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4幽霊
4-3
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翌日、月曜日の昼休み。
未来は美波と恵理に、春子が幽霊に悩まされていることを相談した。
恵理の席をかこんで、美波と未来は空いている椅子に座った。
「けど、未来は信じてないんでしょ?」
話を聞き終わると、美波が言った。
「うん。美波は信じるの? 本当に幽霊がいるって」
「まさか」
「でも、ハルちゃんは、信じているってわけだ」
恵理が、ロダンの「考える人」のようなポーズを取りながら言う。
「恵理ちゃん、何かいい考え浮かんだ?」
美波が、恵理のポーズを真似した。
「うん。除霊、してあげればいいんじゃない?」
「恵理ちゃん、もしかして信じているの? 一番現実的な感じがするのに」
未来が驚いて聞く。
「わたしだって信じていないよ。でも、ハルちゃんが幽霊がいるって思い込んでいるなら、除霊してあげれば、見えなくなると思う」
「でも、そんなことするお金ないよ」
未来がため息混じりに言った。
「幽霊が本物じゃないんだから、除霊だって、本物じゃなくてもいいじゃない」
「どういうこと?」
「わたしたちで、除霊してあげるのよ」
「あっ、それ面白そう」
美波が身を乗り出してきた。
「確か部室に、巫女さんの衣装あったよね?」
「あったと思うけど、巫女さんって除霊なんかできたっけ?」
未来が首をかしげると、美波が手を叩いて笑った。
「もう、未来ってば真面目に考えすぎ。どうせ除霊も幽霊も本物じゃないんだから。雰囲気よ、雰囲気。巫女さんの衣装着れば、なんとなく本格的な感じするでしょ」
「まぁ、あまり深く考えなくてもいいと思うよ。わたしも」
恵理が言うと、説得力がある。
「けど、誰が巫女さんの役やるの? わたしがやるわけにはいかないし」
未来が、恵理と美波の顔を交互に見る。
「演技力で言えば、わたしだよね」
美波が、ポニーテールの毛先を指に巻きつけながら言った。
「でも、美波って、神秘的な雰囲気じゃないんだよね。おしゃべりだし」
「おしゃべり、関係ある? けどまぁ、ハルちゃん怒らせちゃった前科もあるしなぁ。もう2度も会っているし、ハルちゃんわたしのこと覚えていたら、巫女さんってキャラじゃないと思われるだろうね」
未来と美波が、同時に恵理を見つめる。
「え? わたし?」
「恵理ちゃんしかいないっ」
未来と美波の声が重なった。
「恵理ちゃん、巫女さんっぽい雰囲気あるよ、絶対」
「未来ちゃん、なに適当なこと言っているのよ。無理だよ、わたしには」
恵理が、顔の前で大きく手を振る。
「だけど、このアイデア考えついたの、恵理ちゃんだし。絶対うまくいくよ。わたし、フォローするし」
美波が、振り続ける恵理の手を止めながら言った。
「恵理ちゃん、お父さんの仕事は何?」
「うちは、公務員だけど……」
「よし! お父さんが神主さんってことにしよう」
「なにが、よしっ、なの?」
「で、恵理ちゃんには、生まれついて不思議な力がある。未来の話を聞いた恵理ちゃんが、除霊してあげると言ってきた」
「あ、何か、恵理ちゃんが本物の霊媒師に見えてきた」
未来が言うと、でしょ? でしょ? と美波のテンションが上がる。
「いいよね?」
未来と美波の声が、再び重なる。
恵理が大きなため息をつく。
「もう、なんか調子に乗せられちゃった感じだけど、しかたない、やってやるか」
「やったー」
未来と美波が、パチンと手の平を合わせた。
未来は美波と恵理に、春子が幽霊に悩まされていることを相談した。
恵理の席をかこんで、美波と未来は空いている椅子に座った。
「けど、未来は信じてないんでしょ?」
話を聞き終わると、美波が言った。
「うん。美波は信じるの? 本当に幽霊がいるって」
「まさか」
「でも、ハルちゃんは、信じているってわけだ」
恵理が、ロダンの「考える人」のようなポーズを取りながら言う。
「恵理ちゃん、何かいい考え浮かんだ?」
美波が、恵理のポーズを真似した。
「うん。除霊、してあげればいいんじゃない?」
「恵理ちゃん、もしかして信じているの? 一番現実的な感じがするのに」
未来が驚いて聞く。
「わたしだって信じていないよ。でも、ハルちゃんが幽霊がいるって思い込んでいるなら、除霊してあげれば、見えなくなると思う」
「でも、そんなことするお金ないよ」
未来がため息混じりに言った。
「幽霊が本物じゃないんだから、除霊だって、本物じゃなくてもいいじゃない」
「どういうこと?」
「わたしたちで、除霊してあげるのよ」
「あっ、それ面白そう」
美波が身を乗り出してきた。
「確か部室に、巫女さんの衣装あったよね?」
「あったと思うけど、巫女さんって除霊なんかできたっけ?」
未来が首をかしげると、美波が手を叩いて笑った。
「もう、未来ってば真面目に考えすぎ。どうせ除霊も幽霊も本物じゃないんだから。雰囲気よ、雰囲気。巫女さんの衣装着れば、なんとなく本格的な感じするでしょ」
「まぁ、あまり深く考えなくてもいいと思うよ。わたしも」
恵理が言うと、説得力がある。
「けど、誰が巫女さんの役やるの? わたしがやるわけにはいかないし」
未来が、恵理と美波の顔を交互に見る。
「演技力で言えば、わたしだよね」
美波が、ポニーテールの毛先を指に巻きつけながら言った。
「でも、美波って、神秘的な雰囲気じゃないんだよね。おしゃべりだし」
「おしゃべり、関係ある? けどまぁ、ハルちゃん怒らせちゃった前科もあるしなぁ。もう2度も会っているし、ハルちゃんわたしのこと覚えていたら、巫女さんってキャラじゃないと思われるだろうね」
未来と美波が、同時に恵理を見つめる。
「え? わたし?」
「恵理ちゃんしかいないっ」
未来と美波の声が重なった。
「恵理ちゃん、巫女さんっぽい雰囲気あるよ、絶対」
「未来ちゃん、なに適当なこと言っているのよ。無理だよ、わたしには」
恵理が、顔の前で大きく手を振る。
「だけど、このアイデア考えついたの、恵理ちゃんだし。絶対うまくいくよ。わたし、フォローするし」
美波が、振り続ける恵理の手を止めながら言った。
「恵理ちゃん、お父さんの仕事は何?」
「うちは、公務員だけど……」
「よし! お父さんが神主さんってことにしよう」
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未来と美波の声が、再び重なる。
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「もう、なんか調子に乗せられちゃった感じだけど、しかたない、やってやるか」
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未来と美波が、パチンと手の平を合わせた。
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