私のバラ色ではない人生

野村にれ

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「本人は気付かれていないと、今でも思っていると思います」
「王家も気付いていないと?」
「国王陛下、側妃様は気付いていないと思います」
「誰も言わないと言うことね」
「はい…」

 そのような状況になっているということは、すでに王家として機能していない。

「フローラ王女が離縁前提だったことは、サブリナ王妃陛下から聞いたわ」
「はい、結婚を取りやめるべきでした。ですが、ギリギリで取りやめにしたら、問題があると思われると、陛下と側妃様が押し進めたのです。ですが、侯爵家は受け入れることは出来ず、折衷案として離縁前提だったそうです」

 既に準備していたこともあっただろうが、結婚式の費用が無駄になった。後ろ盾がない以上、税を使い、既に反感を買っていたということだろう。

 だが、侯爵家に騒がれては困るということの折衷案だったのだろう。

「王女はエスザール王国でも、男漁りをしていたわ。仮面舞踏会で関係を持ったら、責任を取れと言い出しそうだけど?」
「仮面舞踏会と言っても、あのお胸ですから、顔を隠しても分かるのです。ですから、まともな令息は相手にしません」

 ソアリスはベロンとしようとした、乳房丸出し娘を思い出し、あの時が特別ではなく、そういった場で着ていたのではないかと思った。

「相手をしてくれた中に、自分に相応しい相手は見付かっていないということね」
「はい」
「だから、エスザール王国でも男漁りをしていたのね」
「確定しているわけではありませんが、性病に罹っている可能性もあるそうです」
「まあ…そのような者が他国で男漁りをしていたというの?ゾッとするわね」

 エスザール王国では責任を取らされては堪らないと、相手にされなかったそうだが、一晩くらいと思ったものがいたとしたら、危なかった。

「はい…正直、どちらが先か分からない相手もいるようですが、そういった症状が出ているという話を珍しく夫が聞いてきまして」
「あら、使えるじゃない」
「私も初めてそう思いました」

 キャナーはそう言いながら、強く頷いた。

「言いにくいかもしれないけど、どのような症状か聞いた?」
「はい、毛じらみと、膿、あとは排尿時に痛みがあったそうです。皆、治療をしているということでした」

 性病の症状だろうということはソアリスにも分かりはしたが、聞きながらも表情は歪んでいった。

「王女は今でも通っているの?」
「はい…」
「それは詳しく調べられたりするかしら?」
「はい、出来ると思います」

 不満の声が上がっている今なら、調べることは可能だと思った。既に夫や、夫人たちから、この前の仮面舞踏会に参加していたという話を聞いている。

「キャナー夫人を巻き込むつもりはなかったのだけど、名前は伏せるから調べて貰えるかしら?警告、させるわ」
「はい、お任せください」

 キャナーはサブリナ王妃は頼りなく、側妃は役に立たないと思っていたので、何と心強い王妃陛下なのかと、クロンデール王国を羨ましく思った。

「王女は罹っているとしても、隠すでしょうし、性病は無症状ということもあるらしいから、もしかしたら症状が出ていないのかもしれないわね」
「そうではないかと、夫も申しておりました。それで、感染した夫人もいらっしゃるそうで…」
「ほら、そうなるわよね。最悪じゃない」
「万が一にも婦人方も、蔓延させられては堪らないと考えているようです」

 キャナーがお付き合いするのは、公爵家ということもあり、高位貴族が多いが、下位貴族の夫人からの相談役という形にもなっている。

「そんなことを王女がするなんて、あり得ないことだものね」
「はい」

 夫の不貞によって、感染させられたら、絶対に許せないだろう。

「ブッチンと、引き千切って、刻んでミンチにしてやりたくなるわよ!」

 キャナーはあまりの言葉に、思わず目を見開いた。
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