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舞台裏(リュシオル・ライトブリンガー3)
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寝室を目標に帰宅すると、すぐに母に呼ばれた。
「今日はお城で何をしていたの?」
世間話がてら質問を投げかけて来る母に訂正をする。
「今日はアークと一緒に、サフィの所に行って来ました。」
ちゃんと玄関から。
「……まあっ。」
母は時々、何でも無いことで驚く。
見開かれた瞳は、今日見たプラシオライトの様な透き通った新緑の色だ。
ほら、やっぱりそうだ。
緑が何でもサフィの瞳の色に見えるのはアークだけなんじゃないかな?
それは良いとして、じゃあ、母は何をしていたのだろうかと思えば、
卓子に、やりかけの刺繍と束ねられた沢山の手紙が置いてあった。
いつもより手紙が多い気もしたけれど、それには特に興味はそそられ無かったので、今日見てきた事を話す。
「母上は、女の子の友達がサフィに、面白い物を送ってきてるの知ってる?」
母は、サフィの母の妹なので、たまに一緒に遊んでいる僕よりサフィに詳しかったりする。
少し考えて、母は言った。
「サフィが、ボルケニィウスの女の子に色々送っているのは知っているわ。
紫色のものが多いから、最初、貴方に贈っているのかと思っていたらしいの。」
どういう事だろう?
僕の瞳の色が、たまたまその子の好きな色なんだろうか?
「ちょっとサフィに聞いてきます。」
転移しようとしたら、手を掴まれた。
「お待ちなさい。今、何時だと思っているの?」
笑顔だけど、すごく怒っている。
本能的な恐怖に、母とサフィの血のつながりを見出す。
「明日にします。」
そう言うとあっさり母の怒りは収まったけど、びっくりした。
なんで怒られたのだったかな?
まあいいや。
サフィの友達の名前、聞いておけばよかった。
そして迎えた翌日の朝。
アークが30分寝坊してもいろんな事が落ち着いてそうな時間を見計らって、アークの部屋に移動する。
「おはよう……、あれ?」
いつもだったら変な顔して机に着いているはずなのに姿が見えない。
近くに寄ってみると、置き手紙が残されていた。
『サフィの所に行って来る。』
あ、秘密の通路で脱走したな、と解った。
付いてた人は、秘密の通路を通れないから、一回外に出てサフィの屋敷に向かっている事だろう。
サフィは不思議だ。
アークが好きすぎて直通の通路を作ったのに、自分は使わないでアークがそれを使うのを待っているのだ。
そうだった。
元々サフィに用事があるのだった。
ここに居ても仕方ないと、迷うことなく、すぐにサフィの部屋に転移した。
「ねえ、サフィの友達の名前教えて!」
転移完了と同時に、開口一番そう言ったら不審そうな顔をされた。
ああ、流石に友達って言っても何人かはいるよね。
「珍しいな、挨拶が無いのはいつもの事として、出会い頭に勝負を挑まれない日が来るとは……。」
何だか感慨にふけっているようだけど、そう言えばアークは?
てっきりここに居るものだと思っていたのに。
「何故ここにリュシオルがいる……、浮気か!?」
壁が歪んだと思ったら、絶妙のタイミングで、アークが現れた。
今度で良いから、あの壁に触ってみたい。
と言うか、変なの。
昨日あんなに怒ったのに自分は浮気とか言うの?
「私の心はいつも一つ。疑われるのは心外だ。どうしたら伝わるだろうか?」
哀しそうな顔は嘘。
でも多分、アークは、逃げた方が良いかもしれない。
いや、逃げたら後からもっと大変な事になるかもしれないから、この苦境を自力で何とか乗り越えて欲しいと思う。
「伝えるのは後で良いと思う。サフィールの石好きのお友達って、名前なんていうの?」
それだけ聞いたら、邪魔しないですぐに帰るから、ねえ、教えて?
「グレナディア・ボルケニィウス辺境伯ご令嬢だ。」
そう言いつつ、手を差し出して来た。
ああ、昨日の、僕の髪が入った針水晶もう、作ってくれたんだ。
「ありがとう。」
僕は、用が済んだので、そのまま家に帰った。
何だかアークの呼びとめる声が聞えないでもなかったけど、知らないかな。
健闘を祈る?
「今日はお城で何をしていたの?」
世間話がてら質問を投げかけて来る母に訂正をする。
「今日はアークと一緒に、サフィの所に行って来ました。」
ちゃんと玄関から。
「……まあっ。」
母は時々、何でも無いことで驚く。
見開かれた瞳は、今日見たプラシオライトの様な透き通った新緑の色だ。
ほら、やっぱりそうだ。
緑が何でもサフィの瞳の色に見えるのはアークだけなんじゃないかな?
それは良いとして、じゃあ、母は何をしていたのだろうかと思えば、
卓子に、やりかけの刺繍と束ねられた沢山の手紙が置いてあった。
いつもより手紙が多い気もしたけれど、それには特に興味はそそられ無かったので、今日見てきた事を話す。
「母上は、女の子の友達がサフィに、面白い物を送ってきてるの知ってる?」
母は、サフィの母の妹なので、たまに一緒に遊んでいる僕よりサフィに詳しかったりする。
少し考えて、母は言った。
「サフィが、ボルケニィウスの女の子に色々送っているのは知っているわ。
紫色のものが多いから、最初、貴方に贈っているのかと思っていたらしいの。」
どういう事だろう?
僕の瞳の色が、たまたまその子の好きな色なんだろうか?
「ちょっとサフィに聞いてきます。」
転移しようとしたら、手を掴まれた。
「お待ちなさい。今、何時だと思っているの?」
笑顔だけど、すごく怒っている。
本能的な恐怖に、母とサフィの血のつながりを見出す。
「明日にします。」
そう言うとあっさり母の怒りは収まったけど、びっくりした。
なんで怒られたのだったかな?
まあいいや。
サフィの友達の名前、聞いておけばよかった。
そして迎えた翌日の朝。
アークが30分寝坊してもいろんな事が落ち着いてそうな時間を見計らって、アークの部屋に移動する。
「おはよう……、あれ?」
いつもだったら変な顔して机に着いているはずなのに姿が見えない。
近くに寄ってみると、置き手紙が残されていた。
『サフィの所に行って来る。』
あ、秘密の通路で脱走したな、と解った。
付いてた人は、秘密の通路を通れないから、一回外に出てサフィの屋敷に向かっている事だろう。
サフィは不思議だ。
アークが好きすぎて直通の通路を作ったのに、自分は使わないでアークがそれを使うのを待っているのだ。
そうだった。
元々サフィに用事があるのだった。
ここに居ても仕方ないと、迷うことなく、すぐにサフィの部屋に転移した。
「ねえ、サフィの友達の名前教えて!」
転移完了と同時に、開口一番そう言ったら不審そうな顔をされた。
ああ、流石に友達って言っても何人かはいるよね。
「珍しいな、挨拶が無いのはいつもの事として、出会い頭に勝負を挑まれない日が来るとは……。」
何だか感慨にふけっているようだけど、そう言えばアークは?
てっきりここに居るものだと思っていたのに。
「何故ここにリュシオルがいる……、浮気か!?」
壁が歪んだと思ったら、絶妙のタイミングで、アークが現れた。
今度で良いから、あの壁に触ってみたい。
と言うか、変なの。
昨日あんなに怒ったのに自分は浮気とか言うの?
「私の心はいつも一つ。疑われるのは心外だ。どうしたら伝わるだろうか?」
哀しそうな顔は嘘。
でも多分、アークは、逃げた方が良いかもしれない。
いや、逃げたら後からもっと大変な事になるかもしれないから、この苦境を自力で何とか乗り越えて欲しいと思う。
「伝えるのは後で良いと思う。サフィールの石好きのお友達って、名前なんていうの?」
それだけ聞いたら、邪魔しないですぐに帰るから、ねえ、教えて?
「グレナディア・ボルケニィウス辺境伯ご令嬢だ。」
そう言いつつ、手を差し出して来た。
ああ、昨日の、僕の髪が入った針水晶もう、作ってくれたんだ。
「ありがとう。」
僕は、用が済んだので、そのまま家に帰った。
何だかアークの呼びとめる声が聞えないでもなかったけど、知らないかな。
健闘を祈る?
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