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第四章 ドラゴンハンター04 本田敦也
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「みなさん、必ず帰りは、友達と一緒に帰るようにしてください」
担任の先生が、神妙な顔つきで話している。
隣の小学校の児童がまた一人、昨日から行方不明になったらしい。これで三人目だ。
2学期に入って1週間。市内の小学生が行方不明になる事件が続いていた。
誘拐ではないかとテレビのリポーターが言っていたのを、敦也は昨日のニュース番組で聞いたばかりだ。不審な人物を目撃したという、近所の人の証言があるらしい。
敦也の学校では、一昨日から低学年の児童たちは集団下校となった。高学年の児童も、一人で帰らないように注意を受けている。
「一緒に帰ろうぜ」
昇降口で祐太に会った。その後ろに、圭吾と美鈴もいる。
「あぁ」
四人とも家の方向がバラバラだから、帰ると言っても途中までだ。
だが、夏休み以来、この四人で一緒に帰ることが多い。
「最近、ドラゴン捕まえた?」
まるであいさつ代わりのように、祐太が聞く。
「一匹だけ。原っぱで見つけた」
美鈴が答える。
「ぼくも通学路で一匹」
圭吾が人差し指を立てた。
「寄生してないやつ?」
「そう」
「オレはゼロ。人に寄生しているドラゴンってそんなにいないな」
「いない方がいいだろ?」
圭吾がつっこむ。
「みんなはいいなぁ」
ため息とともに、敦也はつぶやいた。
「敦也もすぐだって」
祐太がそう言いながら、敦也の背中を叩く。
夏休み中、敦也はドラゴンをある程度操れるようにはなっていた。
だが、瞬間移動だけがうまくできない。だからみんなのように、身守りドラゴンをまだ持っていなかった。
身守りドラゴンがいなければ、人に寄生しているドラゴンと戦うことはできない。みんなに一歩遅れている自分がくやしかった。
「敦也、今日もドラゴン研究所に行くの?」
歩きながら祐太が聞いてくる。
「どうしようかなぁ。一人で訓練してもつまらないし」
正直、面倒になっていた。ドラゴン研究所に通わなければ訓練ができないし、身守りドラゴンをもらうこともできない。
だが、一人で行くのはつまらない。学校が始まって、他の三人は毎日通うこともなくなっていた。ドラゴンを捕まえた時に顔を出す程度だ。
「そんなこと言うなよ」
ボーっと考えていたら、祐太に頭をはたかれた。
「早く一緒にドラゴン捕まえようぜ」
「うーん」
敦也は気の乗らない返事をした。
十字路で四人は止まった。ここで敦也は他の三人と別れる。
「昨日行方不明になった子、ルイちゃんと同じ塾の子なんだって。怖いね」
美鈴が身震いしながら言った。
「敦也くんも気をつけてね」
「ぼくは男だし、大丈夫だよ」
敦也は笑いながら言った。
「行方不明になってる子の中に、男の子もいたじゃない」
美鈴が不安そうな顔をした。
「でも、1年生だろ? ぼくは大丈夫」
敦也は胸を張った。根拠のない自信だと言われればそれまでだ。
「けどオレ、男だし5年生だけど、誘拐されそうになったぞ。もしかして犯人、あいつらなのかなぁ」
祐太がなぜか自慢げに言った。
「えっ、いつ?」
美鈴が驚いた顔をしている。
「えーっと、夏休みの初めころ」
「なんでそんな大事なこと、言わないんだよ」
敦也が祐太をひじでこづくと、
「だって、なぁ」
と、祐太が圭吾の顔を見る。
もしかしたら、圭吾は知っていたのだろうか。
敦也は、胸がズキンとした。自分だけ身守りドラゴンがいないことで、仲間はずれにされているような気がした。
「とにかく、気をつけて帰れよ」
圭吾が、敦也の肩を叩いてきた。
(圭吾にはわかんねーよな、ぼくの気持ちなんて)
全くみんな、心配しすぎだと敦也は思った。
だが、親切で言ってくれているのだ。それはわかっている。それなのに素直な気持ちになれないのは、一人だけ身守りドラゴンをもらえていないせいかもしれない。
自分に自信が持てないのだ。だから、人の親切が面倒に感じる。こんな嫌な気持ち、吐き出して捨ててしまいたい。
担任の先生が、神妙な顔つきで話している。
隣の小学校の児童がまた一人、昨日から行方不明になったらしい。これで三人目だ。
2学期に入って1週間。市内の小学生が行方不明になる事件が続いていた。
誘拐ではないかとテレビのリポーターが言っていたのを、敦也は昨日のニュース番組で聞いたばかりだ。不審な人物を目撃したという、近所の人の証言があるらしい。
敦也の学校では、一昨日から低学年の児童たちは集団下校となった。高学年の児童も、一人で帰らないように注意を受けている。
「一緒に帰ろうぜ」
昇降口で祐太に会った。その後ろに、圭吾と美鈴もいる。
「あぁ」
四人とも家の方向がバラバラだから、帰ると言っても途中までだ。
だが、夏休み以来、この四人で一緒に帰ることが多い。
「最近、ドラゴン捕まえた?」
まるであいさつ代わりのように、祐太が聞く。
「一匹だけ。原っぱで見つけた」
美鈴が答える。
「ぼくも通学路で一匹」
圭吾が人差し指を立てた。
「寄生してないやつ?」
「そう」
「オレはゼロ。人に寄生しているドラゴンってそんなにいないな」
「いない方がいいだろ?」
圭吾がつっこむ。
「みんなはいいなぁ」
ため息とともに、敦也はつぶやいた。
「敦也もすぐだって」
祐太がそう言いながら、敦也の背中を叩く。
夏休み中、敦也はドラゴンをある程度操れるようにはなっていた。
だが、瞬間移動だけがうまくできない。だからみんなのように、身守りドラゴンをまだ持っていなかった。
身守りドラゴンがいなければ、人に寄生しているドラゴンと戦うことはできない。みんなに一歩遅れている自分がくやしかった。
「敦也、今日もドラゴン研究所に行くの?」
歩きながら祐太が聞いてくる。
「どうしようかなぁ。一人で訓練してもつまらないし」
正直、面倒になっていた。ドラゴン研究所に通わなければ訓練ができないし、身守りドラゴンをもらうこともできない。
だが、一人で行くのはつまらない。学校が始まって、他の三人は毎日通うこともなくなっていた。ドラゴンを捕まえた時に顔を出す程度だ。
「そんなこと言うなよ」
ボーっと考えていたら、祐太に頭をはたかれた。
「早く一緒にドラゴン捕まえようぜ」
「うーん」
敦也は気の乗らない返事をした。
十字路で四人は止まった。ここで敦也は他の三人と別れる。
「昨日行方不明になった子、ルイちゃんと同じ塾の子なんだって。怖いね」
美鈴が身震いしながら言った。
「敦也くんも気をつけてね」
「ぼくは男だし、大丈夫だよ」
敦也は笑いながら言った。
「行方不明になってる子の中に、男の子もいたじゃない」
美鈴が不安そうな顔をした。
「でも、1年生だろ? ぼくは大丈夫」
敦也は胸を張った。根拠のない自信だと言われればそれまでだ。
「けどオレ、男だし5年生だけど、誘拐されそうになったぞ。もしかして犯人、あいつらなのかなぁ」
祐太がなぜか自慢げに言った。
「えっ、いつ?」
美鈴が驚いた顔をしている。
「えーっと、夏休みの初めころ」
「なんでそんな大事なこと、言わないんだよ」
敦也が祐太をひじでこづくと、
「だって、なぁ」
と、祐太が圭吾の顔を見る。
もしかしたら、圭吾は知っていたのだろうか。
敦也は、胸がズキンとした。自分だけ身守りドラゴンがいないことで、仲間はずれにされているような気がした。
「とにかく、気をつけて帰れよ」
圭吾が、敦也の肩を叩いてきた。
(圭吾にはわかんねーよな、ぼくの気持ちなんて)
全くみんな、心配しすぎだと敦也は思った。
だが、親切で言ってくれているのだ。それはわかっている。それなのに素直な気持ちになれないのは、一人だけ身守りドラゴンをもらえていないせいかもしれない。
自分に自信が持てないのだ。だから、人の親切が面倒に感じる。こんな嫌な気持ち、吐き出して捨ててしまいたい。
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