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転生石好き令嬢の生存戦略<後編の後編の後編の後編の後編の後編の後編の後編の後編の後編の中編>
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バスケットの隙間から目が逸らせない。
暗闇に光る赤い二つの光には悪意も敵意も感じないけれど、だけどおかしいのだ。
明るい室内で、バスケットの中だけが、目を凝らしても暗く、赤い光以外、何の造形も摑めないことが……。
グレナディアの知るどんな生き物とも一致しない。
知らないことは怖い事だ。
いつどんな事が命を脅かすか解らないのだから。
頼みの綱の髪飾りは既に砕けてしまった。
今、グレナディアは、物理攻撃無効のアイテムを何も身につけていない。
今日は遠出しないからと思って完全に油断していた。
赤い眼は攻撃色だなんて誰が言ったんだっけ?
あ、私もベルも、赤い眼だった。
怖くないけど怖い。
どうしよう……。
心臓がバクバクと音をたて、思考の邪魔をする。
バスケットの蓋を少し持ち上げて外を覗いているような様子が可愛いと言えば言えなくないかも……、しれ……ない……?
でも、どんな小さな生き物でも、扱い方を間違えば、即刻、死につながるものもいる。
動く様子の無い赤い光から目をそらせずに、耳で室内の状況を確認する。
お母様はまだ二人にお説教中。
何だろう、これ。
気分は爆弾処理班だ。
安全が確認されるまで、お客さんなシオンだけでも外に出せないかしら?
無意識にちらりと見たら、薄紫の澄んだ瞳とばっちり視線が重なった。
あっ、と思う間もなく、シオンの姿が揺らいで、目の前にその背中が現れる。
固有スキル、大活躍!
って言うかちょっと待って!
ちょつ、お客様!困ります!
一番逃げて欲しい人がなんで!
気がつけば、バスケットとグレナディアの間に、護る様にシオンが立ちふさがっていた。
それは、手を伸ばせば簡単にバスケットに届いてしまう程近い距離。
「ねぇ、ディー、聖獣フェニックスって知ってる?」
えっ?何を唐突に……。
今、それどころじゃないでしょ?
「このお屋敷の正面玄関のキラキラした鳥のステンドグラス、あれ、フェニックスよ。ボルケニィウスの家の家紋にもなってるわ。赤やオレンジ色で表現される事が多い火の鳥。そして、この地における昔話では割とポピュラーな存在よ。実在するかは別にして。」
って、律義に答える私も何なのよ!
我がボルケニィウス領は、王国内の四ヶ所にある四聖獣伝説の地の一つなのです。
観光地にうってつけです。
そうだわ、ゆるきゃら作ってマスコットとして押したり、昔話の観光名所紹介したりすれば、立派な観光資源じゃない。
お土産に、フェニックスのべっ甲飴、フェニックスのペナント、フェニックスの扇、フェニックスのモービル!
風鈴、パラソル、木工細工、ガラス細工、刺繍、陶芸、何にしても映える意匠だわ!
ああ、こんな時だと言うのに商品アイデアが続々と温泉の様に湧きあがってくる!!
だが今はそれどころではない!
「……実在してるよ。」
緊張感のない声が、シオンの背中から聞こえてきました。
ちょっと意外かも?シオンはそういうの、信じる子なのね。
まあ、魔法があって、魔物もいる世界で、聖獣だけ迷信と思うのも不自然か。
私も、観光資源とか財源としてだけでなく、本当に居たら良いなあとは思うけれど。
ほのぼのしかけた瞬間だった。
腰を落とし、前かがみになったシオンの肩越しに見えたのは、迷いのない動作でバスケットにズボッと両手を突っ込む姿だった。
「ほえっ?」
思考が追いつかない脳に、鞭打って目を見開く。
シオンはバスケットから、みょーんと伸びた黒々としたダークマター的な硬めのスライムを、引きずり出すと、
粘土をこねる様に持ち直しながら、嬉しそうに振り返った。
赤い眼?を爛々とさせる、謎の流動体の登場に、ああ、道理で形が解らないはずだ……。
と、心の一部は納得しかけたが、事の成り行きには全くついて行けていなかった。
その間にもシオンの指の間から、黒と言うよりは光を内側に隠した闇色とでも言うのだろうか、
不思議な色をした身体の一部が、溶けたゴムの様にゆるく垂れている。
そして、シオンの後ろの視界の端に、この部屋の中で一番、変則的な事態に弱い母が、気を失って倒れるのが見えた。
*********************
間があいてしまい申し訳ありません。
来月も、強制じゃないけど残業20時間は、やってねっていわれました。
無理ですって言ったけど、大丈夫って言われました。
そんな状況ですが、これからもお付き合い頂けると感謝です!
暗闇に光る赤い二つの光には悪意も敵意も感じないけれど、だけどおかしいのだ。
明るい室内で、バスケットの中だけが、目を凝らしても暗く、赤い光以外、何の造形も摑めないことが……。
グレナディアの知るどんな生き物とも一致しない。
知らないことは怖い事だ。
いつどんな事が命を脅かすか解らないのだから。
頼みの綱の髪飾りは既に砕けてしまった。
今、グレナディアは、物理攻撃無効のアイテムを何も身につけていない。
今日は遠出しないからと思って完全に油断していた。
赤い眼は攻撃色だなんて誰が言ったんだっけ?
あ、私もベルも、赤い眼だった。
怖くないけど怖い。
どうしよう……。
心臓がバクバクと音をたて、思考の邪魔をする。
バスケットの蓋を少し持ち上げて外を覗いているような様子が可愛いと言えば言えなくないかも……、しれ……ない……?
でも、どんな小さな生き物でも、扱い方を間違えば、即刻、死につながるものもいる。
動く様子の無い赤い光から目をそらせずに、耳で室内の状況を確認する。
お母様はまだ二人にお説教中。
何だろう、これ。
気分は爆弾処理班だ。
安全が確認されるまで、お客さんなシオンだけでも外に出せないかしら?
無意識にちらりと見たら、薄紫の澄んだ瞳とばっちり視線が重なった。
あっ、と思う間もなく、シオンの姿が揺らいで、目の前にその背中が現れる。
固有スキル、大活躍!
って言うかちょっと待って!
ちょつ、お客様!困ります!
一番逃げて欲しい人がなんで!
気がつけば、バスケットとグレナディアの間に、護る様にシオンが立ちふさがっていた。
それは、手を伸ばせば簡単にバスケットに届いてしまう程近い距離。
「ねぇ、ディー、聖獣フェニックスって知ってる?」
えっ?何を唐突に……。
今、それどころじゃないでしょ?
「このお屋敷の正面玄関のキラキラした鳥のステンドグラス、あれ、フェニックスよ。ボルケニィウスの家の家紋にもなってるわ。赤やオレンジ色で表現される事が多い火の鳥。そして、この地における昔話では割とポピュラーな存在よ。実在するかは別にして。」
って、律義に答える私も何なのよ!
我がボルケニィウス領は、王国内の四ヶ所にある四聖獣伝説の地の一つなのです。
観光地にうってつけです。
そうだわ、ゆるきゃら作ってマスコットとして押したり、昔話の観光名所紹介したりすれば、立派な観光資源じゃない。
お土産に、フェニックスのべっ甲飴、フェニックスのペナント、フェニックスの扇、フェニックスのモービル!
風鈴、パラソル、木工細工、ガラス細工、刺繍、陶芸、何にしても映える意匠だわ!
ああ、こんな時だと言うのに商品アイデアが続々と温泉の様に湧きあがってくる!!
だが今はそれどころではない!
「……実在してるよ。」
緊張感のない声が、シオンの背中から聞こえてきました。
ちょっと意外かも?シオンはそういうの、信じる子なのね。
まあ、魔法があって、魔物もいる世界で、聖獣だけ迷信と思うのも不自然か。
私も、観光資源とか財源としてだけでなく、本当に居たら良いなあとは思うけれど。
ほのぼのしかけた瞬間だった。
腰を落とし、前かがみになったシオンの肩越しに見えたのは、迷いのない動作でバスケットにズボッと両手を突っ込む姿だった。
「ほえっ?」
思考が追いつかない脳に、鞭打って目を見開く。
シオンはバスケットから、みょーんと伸びた黒々としたダークマター的な硬めのスライムを、引きずり出すと、
粘土をこねる様に持ち直しながら、嬉しそうに振り返った。
赤い眼?を爛々とさせる、謎の流動体の登場に、ああ、道理で形が解らないはずだ……。
と、心の一部は納得しかけたが、事の成り行きには全くついて行けていなかった。
その間にもシオンの指の間から、黒と言うよりは光を内側に隠した闇色とでも言うのだろうか、
不思議な色をした身体の一部が、溶けたゴムの様にゆるく垂れている。
そして、シオンの後ろの視界の端に、この部屋の中で一番、変則的な事態に弱い母が、気を失って倒れるのが見えた。
*********************
間があいてしまい申し訳ありません。
来月も、強制じゃないけど残業20時間は、やってねっていわれました。
無理ですって言ったけど、大丈夫って言われました。
そんな状況ですが、これからもお付き合い頂けると感謝です!
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