私のバラ色ではない人生

野村にれ

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エスザール王国へ2

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「で、何を揉めていたの?」

 荷物を運び入れて、とりあえず、お茶を飲もうとミフルと向き合って座った。

「それがね、馬車からクレープのお店が見えたのよ」
「ああ…」

 ミフルはその言葉ですべてを察した。

「だってね、とってもおいちそうだったでしょ?おかあさまもとまとのはいったの、おいしそうっていってたわ」
「言いましたけどね」

 ソアリスもケイトが食べ過ぎると言いながらも、食欲に関しても、完全にソアリス似である。

「王宮に向かっているのに、ちょっとクレープを食べたいんだけどなんて言ったら、クロンデール王国の王妃と王女は、待たせているのにクレープを食べていたと言われるでしょ?」
「だからちょっと、ぱくぱくってたべちゃえばって」
「それでも、クレープを食べたいと我儘を言ったと言われてしまうのよ?それはいけません」
「クレープは後日、食べに行ったらいいわ」

 相変わらずの二人にミフルは、皆が仲裁役だったなと思い出した。

「ほんとぉ?」
「一体何個、食べるのかしら…怖いわ」
「ケイト、食べ過ぎては駄目よ?他の物が食べられなくなるわよ?」
「たべれるのよ」
「そうではありません、減らすと言っているのです」

 ミフルもおやつを食べても、3食ぺろりと食べることは知っている。

「それはこまりましゅよ」
「でしょう?」
「あい…」
「まあ、ミフルもかあさまっぽくなったわね。かあさま、嬉しいわ」

 ソアリスは皆がケイトに甘い中、ピシャリと言ってくれるミフルを、嬉しそうに見つめた。

「で、どうして双子だと二人は分かったのかしら?」
「「え?」」

 全く同じ言葉を発して、首を傾ける姿に、ミフルは笑い出しそうになった。

「見れば分かるじゃない」
「ちょうよ」
「大きめなのかなって思わない?」
「思わないわね」
「はい」

 まるでミフルの方がおかしいような言い方に、ミフルは思わず侍女たちを見たが、驚いた顔をしていて、これが普通だと気持ちを持ち直した。

「お姉様たちが言っていたのは本当だったのね」
「あんてなでしょ?」
「そうよ、それよ」

 ケイトの言い出した、ソアリスのアンテナはエスザール王国にまで届いていた。

「おかあさまはぴぴぴってなあるあんてなで、けいとはおかあさまから、さずけられしあんてなですよ」
「そんなものはありませんと言っているでしょう」
「それはこちらの台詞よ。私がおかしいみたいじゃない、見て分かるものではありませんよ」
「分かるわよ~双子のお腹じゃない!かあさま、さすがに双子は産んだことがないから、力になれるかしら…」

 ソアリスも、双子は産んでいないので、ミフルのお腹を見て、不安になっていた。

「7人も産んだのですから、力になれます」
「そう?」
「はい、結果がそこに座っているではありませんか」
「爆食モンスターのことかしら?」
「進化してる…」

 大食いモンスターから、成長して、食べれる量が増え、進化していた。

「肥え太っていないことが救いよ、それでミフルは大丈夫なの?」
「ええ、ちゃんと散歩もしているわ」
「動けないストレスが、やっと分かった?」
「ええ、とても分かったわ」
「そうでしょう?かあさまを尊敬しちゃう?」
「しているわよ」
「ふふっ」

 ソアリスは子どものような顔で、満足そうにクシャッと笑った。

「で、性別も分かるなんて話を聞いたのだけど?」
「それは、偶然なの。なんとなくなの」
「ちょうよ?あんてなでぴぴぴって」
「だから、アンテナじゃないわ」
「性別を聞きたいところだけど、グレイ殿下が来てからにしようかしら」

 国王陛下夫妻も、王太子夫妻も、グレイ殿下も公務で、お休みのミフルしかいないのである。あまりに大袈裟に迎えると、ソアリスが来ていることが公になってしまうからという点もある。

「ミフル様、リリスタ殿下がご挨拶をしたいといらしています」
「お通しして」


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本日もお読みいただきありがとうございます。

本日は、久し振りに17時にもう1話投稿させていただきます。

どうぞよろしくお願いいたします。
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