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ミレスゴート公爵家の夜会8
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「ソアリス様、ありがとうございました」
フローラたちが去って行くと、ミアンナとリクフォードは頭を下げた。
「いいえ、夜会の方は大丈夫?」
「はい、問題なく進んでおります」
夜会の方は、王女が去って行き、厄介者が消えて良かったと思われており、居たたまれない思いだったのはキズラー侯爵だけであった。
「それなら良かったわ。姪がね、王妃陛下にお世話になったはずなの。それなのに、ここで私が見て見ぬ振りは出来なかったの、執事も使ってしまってごめんなさいね」
「いいえ、どんどん使ってください」
リクフォードも横で頷いている。
「あの手の王族が一番厄介よね」
「はい…」
「でも、ソアリス様。あのドレスの危険度まで考えておいでだったとは、恐れ入りました」
キャロラインはずっと後ろに控えていたが、ようやくソアリスに話し掛けた。
「ずっと思っていたの。あの手のドレスを着慣れている方は、きっとそんなことにはならないけど、万が一、ちょっと引っ掛かっただけでも、ぴっこりと出て来る可能性が高いじゃない」
「っぶぶぶ」
吹き出すのを我慢したのは、ミアンナであった。
「お姉様、そういえば、笑い上戸だったわ」
「…失礼しました、先程は耐えられたのですが」
ミアンナもリクフォードも、あのドレスのことだと理解はしていた。
「ミアンナも思わない?怖くて着ろと言われても着れないわよ」
「…はい、ふふっ」
「しかもね、そうなった時、どうするのが正解?隠すたって、何で隠すの?ハンカチ?両手で持って、丸出しと一緒に移動するの?」
「っぐぇ」「っぶぶ」
ソアリスがハンカチを持って移動する仕草をして、我慢し過ぎて変な声の出たミアンナと、リクフォードまでも吹き出した。
想像を絶する滑稽な光景である。
「キャロラインが侍女だったら、嫌でしょう?」
「ええ、ちょっと遠慮したいです」
「でしょ?男性にジャケットを貸して貰っても、これも脱ぐ時間があるでしょう?」
「はい、時間は掛かりますよね」
キャロラインはいつものことなので、慣れている。
「自身の目を覆って見ないようにするのが一番だけど、やっぱり咄嗟のことだと見ちゃうでしょう?」
「はい、驚きますからね」
「しかも、目の前で行われたら、困るじゃない!」
「ええ、ソアリス様のおっしゃったように、乳首王女の名を欲しいままになったと思います」
「っぶぶ」
再びミアンナは耐えきれず、リクフォードが母上と困り顔で、背中を擦っている。
「でしょう?男を引っ掛けるにも、王女ならばリスクが高過ぎるわ」
「やはり引っ掛けるのが、理由でしょうね」
「ええ、食事をしながらね、目に付いたのよ」
「そうだったのですか?」
ソアリスが会場を見ていたことは知っていたが、まさか既に目を付けていたとは思わなかった。
「だって、あのドレスよ?」
「はい…」
「フローラ王女の顔は知っていたの。でもね、今日、化粧が濃くなかった?」
「ああ、はい。濃かったです」
フローラ王女は、ドレスに負けないようにか、平坦な顔立ちを彫を深くするために、ラインや濃い色を使っており、厚ぼったい顔をしていた。
「それで、誰か分からなくて。まさか、王女だなんて…ケイトが着たいと言ったら、張り倒してでも、止めさせるわよ」
「はい、私も加勢します」
「よろしくね」
比喩ではなく、物理的に張り倒すことだろうことは、想像が容易である。そして、キャロラインも迷わずに、加勢する。
「ミアンナ、リクフォード、騒がしくてごめんなさいね。そろそろ、本当に失礼するわ」
「このようなことになり、申し訳ございませんでした」
「私が勝手にやったのだから、気にしないで。また帰る前に連絡させて貰います」
「はい、お待ちしております」
ようやく、嵐のようなソアリスはキャロラインと共に王宮に帰った。
フローラたちが去って行くと、ミアンナとリクフォードは頭を下げた。
「いいえ、夜会の方は大丈夫?」
「はい、問題なく進んでおります」
夜会の方は、王女が去って行き、厄介者が消えて良かったと思われており、居たたまれない思いだったのはキズラー侯爵だけであった。
「それなら良かったわ。姪がね、王妃陛下にお世話になったはずなの。それなのに、ここで私が見て見ぬ振りは出来なかったの、執事も使ってしまってごめんなさいね」
「いいえ、どんどん使ってください」
リクフォードも横で頷いている。
「あの手の王族が一番厄介よね」
「はい…」
「でも、ソアリス様。あのドレスの危険度まで考えておいでだったとは、恐れ入りました」
キャロラインはずっと後ろに控えていたが、ようやくソアリスに話し掛けた。
「ずっと思っていたの。あの手のドレスを着慣れている方は、きっとそんなことにはならないけど、万が一、ちょっと引っ掛かっただけでも、ぴっこりと出て来る可能性が高いじゃない」
「っぶぶぶ」
吹き出すのを我慢したのは、ミアンナであった。
「お姉様、そういえば、笑い上戸だったわ」
「…失礼しました、先程は耐えられたのですが」
ミアンナもリクフォードも、あのドレスのことだと理解はしていた。
「ミアンナも思わない?怖くて着ろと言われても着れないわよ」
「…はい、ふふっ」
「しかもね、そうなった時、どうするのが正解?隠すたって、何で隠すの?ハンカチ?両手で持って、丸出しと一緒に移動するの?」
「っぐぇ」「っぶぶ」
ソアリスがハンカチを持って移動する仕草をして、我慢し過ぎて変な声の出たミアンナと、リクフォードまでも吹き出した。
想像を絶する滑稽な光景である。
「キャロラインが侍女だったら、嫌でしょう?」
「ええ、ちょっと遠慮したいです」
「でしょ?男性にジャケットを貸して貰っても、これも脱ぐ時間があるでしょう?」
「はい、時間は掛かりますよね」
キャロラインはいつものことなので、慣れている。
「自身の目を覆って見ないようにするのが一番だけど、やっぱり咄嗟のことだと見ちゃうでしょう?」
「はい、驚きますからね」
「しかも、目の前で行われたら、困るじゃない!」
「ええ、ソアリス様のおっしゃったように、乳首王女の名を欲しいままになったと思います」
「っぶぶ」
再びミアンナは耐えきれず、リクフォードが母上と困り顔で、背中を擦っている。
「でしょう?男を引っ掛けるにも、王女ならばリスクが高過ぎるわ」
「やはり引っ掛けるのが、理由でしょうね」
「ええ、食事をしながらね、目に付いたのよ」
「そうだったのですか?」
ソアリスが会場を見ていたことは知っていたが、まさか既に目を付けていたとは思わなかった。
「だって、あのドレスよ?」
「はい…」
「フローラ王女の顔は知っていたの。でもね、今日、化粧が濃くなかった?」
「ああ、はい。濃かったです」
フローラ王女は、ドレスに負けないようにか、平坦な顔立ちを彫を深くするために、ラインや濃い色を使っており、厚ぼったい顔をしていた。
「それで、誰か分からなくて。まさか、王女だなんて…ケイトが着たいと言ったら、張り倒してでも、止めさせるわよ」
「はい、私も加勢します」
「よろしくね」
比喩ではなく、物理的に張り倒すことだろうことは、想像が容易である。そして、キャロラインも迷わずに、加勢する。
「ミアンナ、リクフォード、騒がしくてごめんなさいね。そろそろ、本当に失礼するわ」
「このようなことになり、申し訳ございませんでした」
「私が勝手にやったのだから、気にしないで。また帰る前に連絡させて貰います」
「はい、お待ちしております」
ようやく、嵐のようなソアリスはキャロラインと共に王宮に帰った。
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