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ゾル王国11
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「死んだことにして、別人としてロンド王国に住んだらいいじゃない」
ロンド王国に戻す気はないが、無理矢理こちらに戻しても、面倒なことを避けるために選択肢を出しながら、話をすることに決めていた。
「そうすれば、私たちだってあなたは死んだと脅されることもないわ。それとも、まだ脅され続けろと言うの?そんなに私たちを苦しめたい?」
「それは…悪かったと思っているわ。でも、私は…働いたことなんて」
「全ての捨てたのだから、当然でしょう?そんな覚悟もなかったの?」
「…私は、愛する人と結婚して、愛し愛されて、幸せに暮らしたかっただけなの」
シシリーヌは自分の願いは難しいものではない。皆が褒めてくれる美しさを保つ努力をして、夫を愛し、夫に愛され、皆に憧れられて、羨ましがられる人生が、必ず叶うものだと思って生きて来た。
だが、もっともっとと願うシシリーヌは現状では満足が出来なくなり、パトリックを失った。オーバンも最初は結婚は出来なかったが、愛し愛されることには満足していたが、その他は満足出来ていなかった。
オーバンにもパトリックと同じように求め、オーバンの足はどんどん遠のいた。
今までのように命じて、自由に行動が出来ないシシリーヌはパトリックのように押し掛けて、詰め寄ることも出来なかった。
「だから何?捨てたのはあなたでしょう?」
「パトリックが!」
「人のせいにするのは止めなさい、あなたが愚かな真似をした結果です!」
マリエンヌは強く、厳しい声色で、言い切った。
「結婚したいの…」
「このままゾル王国にいるのなら、まず修道院に入って、生活をする術を学ぶこと。別人として生きていきなさい。でなければ、この国では生きてはいけないわ」
「結婚は…出来る?」
「したかったらすればいいわ」
「結婚…したいの。子どもだって欲しいわ」
その言葉にマリエンヌは僅かに胸が痛んだが、気付かない振りをした。
「明日、馬車をこちらに向かわせます。その気があるのならば、乗りなさい。乗らなければ、好きにしなさい」
「好きにって…」
「王女を放棄したように、どこへでも行けばいいわ。アイリーンには追い出すように、私が命を出します。自分の足で、好きなところで生きていきなさい」
シシリーヌは目の前が真っ暗になった。
「しっかり明日までに考えなさい!エクシアーヌにまで迷惑を掛けて、情けない!」
黙り込んだシシリーヌを置いて、マリエンヌはアイリーンとマイノスとエクシアーヌを連れて、別邸を去った。
「はあ…疲れたわ」
「お疲れ様でございました」
「いいえ、アイリーンにも本当に迷惑を掛けてごめんなさいね」
「いえ、私とマリエンヌ様の仲ではありませんか」
「ありがとう」
マリエンヌは前触れもなく、アイリーンにロンド王国のことを問われた際にも動揺はしたが、認めるつもりはなかった。
だが、アイリーンの『王族として、本当にそれでいいのですか?後悔しませんか?』という言葉に、さすが王女として生きて来た方が言うと重みが違い、さらに『このままでは義妹が動きますよ、あの子は私より強いですよ』と言われて、陛下に許可を得て、白状することにした。
「お姉様はどうするかしら…」
「それは明日分かることよ」
「お母様は手応えがあるのですか?」
「これでも母親ですからね。あの子は誰か頼れる人がいる、お膳立てされた方を選ぶはずよ。それでも、絶対とは言えないけど…」
そして、マリエンヌはマイノスとエクシアーヌを連れて、王家に戻り、二人は陛下や王太子夫妻、甥や姪に挨拶をして、クロンデール王国へ帰った。
帰りの道中で、エクシアーヌはまだ不安が残っていた。
「言いたいことは良かったのかい?」
「はい。お母様が感情的に話しているのを見たのは初めてで、その様子を見ていたら、もういいと思えました」
「そうか」
結局、今日はエクシアーヌはシシリーヌに話さないまま、帰ることになり、いいのかと引っ掛かっていた。
ロンド王国に戻す気はないが、無理矢理こちらに戻しても、面倒なことを避けるために選択肢を出しながら、話をすることに決めていた。
「そうすれば、私たちだってあなたは死んだと脅されることもないわ。それとも、まだ脅され続けろと言うの?そんなに私たちを苦しめたい?」
「それは…悪かったと思っているわ。でも、私は…働いたことなんて」
「全ての捨てたのだから、当然でしょう?そんな覚悟もなかったの?」
「…私は、愛する人と結婚して、愛し愛されて、幸せに暮らしたかっただけなの」
シシリーヌは自分の願いは難しいものではない。皆が褒めてくれる美しさを保つ努力をして、夫を愛し、夫に愛され、皆に憧れられて、羨ましがられる人生が、必ず叶うものだと思って生きて来た。
だが、もっともっとと願うシシリーヌは現状では満足が出来なくなり、パトリックを失った。オーバンも最初は結婚は出来なかったが、愛し愛されることには満足していたが、その他は満足出来ていなかった。
オーバンにもパトリックと同じように求め、オーバンの足はどんどん遠のいた。
今までのように命じて、自由に行動が出来ないシシリーヌはパトリックのように押し掛けて、詰め寄ることも出来なかった。
「だから何?捨てたのはあなたでしょう?」
「パトリックが!」
「人のせいにするのは止めなさい、あなたが愚かな真似をした結果です!」
マリエンヌは強く、厳しい声色で、言い切った。
「結婚したいの…」
「このままゾル王国にいるのなら、まず修道院に入って、生活をする術を学ぶこと。別人として生きていきなさい。でなければ、この国では生きてはいけないわ」
「結婚は…出来る?」
「したかったらすればいいわ」
「結婚…したいの。子どもだって欲しいわ」
その言葉にマリエンヌは僅かに胸が痛んだが、気付かない振りをした。
「明日、馬車をこちらに向かわせます。その気があるのならば、乗りなさい。乗らなければ、好きにしなさい」
「好きにって…」
「王女を放棄したように、どこへでも行けばいいわ。アイリーンには追い出すように、私が命を出します。自分の足で、好きなところで生きていきなさい」
シシリーヌは目の前が真っ暗になった。
「しっかり明日までに考えなさい!エクシアーヌにまで迷惑を掛けて、情けない!」
黙り込んだシシリーヌを置いて、マリエンヌはアイリーンとマイノスとエクシアーヌを連れて、別邸を去った。
「はあ…疲れたわ」
「お疲れ様でございました」
「いいえ、アイリーンにも本当に迷惑を掛けてごめんなさいね」
「いえ、私とマリエンヌ様の仲ではありませんか」
「ありがとう」
マリエンヌは前触れもなく、アイリーンにロンド王国のことを問われた際にも動揺はしたが、認めるつもりはなかった。
だが、アイリーンの『王族として、本当にそれでいいのですか?後悔しませんか?』という言葉に、さすが王女として生きて来た方が言うと重みが違い、さらに『このままでは義妹が動きますよ、あの子は私より強いですよ』と言われて、陛下に許可を得て、白状することにした。
「お姉様はどうするかしら…」
「それは明日分かることよ」
「お母様は手応えがあるのですか?」
「これでも母親ですからね。あの子は誰か頼れる人がいる、お膳立てされた方を選ぶはずよ。それでも、絶対とは言えないけど…」
そして、マリエンヌはマイノスとエクシアーヌを連れて、王家に戻り、二人は陛下や王太子夫妻、甥や姪に挨拶をして、クロンデール王国へ帰った。
帰りの道中で、エクシアーヌはまだ不安が残っていた。
「言いたいことは良かったのかい?」
「はい。お母様が感情的に話しているのを見たのは初めてで、その様子を見ていたら、もういいと思えました」
「そうか」
結局、今日はエクシアーヌはシシリーヌに話さないまま、帰ることになり、いいのかと引っ掛かっていた。
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