ドラゴンハンター

ことは

文字の大きさ
35 / 43
第四章 ドラゴンハンター04 本田敦也

4-1

しおりを挟む
「みなさん、必ず帰りは、友達と一緒に帰るようにしてください」

 担任の先生が、神妙な顔つきで話している。

 隣の小学校の児童がまた一人、昨日から行方不明になったらしい。これで三人目だ。

 2学期に入って1週間。市内の小学生が行方不明になる事件が続いていた。

 誘拐ではないかとテレビのリポーターが言っていたのを、敦也は昨日のニュース番組で聞いたばかりだ。不審な人物を目撃したという、近所の人の証言があるらしい。

 敦也の学校では、一昨日から低学年の児童たちは集団下校となった。高学年の児童も、一人で帰らないように注意を受けている。

「一緒に帰ろうぜ」

 昇降口で祐太に会った。その後ろに、圭吾と美鈴もいる。

「あぁ」

 四人とも家の方向がバラバラだから、帰ると言っても途中までだ。

 だが、夏休み以来、この四人で一緒に帰ることが多い。

「最近、ドラゴン捕まえた?」

 まるであいさつ代わりのように、祐太が聞く。

「一匹だけ。原っぱで見つけた」

 美鈴が答える。

「ぼくも通学路で一匹」

 圭吾が人差し指を立てた。

「寄生してないやつ?」

「そう」

「オレはゼロ。人に寄生しているドラゴンってそんなにいないな」

「いない方がいいだろ?」

 圭吾がつっこむ。

「みんなはいいなぁ」

 ため息とともに、敦也はつぶやいた。

「敦也もすぐだって」

 祐太がそう言いながら、敦也の背中を叩く。

 夏休み中、敦也はドラゴンをある程度操れるようにはなっていた。

 だが、瞬間移動だけがうまくできない。だからみんなのように、身守りドラゴンをまだ持っていなかった。

 身守りドラゴンがいなければ、人に寄生しているドラゴンと戦うことはできない。みんなに一歩遅れている自分がくやしかった。

「敦也、今日もドラゴン研究所に行くの?」

 歩きながら祐太が聞いてくる。

「どうしようかなぁ。一人で訓練してもつまらないし」

 正直、面倒になっていた。ドラゴン研究所に通わなければ訓練ができないし、身守りドラゴンをもらうこともできない。

 だが、一人で行くのはつまらない。学校が始まって、他の三人は毎日通うこともなくなっていた。ドラゴンを捕まえた時に顔を出す程度だ。

「そんなこと言うなよ」

 ボーっと考えていたら、祐太に頭をはたかれた。

「早く一緒にドラゴン捕まえようぜ」

「うーん」

 敦也は気の乗らない返事をした。

 十字路で四人は止まった。ここで敦也は他の三人と別れる。

「昨日行方不明になった子、ルイちゃんと同じ塾の子なんだって。怖いね」

 美鈴が身震いしながら言った。

「敦也くんも気をつけてね」

「ぼくは男だし、大丈夫だよ」

 敦也は笑いながら言った。

「行方不明になってる子の中に、男の子もいたじゃない」

 美鈴が不安そうな顔をした。

「でも、1年生だろ? ぼくは大丈夫」

 敦也は胸を張った。根拠のない自信だと言われればそれまでだ。

「けどオレ、男だし5年生だけど、誘拐されそうになったぞ。もしかして犯人、あいつらなのかなぁ」

 祐太がなぜか自慢げに言った。

「えっ、いつ?」

 美鈴が驚いた顔をしている。

「えーっと、夏休みの初めころ」

「なんでそんな大事なこと、言わないんだよ」

 敦也が祐太をひじでこづくと、
「だって、なぁ」
と、祐太が圭吾の顔を見る。

 もしかしたら、圭吾は知っていたのだろうか。

 敦也は、胸がズキンとした。自分だけ身守りドラゴンがいないことで、仲間はずれにされているような気がした。

「とにかく、気をつけて帰れよ」

 圭吾が、敦也の肩を叩いてきた。

(圭吾にはわかんねーよな、ぼくの気持ちなんて)

 全くみんな、心配しすぎだと敦也は思った。

 だが、親切で言ってくれているのだ。それはわかっている。それなのに素直な気持ちになれないのは、一人だけ身守りドラゴンをもらえていないせいかもしれない。

 自分に自信が持てないのだ。だから、人の親切が面倒に感じる。こんな嫌な気持ち、吐き出して捨ててしまいたい。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

マジカル・ミッション

碧月あめり
児童書・童話
 小学五年生の涼葉は千年以上も昔からの魔女の血を引く時風家の子孫。現代に万能な魔法を使える者はいないが、その名残で、時風の家に生まれた子どもたちはみんな十一歳になると必ず不思議な能力がひとつ宿る。 どんな能力が宿るかは人によってさまざまで、十一歳になってみなければわからない。 十一歳になった涼葉に宿った能力は、誰かが《落としたもの》の記憶が映像になって見えるというもの。 その能力で、涼葉はメガネで顔を隠した陰キャな転校生・花宮翼が不審な行動をするのを見てしまう。怪しく思った涼葉は、動物に関する能力を持った兄の櫂斗、近くにいるケガ人を察知できるいとこの美空、ウソを見抜くことができるいとこの天とともに花宮を探ることになる。

9日間

柏木みのり
児童書・童話
 サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。   (also @ なろう)

四尾がつむぐえにし、そこかしこ

月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。 憧れのキラキラ王子さまが転校する。 女子たちの嘆きはひとしお。 彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。 だからとてどうこうする勇気もない。 うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。 家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。 まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。 ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、 三つのお仕事を手伝うことになったユイ。 達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。 もしかしたら、もしかしちゃうかも? そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。 結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。 いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、 はたしてユイは何を求め願うのか。 少女のちょっと不思議な冒険譚。 ここに開幕。

はるのものがたり

柏木みのり
児童書・童話
春樹(はるき)が突然逝ってしまって一ヶ月。いつも自分を守ってくれていた最愛の兄を亡くした中学二年生の春花(はるか)と親友を亡くした中学三年生の俊(しゅん)は、隣の世界から春樹に来た招待状を受け取る。頼り切っていた兄がいなくなり少しずつ変わっていく春花とそれを見守る俊。学校の日常と『お隣』での様々な出来事の中、二人は気持ちを寄せ合い、春樹を失った悲しみを乗り越えようとする。 「9日間」「春の音が聴こえる」「魔法使いたちへ」と関連してくる物語。 (also @ なろう)

ノースキャンプの見張り台

こいちろう
児童書・童話
 時代劇で見かけるような、古めかしい木づくりの橋。それを渡ると、向こう岸にノースキャンプがある。アーミーグリーンの北門と、その傍の監視塔。まるで映画村のセットだ。 進駐軍のキャンプ跡。周りを鉄さびた有刺鉄線に囲まれた、まるで要塞みたいな町だった。進駐軍が去ってからは住宅地になって、たくさんの子どもが暮らしていた。  赤茶色にさび付いた監視塔。その下に広がる広っぱは、子どもたちの最高の遊び場だ。見張っているのか、見守っているのか、鉄塔の、あのてっぺんから、いつも誰かに見られているんじゃないか?ユーイチはいつもそんな風に感じていた。

クールな幼なじみの許嫁になったら、甘い溺愛がはじまりました

藤永ゆいか
児童書・童話
中学2年生になったある日、澄野星奈に許嫁がいることが判明する。 相手は、頭が良くて運動神経抜群のイケメン御曹司で、訳あって現在絶交中の幼なじみ・一之瀬陽向。 さらに、週末限定で星奈は陽向とふたり暮らしをすることになって!? 「俺と許嫁だってこと、絶対誰にも言うなよ」 星奈には、いつも冷たくてそっけない陽向だったが……。 「星奈ちゃんって、ほんと可愛いよね」 「僕、せーちゃんの彼氏に立候補しても良い?」 ある時から星奈は、バスケ部エースの水上虹輝や 帰国子女の秋川想良に甘く迫られるようになり、徐々に陽向にも変化が……? 「星奈は可愛いんだから、もっと自覚しろよ」 「お前のこと、誰にも渡したくない」 クールな幼なじみとの、逆ハーラブストーリー。

【完結】夫に穢された純愛が兄に止めを刺されるまで

猫都299
児童書・童話
タイムリープしたかもしれない。中学生に戻っている? 夫に愛されなかった惨めな人生をやり直せそうだ。彼を振り向かせたい。しかしタイムリープ前の夫には多くの愛人がいた。純愛信者で奥手で恋愛経験もほぼない喪女にはハードルが高過ぎる。まずは同じ土俵で向き合えるように修行しよう。この際、己の理想もかなぐり捨てる。逆ハーレムを作ってメンバーが集まったら告白する! 兄(血は繋がっていない)にも色々教えてもらおう。…………メンバーが夫しか集まらなかった。 ※小説家になろう、カクヨム、アルファポリス、Nolaノベル、Tales、ツギクルの6サイトに投稿しています。 ※ノベルアップ+にて不定期に進捗状況を報告しています。 ※文字数を調整した【応募版】は2026年1月3日より、Nolaノベル、ツギクル、ベリーズカフェ、野いちごに投稿中です。 ※2026.1.5に完結しました! 修正中です。

トウシューズにはキャラメルひとつぶ

白妙スイ@1/9新刊発売
児童書・童話
白鳥 莉瀬(しらとり りぜ)はバレエが大好きな中学一年生。 小学四年生からバレエを習いはじめたのでほかの子よりずいぶん遅いスタートであったが、持ち前の前向きさと努力で同い年の子たちより下のクラスであるものの、着実に実力をつけていっている。 あるとき、ひょんなことからバレエ教室の先生である、乙津(おつ)先生の息子で中学二年生の乙津 隼斗(おつ はやと)と知り合いになる。 隼斗は陸上部に所属しており、一位を取ることより自分の実力を磨くことのほうが好きな性格。 莉瀬は自分と似ている部分を見いだして、隼斗と仲良くなると共に、だんだん惹かれていく。 バレエと陸上、打ちこむことは違っても、頑張る姿が好きだから。

処理中です...