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番外編(ハッピーバレンタイン上)※少し未来の時間軸
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王都とボルケニィウス辺境伯領の丁度中間にあるセレンティ湖は、セレンティ侯爵領である。
澄んだ空気と透き通った湖のほとりにある町は、
全体的にメルヘンな雰囲気の可愛らしい建物で統一されている観光都市兼、商業都市だ。
この町は今、甘い匂いと甘い空気で包まれていた。
冬季にこの街で行われる恋人たちの祭典、バレンタイン祭りの影響だ。
「あ、明らかに繁忙期と見てとれるこの街の一番人気のゲストハウスに貸し切りで泊まるとか、
前世からの染み付いた庶民根性ががが……。」
そう言って狼狽えるグレナディアをくすりと笑って座らせると、サフィールはテーブルの上の銀器の蓋に手をかけた。
「まあ、この国の王子が泊るのだからな。一番で無くては困る。」
どちらかと言うと、その王子に一番を与えたいサフィールの都合だったが、
この場でその事に突っ込みを入れられるものは存在しなかった。
「しかしまさか、異世界に来てまでバレンタインがあるとは……」
小さいころから感じていたが誰にも伝えられなかった違和感のひとつを、
ようやく出会えた同じ転生者であるサフィールに伝える。
「現状は、完全に日本式のバレンタインだが、由来はちがうぞ。」
サフィールも、転生者同士で無いとできない会話に、口が軽くなる。
「え?」
チョコを恋人や大切な人に贈るのが日本だけだと言うのは知っていたけれど、
そもそも元の世界のバレンタインの由来って誰か殉職した日とか命日とかそんなだったかな?
「DDに良く似た世界と言う事は、宗教色が薄く無くてはいけない世界に良く似た世界だという事だ。」
ゲームの世界進出を狙うなら宗教の取り扱いには気をつけなくてはいけないからな。
現に冗談抜きに、前世の世界では、宗教上の理由から、
バレンタインで、チャラチャラしたら死刑にするぞと国営放送でおどす国もあった。
「この世界のバレンタインの由来は、チョコレートや甘いお菓子が好きな泉の妖精に
お菓子を貢いで、恋の成就を祈願するんでしたっけ?」
この世界のバレンタインは、ぶっちゃけチャラい。
「お菓子ばかり持ってこられて困った泉の神殿の管理人が、
恋人同士でプレゼントしたりする事を推奨した事がずれて伝わって、
恋人達がこの季節に町に集まる様になったり、町の商人が色々頑張った結果、
今の形に収まっている。」
窓の外には今も、飴やチョコやバニラなどの甘い香りがあふれる街中に、
手を繋いだカップルがあふれている。
リア充というやつだ。
「さて本題に入ろう。女子だけで先乗りしたのは、他でもないこれを見て貰う為だ。」
そう言ってサフィールが銀のトレイの蓋を取ると、白い陶器の皿に、
上品で可愛いチョコレートが一粒乗っていた。
見た瞬間、あれ?これ、どこかで見た事があるぞ?と思った。
「DDの公式サイトがバレンタイン前後1週間限定でWEBに公開した、プチブラウザゲームで
王子のクリア時のスチルにあったチョコレートだ。あるチョコブランドの
一粒500円のチョコがモデルだと言われている。」
サフィールの解説で思い出した。
そのゲームはやってないけど、友達がそのチョコを買いに行くと言うので、付いて行った覚えがある。
デパートのバレンタイン時期だけの期間限定販売で買えたんだったな。
何でも、ゲームの公開から15分後には、特定班が、チョコのブランド、
値段、名前、通販サイトを特定していた。
探偵か!
リュシオルのクリアスチルはショコラオランジェと言う
棒状のオレンジピールにチョコがかかったものだったと聞いた。
一粒売りのチョコと違い、特徴が薄いからモデルの特定は不可だったそうだ。
候補は沢山挙がってた。
「もちろんリュシオルの分も用意してある。」
おお、ショコラオランジェだ。
「公爵邸のパテシィエが作ったものだけど、味は保証する。」
凄く美味しそう。
良いにおいがする。
「解ったわ!これを使ってシナリオを再現するのね!」
シナリオ知らないけど!
たまには女子力(物理ではない)発揮するかしら!
「違うな。再現するだけだと楽しくないだろう?」
あ、サフィール様に何か駄目なやつが降臨してる気がする。
悪い笑いを浮かべるサフィールに、取りあえず、笑顔を返すもどうしていいか解らない。
ごめんね、シオン。
良く解らないけど先に謝っておくわ。
澄んだ空気と透き通った湖のほとりにある町は、
全体的にメルヘンな雰囲気の可愛らしい建物で統一されている観光都市兼、商業都市だ。
この町は今、甘い匂いと甘い空気で包まれていた。
冬季にこの街で行われる恋人たちの祭典、バレンタイン祭りの影響だ。
「あ、明らかに繁忙期と見てとれるこの街の一番人気のゲストハウスに貸し切りで泊まるとか、
前世からの染み付いた庶民根性ががが……。」
そう言って狼狽えるグレナディアをくすりと笑って座らせると、サフィールはテーブルの上の銀器の蓋に手をかけた。
「まあ、この国の王子が泊るのだからな。一番で無くては困る。」
どちらかと言うと、その王子に一番を与えたいサフィールの都合だったが、
この場でその事に突っ込みを入れられるものは存在しなかった。
「しかしまさか、異世界に来てまでバレンタインがあるとは……」
小さいころから感じていたが誰にも伝えられなかった違和感のひとつを、
ようやく出会えた同じ転生者であるサフィールに伝える。
「現状は、完全に日本式のバレンタインだが、由来はちがうぞ。」
サフィールも、転生者同士で無いとできない会話に、口が軽くなる。
「え?」
チョコを恋人や大切な人に贈るのが日本だけだと言うのは知っていたけれど、
そもそも元の世界のバレンタインの由来って誰か殉職した日とか命日とかそんなだったかな?
「DDに良く似た世界と言う事は、宗教色が薄く無くてはいけない世界に良く似た世界だという事だ。」
ゲームの世界進出を狙うなら宗教の取り扱いには気をつけなくてはいけないからな。
現に冗談抜きに、前世の世界では、宗教上の理由から、
バレンタインで、チャラチャラしたら死刑にするぞと国営放送でおどす国もあった。
「この世界のバレンタインの由来は、チョコレートや甘いお菓子が好きな泉の妖精に
お菓子を貢いで、恋の成就を祈願するんでしたっけ?」
この世界のバレンタインは、ぶっちゃけチャラい。
「お菓子ばかり持ってこられて困った泉の神殿の管理人が、
恋人同士でプレゼントしたりする事を推奨した事がずれて伝わって、
恋人達がこの季節に町に集まる様になったり、町の商人が色々頑張った結果、
今の形に収まっている。」
窓の外には今も、飴やチョコやバニラなどの甘い香りがあふれる街中に、
手を繋いだカップルがあふれている。
リア充というやつだ。
「さて本題に入ろう。女子だけで先乗りしたのは、他でもないこれを見て貰う為だ。」
そう言ってサフィールが銀のトレイの蓋を取ると、白い陶器の皿に、
上品で可愛いチョコレートが一粒乗っていた。
見た瞬間、あれ?これ、どこかで見た事があるぞ?と思った。
「DDの公式サイトがバレンタイン前後1週間限定でWEBに公開した、プチブラウザゲームで
王子のクリア時のスチルにあったチョコレートだ。あるチョコブランドの
一粒500円のチョコがモデルだと言われている。」
サフィールの解説で思い出した。
そのゲームはやってないけど、友達がそのチョコを買いに行くと言うので、付いて行った覚えがある。
デパートのバレンタイン時期だけの期間限定販売で買えたんだったな。
何でも、ゲームの公開から15分後には、特定班が、チョコのブランド、
値段、名前、通販サイトを特定していた。
探偵か!
リュシオルのクリアスチルはショコラオランジェと言う
棒状のオレンジピールにチョコがかかったものだったと聞いた。
一粒売りのチョコと違い、特徴が薄いからモデルの特定は不可だったそうだ。
候補は沢山挙がってた。
「もちろんリュシオルの分も用意してある。」
おお、ショコラオランジェだ。
「公爵邸のパテシィエが作ったものだけど、味は保証する。」
凄く美味しそう。
良いにおいがする。
「解ったわ!これを使ってシナリオを再現するのね!」
シナリオ知らないけど!
たまには女子力(物理ではない)発揮するかしら!
「違うな。再現するだけだと楽しくないだろう?」
あ、サフィール様に何か駄目なやつが降臨してる気がする。
悪い笑いを浮かべるサフィールに、取りあえず、笑顔を返すもどうしていいか解らない。
ごめんね、シオン。
良く解らないけど先に謝っておくわ。
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