私のバラ色ではない人生

野村にれ

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ロアンスラー公爵夫人3

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「私はソアリスの力になれることがあれば、何でもするという気持ちだけ持つことにしている」
「ええ、私も弁えておりましたが、引き続き弁えますわ」

 マーニーはこれまでも弁えており、公爵夫人としては当然の行いであるために、わざわざ態度を変えるわけではない。

「すまないが、そうしてくれ」

 今では情けない部分もあるサイラスだが、若い頃は公爵家の嫡男として、虚勢を張っていた部分もあった。それが遊んでばかりいるソアリスに向いたことは、兄としても人としても間違っているとしか言いようがない。

 自分の過ちに気付いてからは、義両親やララシャからマーニーや子どもたちも守ってくれるようになり、マーニーにとっては悪い夫ではなかった。

 ソアリスに対して、義妹なのだからと思っていた時期も正直あった。だが、ソアリスの周りは粗相でもしたら、社交界の身の置き場がなくなるような面々に囲まれており、関わることも出来なかった。

 だが、今となっては助かったとマーニーは思っていた。

 従来の気の強さを発揮して、突っ込んで行っていたら、返り討ちに遭うどころか、実家にも被害が及んでいたかもしれない―――――。

「サイラスからも、王妃陛下の意向に沿うようにと言われております」
「お兄様から聞いているのね?」
「はい…ずっと後悔しておりますが、当然だとも分かっております」
「兄に関してはそうね、でも夫人は関係なかったのに纏めてしまって悪かったわ」
「いいえ」
「中年おちょぼ口女のことも、迷惑を掛けました…」

 ソアリスは真面目な顔をして言い放ったので、マーニーは一瞬、何のことか分からなくなった。

「ちゅ、ララシャのことですね」
「ええ、あんなものが邸にいたら、不愉快だったでしょう。大きくて邪魔ですし、かと言って私が引き受けるわけにはいきませんからね」
「当然でございます」
「ソファは無事だったかしら?」
「はい、無事でした」

 心配するところはそこかと思うところではあるが、ソアリスはマーニーとちゃんと関わったのはあの日だけで、ずっと気になっていた。

「私はあまりララシャには、関わらなかったものですから」
「それは正解ですわ、あれは何を言っても無駄だとその目で見たでしょう?」
「はい」

 マーニーは里帰りした際も、離縁して戻った際も、ララシャと関わることはほぼなかった―――――。

 それはララシャがなかなか妊娠が出来ずに、ソアリスの子を奪おうとしていた頃からであった。サイラスとマーニーの子も目を付けられて、マーニーに似ていたために難を逃れたのである。

「両親もララシャも狂っている」
「王太子妃殿下の子どもを奪おうなんて、あり得ませんわ」
「当然だろう」

 両親とララシャがアリル第一王女を養子のように扱おうとしていることに、サイラスとマーニーは戦慄したのである。

「君は両親とも必要な時だけで、特にララシャがいる時は両親はおかしくなるから、関わらなくていい」
「でも」
「いや、どちらも王家なのに、そのようなことが出来ると思っていることがおかしい。シャーリーがララシャに似ていなくて本当に良かった…」

 シャーリーは二人の第一子であり、お祝いに訪れたのかと思っていたが、似ていたら娘を奪おうとしたようなことも言っており、渡す気はなくても、ゾッとした。

 サイラスはリベルがいるので、ララシャには言わなかったが、両親にはいい加減にしろと怒鳴り付けた。

 ララシャのシャーリーは私は似ていないからという言葉で、マーニーも自分の娘も狙われていたことが分かって、表情には出さなかったが、怒りしかなかった。

「でも、王太子妃殿下に似ていても、ララシャ妃には似ていないのではありませんか?」
「それがパッと見はあの二人は似ているように見えるみたいでね」
「そうですか?」

 マーニーは二人とも見目は良いと思っていたが、似ていると認識しておらず、納得が出来なかった。
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