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領地へ3
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「だから、そんなことは出来ないわ。領地の邸でいいじゃない!仕方ないから、大人しくしているわ」
「王家に盾突くのか?」
「別に王家に盾突いたわけじゃないわ」
「ミラン殿下の婚約に意見したんだ」
「それはソアリスに言っただけで、ミフルに言ったわけではないわ」
本気で言っているララシャに、キリスとマルシャは呆れた。
「はあ…だが、ミフル殿下の婚約をなくそうとしたじゃないか」
「それとも、妹にお願いして、譲って貰わないと決まらないほどに、エミアンローズ殿下は縁談に困っていたの?」
マルシャはソアリスが使っていた技で、聞いてみることにした。
「は?そんなわけないでしょう!私の娘なのよ」
「ではそのようなことをすべきではなかったわ、あなたは離縁されて、エミアンローズ殿下も厳しい立場になったのよ?困っていなかった縁談も、困るようになってしまったのよ?」
「だって…自慢が出来る相手と結婚して貰いたいじゃない…」
急に何を言い出したのか、キリスとマルシャは咄嗟に理解が出来なかった。
「え?気に入ったからではないの?」
「そうは勿論だけど、私は皆から羨ましいと言われる存在なんだから、娘の結婚相手も自慢出来ないといけないでしょう?」
「エミアンローズ殿下の候補者は、自慢が出来る相手ではなかったの?」
「ええ…」
ララシャは少し視線を外したことに気付き、マルシャが問い掛けた。
「何も聞いたことがないけど、ピデム王国の貴族の方?」
「そうだと思うわ」
「思う?どういう意味?まさか候補者なんていないの?」
マルシャはよく観察すれば分かり易い様に、自分はずっとララシャを都合よく見ていたのだと、改めて気付かされることになった。
「そんなわけないでしょう!」
「甥に聞いてみたら分かることよ…」
「決まっていなかったというだけよ!」
「そう…その縁談もあったとしても、なくなったかもしれないわね」
都合の悪いことは認めようともせず、その割に自分を良く見せようとする。
どうしてこんなことになってしまったのかと何度も思ったが、私たちが驕らせてしまったのは覆せない事実である。
サイラスが王配になるよりも、自分の娘が王太子妃になるということは、同じ女性としてマルシャを舞い上がらさせた。
「エミアンローズはきっといい縁談があるわ、そうしたら私を迎えに来るんだから」
「そう思いたいの?本気でそう思っているの?」
「どういう意味?」
「そう思わないと自分を保っていられないとかではないの?」
もはやマルシャにはララシャが本気で言っているのなら、おかしいとしか思えず、問い掛けた。
「お母様、私は離縁されたけど、リベルとエミアンローズがいるのよ?」
もうキリスも、リベル殿下だと怒鳴る気力もなくなっていた。
「二人を待つというのね…」
「そうよ?再婚って言ったのも、そんな話を聞いたら、リベルが焦って来ると思ったからよ?」
「じゃあ、リベル殿下がいらっしゃったら、案内するわ」
「私の可哀想な姿を伝えて貰えない?そうしたら、慌ててくるかもしれないわ」
ララシャの笑顔に、マルシャは本気で言っているのだと思った。来るはずもない相手を待つ気なら、そのままでいさせてやろうと思った。
「たかが公爵家が、そのようなことは出来ないわ。そのくらい分かるでしょう?」
「そうだけど、知らせてくれるくらいいじゃない」
「見てみないと可哀想だなんて分からないわよ」
「そうかしら…でもきっと、リベルが気付いてくれて、迎えに来るわ」
「そう…」
ララシャを集合住宅に連れて行き、さすがに小さな家に抵抗したが、修道院の方がいいかと言えば、大人しく入って行った。
後は教えてくれる方に、任せるしかなく、領地で評判の頭のおかしい者でも、躾けるという女性に託すことになった。
夫妻はしばらく領地に留まって、様子を見ることにしたが、夫妻がいることが分かると甘えが出ると帰ることになった。
「王家に盾突くのか?」
「別に王家に盾突いたわけじゃないわ」
「ミラン殿下の婚約に意見したんだ」
「それはソアリスに言っただけで、ミフルに言ったわけではないわ」
本気で言っているララシャに、キリスとマルシャは呆れた。
「はあ…だが、ミフル殿下の婚約をなくそうとしたじゃないか」
「それとも、妹にお願いして、譲って貰わないと決まらないほどに、エミアンローズ殿下は縁談に困っていたの?」
マルシャはソアリスが使っていた技で、聞いてみることにした。
「は?そんなわけないでしょう!私の娘なのよ」
「ではそのようなことをすべきではなかったわ、あなたは離縁されて、エミアンローズ殿下も厳しい立場になったのよ?困っていなかった縁談も、困るようになってしまったのよ?」
「だって…自慢が出来る相手と結婚して貰いたいじゃない…」
急に何を言い出したのか、キリスとマルシャは咄嗟に理解が出来なかった。
「え?気に入ったからではないの?」
「そうは勿論だけど、私は皆から羨ましいと言われる存在なんだから、娘の結婚相手も自慢出来ないといけないでしょう?」
「エミアンローズ殿下の候補者は、自慢が出来る相手ではなかったの?」
「ええ…」
ララシャは少し視線を外したことに気付き、マルシャが問い掛けた。
「何も聞いたことがないけど、ピデム王国の貴族の方?」
「そうだと思うわ」
「思う?どういう意味?まさか候補者なんていないの?」
マルシャはよく観察すれば分かり易い様に、自分はずっとララシャを都合よく見ていたのだと、改めて気付かされることになった。
「そんなわけないでしょう!」
「甥に聞いてみたら分かることよ…」
「決まっていなかったというだけよ!」
「そう…その縁談もあったとしても、なくなったかもしれないわね」
都合の悪いことは認めようともせず、その割に自分を良く見せようとする。
どうしてこんなことになってしまったのかと何度も思ったが、私たちが驕らせてしまったのは覆せない事実である。
サイラスが王配になるよりも、自分の娘が王太子妃になるということは、同じ女性としてマルシャを舞い上がらさせた。
「エミアンローズはきっといい縁談があるわ、そうしたら私を迎えに来るんだから」
「そう思いたいの?本気でそう思っているの?」
「どういう意味?」
「そう思わないと自分を保っていられないとかではないの?」
もはやマルシャにはララシャが本気で言っているのなら、おかしいとしか思えず、問い掛けた。
「お母様、私は離縁されたけど、リベルとエミアンローズがいるのよ?」
もうキリスも、リベル殿下だと怒鳴る気力もなくなっていた。
「二人を待つというのね…」
「そうよ?再婚って言ったのも、そんな話を聞いたら、リベルが焦って来ると思ったからよ?」
「じゃあ、リベル殿下がいらっしゃったら、案内するわ」
「私の可哀想な姿を伝えて貰えない?そうしたら、慌ててくるかもしれないわ」
ララシャの笑顔に、マルシャは本気で言っているのだと思った。来るはずもない相手を待つ気なら、そのままでいさせてやろうと思った。
「たかが公爵家が、そのようなことは出来ないわ。そのくらい分かるでしょう?」
「そうだけど、知らせてくれるくらいいじゃない」
「見てみないと可哀想だなんて分からないわよ」
「そうかしら…でもきっと、リベルが気付いてくれて、迎えに来るわ」
「そう…」
ララシャを集合住宅に連れて行き、さすがに小さな家に抵抗したが、修道院の方がいいかと言えば、大人しく入って行った。
後は教えてくれる方に、任せるしかなく、領地で評判の頭のおかしい者でも、躾けるという女性に託すことになった。
夫妻はしばらく領地に留まって、様子を見ることにしたが、夫妻がいることが分かると甘えが出ると帰ることになった。
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