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相談室から出て、帰ろうと廊下を歩き始めた時だ。
「瑞穂?」
聞き覚えのある声に呼び止められた。
立ち止まって声の主を見る。
白シャツに紺色のカーディガンを羽織った女性。肩までの緩いウエーブのかかった髪に、切れ長の優しそうな目。控えめな薄いピンク色の唇が、嬉しそうにほころぶ。
「やっぱり瑞穂だよね?」
女性が瑞穂の肩をポンと叩く。
「もしかして菜月?」
「そうだよー。遠山菜月」
菜月の笑顔に、瑞穂は懐かしい気持ちで胸がいっぱいになった。
「髪伸ばしたんだね。一瞬、誰かわからなかった」
「もしかして会うの、高校卒業以来?」
「うん、6年ぶりくらいかな。もしかして菜月、ここの職員?」
菜月は首からネームプレートを下げていた。
「そう。就職して2年目……。あれ? 瑞穂、もしかして今そこの相談室から出てきた?」
菜月が先程の相談室を指さす。
瑞穂はうなずいた。
「あの件通報してきたのって、もしかして瑞穂だったの?」
そう聞く菜月の表情が曇る。
「そうだけど……」
「ちょっとちょっと」
菜月は小声になり、瑞穂の腕を取って廊下を歩いていく。
瑞穂はそのまま廊下の片隅まで連れていかれた。
「ここだけの話、あの通報、悪戯じゃないかって言われているの」
「えっ」
瑞穂が驚いて声を上げると、シーっと菜月は人差し指を立てた。
「そんな。わたしは悪戯でそんな電話なんかしない」
「うん、わかってる。瑞穂がそんなことをするわけない」
菜月がそう言ってくれたおかげで、瑞穂の気持ちは少し落ち着いた。
「よかったら、今日の夕飯一緒にどう?」
菜月は明るい声でそう言った後に、声のトーンを落として続けた。
「ここじゃ色々話せないからさ」
もちろん、瑞穂は菜月の誘いに応じた。
「瑞穂?」
聞き覚えのある声に呼び止められた。
立ち止まって声の主を見る。
白シャツに紺色のカーディガンを羽織った女性。肩までの緩いウエーブのかかった髪に、切れ長の優しそうな目。控えめな薄いピンク色の唇が、嬉しそうにほころぶ。
「やっぱり瑞穂だよね?」
女性が瑞穂の肩をポンと叩く。
「もしかして菜月?」
「そうだよー。遠山菜月」
菜月の笑顔に、瑞穂は懐かしい気持ちで胸がいっぱいになった。
「髪伸ばしたんだね。一瞬、誰かわからなかった」
「もしかして会うの、高校卒業以来?」
「うん、6年ぶりくらいかな。もしかして菜月、ここの職員?」
菜月は首からネームプレートを下げていた。
「そう。就職して2年目……。あれ? 瑞穂、もしかして今そこの相談室から出てきた?」
菜月が先程の相談室を指さす。
瑞穂はうなずいた。
「あの件通報してきたのって、もしかして瑞穂だったの?」
そう聞く菜月の表情が曇る。
「そうだけど……」
「ちょっとちょっと」
菜月は小声になり、瑞穂の腕を取って廊下を歩いていく。
瑞穂はそのまま廊下の片隅まで連れていかれた。
「ここだけの話、あの通報、悪戯じゃないかって言われているの」
「えっ」
瑞穂が驚いて声を上げると、シーっと菜月は人差し指を立てた。
「そんな。わたしは悪戯でそんな電話なんかしない」
「うん、わかってる。瑞穂がそんなことをするわけない」
菜月がそう言ってくれたおかげで、瑞穂の気持ちは少し落ち着いた。
「よかったら、今日の夕飯一緒にどう?」
菜月は明るい声でそう言った後に、声のトーンを落として続けた。
「ここじゃ色々話せないからさ」
もちろん、瑞穂は菜月の誘いに応じた。
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