演じる家族

ことは

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3幼なじみ

3-3

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「あ~ぁ。何で未来、ハルちゃんのこと説明しないのよ」

「説明したって無駄だよ。あんな冷たい奴だとは思わなかった」

「でも、照れているだけかもよ。悪い人には見えなかった」

 恵理が翔太の走り去った方を見ながら言うと、美波も、うん、うん、と同意した。

「でも、わたしは脈なしだな。翔太君、未来のことしか見えないって感じだったもん。わたしの方なんか見向きもしない」

 美波が大げさにため息をつく。

「わたし、あんな迷惑そうにされたんだよ! そんなわけないじゃん」

「未来、行くよ! 恵理ちゃんも来て」

 美波が未来の手を取って歩き出す。

「どこ行くの?」

「部活終わるの待つに決まっているでしょ? 練習、見に行くよ」

「本当にいいよ、もう。どうせまた、ハルちゃん忘れているだろうし」

 未来は、美波にひっぱられている腕をひっぱり返す。

「でも、未来は忘れないでしょ。約束したこと忘れられなくて、昨日みたいに暗い顔されたんじゃ、こっちがたまんないよ。本当未来、根が真面目なんだから」

 美波が、強引に未来を引きずっていく。

「わたし、そんなに暗い顔してた?」

 未来が後ろからついてくる恵理に聞くと、恵理は遠慮がちにうなずいた。

「永野未来の演技もまだまだだね。わたしたちの前でも、いつも明るい顔していてちょうだい」

 未来はそれ以上、美波に逆らえなかった。

   ◇

「ちょっと、ここじゃ近すぎるって」

 美波は、グラウンドの中まで未来と恵理を連れて行った。

「うん。これじゃあ、いかにもサッカー部見てます、って感じだよね」

 恵理も、恥ずかしそうにしている。

「いいの、いいの。ちょうどここ、ベンチもあるし。野球部だって陸上部だっているじゃん。わたしたちがサッカー部見ているとは限らないよ」

 美波が木製のベンチに座る。

「でも、少なくとも翔君と俊介君にはばれているし……」

 未来が抵抗しても、美波は腰をあげようとしない。

 しかたなく、未来と恵理もベンチに座る。

 だが、腰を落ち着かせると、三人はグラウンドにいることも忘れ、すぐにおしゃべりに夢中になった。あっという間に時間が過ぎ、グラウンドが夕日にそまっていく。

「危ないっ」

 恵理にしては、大きな声だった。恵理は、目を見開いてグラウンドの方を見ている。

 未来もそっちに顔を向けようとした。が、その前に頭にガツンと強い衝撃があった。

 真っ暗闇の中に細かい星が散った。

(本当に、星って見えるんだ)

 未来はそのまま意識を失った。
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