ドラゴンハンター

ことは

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第四章 ドラゴンハンター04 本田敦也

4-2

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(なんだ、あいつら?)

 全身黒づくめの恰好をした男が二人、敦也の家を見上げていた。二人とも黒いニット帽にサングラス、マスクをしている。

(あやしすぎる)

 敦也はゆっくりと二人に近づき、声をかけた。

「うちになにか用ですか?」

 男の一人が、チラッとこっちを向いた。顔のほとんどが隠れていて、表情はまったくわからない。敦也はぎょっとして後ずさった。

 しかし、男は二人とも黙って向こうへ行ってしまった。慌てて逃げる様子はない。ただの通りすがりの者だと言わんばかりに、堂々とした歩きっぷりだ。

 敦也は絶対にあやしいと思ったが、さすがに追いかける勇気はなかった。男たちが角を曲がり、姿が見えなくなるのを見届けてから、敦也は家に入った。

「ただいま」

 敦也はお母さんの大きなため息に迎えられた。ダイニングテーブルの椅子に座って、お母さんは宙を見つめている。いつも家の用事で忙しく動き回っているのに、めずらしい。

「どうしたの?」

 敦也はランドセルを床に置き、向かいの椅子に腰かけた。

「隼人がねぇ、1年生になったのに、まったくもう」

 お母さんは眉間に皺を寄せた。

「お友達を殴っちゃったんだって。今、謝りに行って帰ってきたところ」

「隼人が?」

 返事の代わりに、大きなため息が返ってきた。

「隼人はそんなことする子じゃないよ。なにか、よっぽどの理由があったんじゃない?」

「それがね、話を聞いたら一方的に隼人が悪いのよ。どうしちゃったのかしら」

 お母さんは思いつめた顔をしている。

「そういう時もたまにはあるよ」

「2回目なのよ。謝りに行くの、ここ三日間で2回目なの」

「えっ」

 敦也は隼人の味方をしてあげたいが、言葉が続かなかった。

「隼人はどこ?」

 敦也が聞くと、お母さんは2階を指さした。

「ふてくされて、部屋に閉じこもってるの」

 敦也はすぐに2階に上がった。

「ただいまぁ」

 声をかけながら、隼人と二人で使っている部屋の扉を開ける。

 隼人はベッドにうつぶせになっていた。

「隼人、遊ぼうぜ」

 隼人の脇をくすぐる。その手を突然はねのけられた。

「なんだよ、隼人」

 敦也は、うつぶせの隼人をひっくり返そうとした。だが、隼人は枕に顔をうずめたままだ。

「おーい」

 敦也はベッドに腰かけ、隼人の背中をツンツンと指でつついた。

 隼人がガバッと起き上がる。いきなり敦也のお腹を蹴ってくる。

「イテッ。なにすんだよ、隼人」

 敦也は、隼人の足を両手で捕まえた。

「はなせっ」

 隼人が足をバタバタと動かす。

「イテッ」

 敦也は反射的に手を離した。ものすごい静電気が起きたのだ。いや、静電気ではない。火花だ。バチン、バチン。隼人の足の先で、大きな火花が二つ散った。

「まさか、おまえ……」

(ドラゴンに寄生されてるのか?)

 隼人が部屋を飛び出していく。

「待て、隼人」

 敦也は隼人の腕をつかんだ。つかんだところに、火花が散る。

「イタッ」

 敦也は、思わず手を離してしまった。

 身守りドラゴンを持ちたい一心で、ここ数日は、隼人と遊ぶ時間も減っていた。

 どうしてもっと早くに気がつかなかったのだ。敦也は自分を責めた。

 隼人が階段をバタバタと下りる音が聞こえる。

(追いかけなくちゃ)

 部屋を出ようとして、敦也の足が止まる。

(だけど、どうする?)

 追いかけたところで、敦也には何もできない。身守りドラゴンを持っていない敦也には、手出しができないのだ。

 圭吾の顔が頭に浮かんだ。圭吾なら助けてくれる。敦也が弟の隼人をかわいがっていることも、圭吾ならよくわかっている。

(だけど……)

 敦也は首を横に振った。圭吾には頼りたくなかった。たった一人の大切な弟だ。敦也は、自分の力で助けたかった。

 敦也は駆け足で1階に下りた。リビングにいるお母さんに声をかける。

「ちょっと出かけてくる」

 隼人は玄関を飛び出し、ドラゴン研究所に向かった。

「絶対に今日こそ成功させるんだ」

 敦也は、意地でも身守りドラゴンを手に入れるつもりだった。敦也はギュッと手を握りしめた。
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