。
「おいし!」
「今、喋ったんじゃないか?」
カイルスが食べさせていたが、不思議そうな顔をした。
「何ですか?」
「いえ、ケイトが陛下にぺっぺって、よく言っていて、嫌われているのかと悩んでいたようなのですが…」
置かれたのは、甘いものより良いだろうと、用意されていたのはカナッペであった。ケイトは完全に、指差している。
「ぺっぺっ」
「きっと陛下が食べているのを見たのね」
「謎が解けて、お父様も喜ぶわ」
「そうね、そしてケイトはこれはまだ食べられないわ」
うわ~んと嘆くケイトをヒョイと抱えて退室し、グレイとミフルは短い時間ながらも沢山の話をして、グレイは帰って行った。
アンセムにも伝えられ、オーランとクイオもまさかという顔をしていた。
「カナッペだったのか…」
「ええ、とても美味しそうに見えたんだと思うわ」
カナッペは色んなものが上にのっており、確かに美味しそうである。小腹の空いた時に、アンセムはカナッペを食べていた。
だか、まさか誰もカナッペだったとは思わなかった。
そして、ついにその日がやって来た。
「おやちゅ、よこしなしゃい」
いつもおやつを食べる机の前にペタンと座り、クイっとソアリスの方を向いて、言い放った。
「ハッキリ言ったわね」
「はい、間違いなく聞こえました」
「はい、しっかりお話になりました」
メディナとポーリアが、落ち着いた様子で、続くように答えた。
「やはりはっきりお話になりましたね」
「はい、ちゃんと聞き取れました」
護衛のマイト、アレクも続いて答えた。
今までも返事のような言葉は発していたせいか、皆も冷静で、言葉を喋ったという感動や、興奮が一切ない。
「はあ…予想通りというか、傲慢な口調ね…せめて、おやつ頂戴って言って欲しいわ。しかも、おやつは1時間前に食べたばかりよ」
「おやちゅ、ちょうだい」
「またちゃんと言ったわよ、言って欲しい言葉を言ったわよ?それなのに喜べないのはなぜかしら」
皆はソアリスの問いに、全員が目を逸らした。
「おやちゅ、おかあしゃま、おやちゅ」
「今日のおやつは、もう食べました」
「ぶ~!」
座ったまま、手足をバタバタさせている。
「おかわり」
「おかわりって言ったわよ」
「おっしゃいましたね…」
ドアを叩く音がして、「カイルスです」という声が聞こえ、ソアリスがどうぞと答えると、ポーリアがドアを開き、カイルスが入って来た。
「お母様!本日の授業が終わりました」
「はい、今日もお疲れ様でした」
「おちゅかれさま」
続く声にカイルスは驚愕の顔をして、ケイトを見つめた。
「ケイトが言ったの?」
「うん!かいるす、おにいしゃま」
カイルスは思わずケイトに近寄って、ギュっと抱きしめた。微笑ましい光景なのだが、ただいまおやつを絶賛強請られているので、そのような空気ではない。
「素晴らしいじゃないか!いつから喋れたの?」
「うん?」
「私たちが聞いたのは、ついさっきよ」
「何て言ったんですか?」
「おやつ、よこしなさいって言ったわ」
「おやつ…よこしなさい…」
カイルスは最初に話した言葉は、もちろん『おかあしゃま』である。むしろ、『おとうしゃま』をなかなか言わなかったくらいで、アンセムは落ち込んでいた。
「傲慢な顔だったわ…カイルスはおかあさまだったのに、おやつに負けたわ」
ソアリスは遠い目をして、遠くの緑を見ていた。
「お兄様はおやつはまだだから、少し、少しだけ分けてあげよう」
「わぁい!おにいしゃま」
「カイルス~!」
ソアリスはじっとりと、カイルスを見つめた。
「少しだけ、喋ったお祝いに少しだけ。いいでしょう?」
「少しだけよ、でないと夕食が減るわよ?いいわね?」
「はい」「はぁい」
カイルスのおやつが運ばれて来て、ソアリス達の監視の下で、少しだけおやつを分けてもらったケイトであった。
そして、誰も報告していなかったので、夕食時にソアリスとカイルスとケイト以外が驚くことになる。
「おいし!」
「今、喋ったんじゃないか?」
カイルスが食べさせていたが、不思議そうな顔をした。
5,605
あなたにおすすめの小説
「10歳の頃の想いなど熱病と同じ」と婚約者は言いました──さようなら【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王太子フリードリヒの婚約者として、幼い頃から王妃教育を受けてきたアメリア・エレファウント公爵令嬢。
誰もが羨む未来を約束された彼女の世界は、ある日突然1人の少女の登場によって揺らぎ始める。
無邪気な笑顔で距離を(意図的に)間違える編入生ベルティーユは、男爵の庶子で平民出身。
ベルティーユに出会ってから、悪い方へ変わっていくフリードリヒ。
「ベルが可哀想だろ」「たかがダンスくらい」と話が通じない。
アメリアの積み上げてきた7年の努力と誇りが崩れていく。
そしてフリードリヒを見限り、婚約解消を口にするが話は進まず、学園の卒業パーティーで断罪されてしまう……?!
⚠️ 本作は AI の生成した文章を一部に使っています
揺れぬ王と、その隣で均衡を保つ妃
ふわふわ
恋愛
婚約破棄の断罪の場で、すべては始まった。
王太子は感情に流され、公爵令嬢との婚約を解消する。
だが、その決断は王家と貴族社会の均衡を揺るがし、国そのものを危うくする一手だった。
――それでも彼女は、声を荒らげない。
問いただすのはただ一つ。
「そのご婚約は、国家にとって正当なものですか?」
制度、資格、責任。
恋ではなく“国家の構造”を示した瞬間、王太子は初めて己の立場を知る。
やがて選ばれるのは、感情ではなく均衡。
衝動の王子は、嵐を起こさぬ王へと変わっていく。
そして彼の隣には、常に彼女が立つ。
派手な革命も、劇的な勝利もない。
あるのは、小さな揺れを整え続ける日々。
遠雷を読み、火種を消し、疑念に居場所を与え、
声なき拍手を聞き取る。
これは――
嵐を起こさなかった王と、
その隣で国家の均衡を保ち続けた妃の物語。
婚約破棄ですか? うーん、普通こうなりますよね?
ぼん@ぼおやっじ
恋愛
とある王国の暫定王太子、アングは自身の通う王立アカデミー高等科の殺業記念式典で高らかに吠えた。
「クラウディア・グランナよ、そなたとの婚約を破棄する。
そなたは王国の王妃としてふさわしくない!
私はアイリス・アンタン男爵令嬢と真実の愛に目覚めたのだ」
証拠を突き付け、クラウデイァを断罪しようとするアングだったが、どうも微妙にうまく事が運ばない。
果たして彼は、無事目的を達成することができるだろうか!
というお話です。
あまり深く考えてないふわっとした作品なので、そういうものと思ってお楽しみください。
この手の話はほんと気楽に書けるから楽しい。
当店では真実の愛は取り扱っておりません
鍛高譚
恋愛
「平民だから、言うことを聞くと思った?」
「……ふざけるのも大概にしてください。平民なめんな。」
公爵家令嬢ココア・ブレンディは、突然の婚約破棄を告げられる。
理由は“真実の愛”に目覚めたから──?
しかもそのお相手は、有力商会の娘、クレオ・パステル。
……って、えっ? 聞いてませんけど!? 会ったことすらないんですが!?
資産目当ての“真実の愛”を押しつけられた商人令嬢クレオは、
見事な啖呵で公爵家の目論見を一刀両断!
「商人の本気、見せてあげます。取引先ごと、手を引いていただきますね」
そして、婚約を一方的に破棄されたココアは、クレオとまさかのタッグを組む!
「ココア様、まずはお友達からよろしくなのです」
「ええ。ではまず、資本提携から始めましょうか」
名門貴族と平民商人――立場を超えて最強の令嬢コンビが誕生!
没落寸前のブラック公爵家を、“商売と優雅さ”でじわじわ追い詰める痛快ざまぁ劇!
――平民を侮る者には、優雅で冷酷な報いを。
“真実の愛”では買えない未来が、ここにある。
君は妾の子だから、次男がちょうどいい〜long version
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。
*こちらは元の小説の途中に、エピソードを追加したものです。
文字数が倍になっています。
玉の輿を狙う妹から「邪魔しないで!」と言われているので学業に没頭していたら、王子から求婚されました
歌龍吟伶
恋愛
王立学園四年生のリーリャには、一学年下の妹アーシャがいる。
昔から王子様との結婚を夢見ていたアーシャは自分磨きに余念がない可愛いらしい娘で、六年生である第一王子リュカリウスを狙っているらしい。
入学当時から、「私が王子と結婚するんだからね!お姉ちゃんは邪魔しないで!」と言われていたリーリャは学業に専念していた。
その甲斐あってか学年首位となったある日。
「君のことが好きだから」…まさかの告白!
王子、おひとり様で残りの人生をお楽しみください!
ちゃっぴー
恋愛
「ラーニャ、貴様との婚約を破棄する!」
卒業パーティーの真っ最中、ナルシストな第一王子ウィルフレッドに身に覚えのない罪で断罪された公爵令嬢ラーニャ。しかし、彼女はショックを受けるどころか、優雅に微笑んで拍手を送った。
なぜなら、ラーニャはとっくに王子の無能さに愛想を尽かし、この日のために完璧な「撤退準備」を進めていたからだ。
こうして私は悪魔の誘惑に手を伸ばした
綴つづか
恋愛
何もかも病弱な妹に奪われる。両親の愛も、私がもらった宝物もーー婚約者ですらも。
伯爵家の嫡女であるルリアナは、婚約者の侯爵家次男ゼファーから婚約破棄を告げられる。病弱で天使のような妹のカリスタを抱き寄せながら、真実の愛を貫きたいというのだ。
ルリアナは、それを粛々と受け入れるほかなかった。
ゼファーとカリスタは、侯爵家より譲り受けた子爵領へと移り住み、幸せに暮らしていたらしいのだが。2年後、『病弱』な妹は、出産の際に命を落とす。
……その訃報にルリアナはひっそりと笑みを溢した。
妹に奪われてきた姉が巻き込まれた企みのお話。
他サイトにも掲載しています。※ジャンルに悩んで恋愛にしていますが、主人公に恋愛要素はありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる