43 / 50
舞台裏(リュシオル・ライトブリンガー9)
しおりを挟む
その部屋に入ると、ああ、この子なんだな、と解った。
今日の日の為に誂えられたのだろう僕の色のドレスを着た真っ赤な女の子。
彼女の周りだけ眩しくて、動けなくなった僕を、ソファーに誘導してくれた。
「はじめまして、グレナディア・ボルケニィウスと申します。甘いものはお好きですか?」
大きな赤い瞳が悪戯な笑みを作る。
かわいい!
そして手の中のガラス容器が気になる!
「リュシオル・ライトブリンガーだ。ボルケニィウスの食べ物には興味がある。」
白い手が、蓋を開けると真っ白なバター飴がころころと姿を見せる。
「よろしかったらおひとつどうぞ。」
差し出された容器に、好奇心が勝ち過ぎて、発動した鑑定眼が、
その中に一つだけ混じった同色の曹長石をマークする。
「あ、言い忘れてました。一つだけ、石が混じっているので、間違えないでくださいね。」
そうか、これが、『悪戯な仔猫ちゃん』ってことか!
唐突にそう理解したが、サフィールの忠告通り、その表現方法は封印したので口には出さない。
「曹長石か、良く磨いてある。本当に見分けがつかない。」
手にとって比較してみるが、他の飴と見比べても全然見分けがつかない。
僕の為に用意してくれたのだろうか?
そして、飴はどんな味がするのだろう……。
「美味しいが、普通の飴だな。」
舐めても噛んでも普通の飴だった。
その後、未来について話し合った。
一息で、沢山の不安な事を言ってくれた彼女の肺活量に思わず剣を勧めてみたが、
残念ながら、あまり乗り気ではない様だった。
そう言えば、母様に勧めた時も、『女の武器は扇よ。』と言って、
扇で口元を隠して笑っていらしたな。
なんでだろう?
その後もあまり僕との婚約に、前向きではない様だったけど、嫌われている訳では無いみたい。
サフィールの言う通り、推していくしかないと思ったので、
父様や兄様や、サフィールや、ちょっとだけ花屋の真似をして見た。
母様の部屋の恋愛小説も参考にしたけど、ほっぺに手を添えるって、あれで良かったのかな?
一生懸命、口説いて居たら、父様達が帰ってきてしまった。
昼間からお酒を飲んで居るなんて珍しい。
でも、二人で話をできる時間を作ってもらえてよかった。
もうひと押しだ。
「じゃあ、明日から何をして遊ぼうか?」
もう帰りたくないな。
晩餐の準備の為、一度部屋を出た所で、キラキラしないグレナディアが一人増えていた。
弟?
着ているものも違うし、よく見ると違うけど、そっくりだ。
再会の邪魔にならない様に傍で眺めていると、気になる単語が聞えて来た。
「姉上に作って貰った刀が覚醒しました!」
元気のよい声で、グレナディアに報告する内容が気になって声をかける。
「覚醒だと!?」
覚醒とは武器が、魔法を帯びて特殊効果が発動するようになることだ。
使うと追加魔法がかかるものや、武器自体が強化される付加魔法がかかるもの
使用者に付加魔法がかかるものなど色々だ。
だけど、覚醒させた本人と武器でないとそれは発動しない。
武器を扱うものにとって憧れであり、
確かに存在するけれど、めったに目にする事の出来ない奇跡でもあった。
それなのに、目の前の自分と年の変わらないような少年が、
既にその奇跡を手にしていると言うのだ。
話をしてみたい。
刀と言っただろうか?
覚醒した武器を見せて欲しい。
何故か自己紹介の後、睨まれてしまったが、父様に引っ張り出されなければ
質問攻めにしていただろう。
別室に連れて行かれ、落ち着いたら、今日、自分がお見合いに来た事を思い出した。
グレナディアには、呆れられていないだろうか?
さっき貰った曹長石を眺めながら甘い飴の味と、赤い色の女の子を思い出す。
「グレナディア、可愛かったね。」
そう言うと母が驚いた。
病気の可能性まで疑われたけど、サフィに可愛いって言う位なら、アークの方が可愛い。
確かに、女の子に可愛いって言いたくなったのは、初めてかな?
サフィも嫌いじゃない。
大事な友達だ。
一生懸命母に説明しようと思ったけど、もう良いって言われた。
ちゃんと伝わったかな?
まあいいや、グレナディアは剣に興味ないと言ってたけど、ルベルティオはどうだろう?
刀ってどんな武器だろう?
覚醒って何が起きるんだろう?
ああ、ここに来てよかった。
ずっとここに居たい。
今日の日の為に誂えられたのだろう僕の色のドレスを着た真っ赤な女の子。
彼女の周りだけ眩しくて、動けなくなった僕を、ソファーに誘導してくれた。
「はじめまして、グレナディア・ボルケニィウスと申します。甘いものはお好きですか?」
大きな赤い瞳が悪戯な笑みを作る。
かわいい!
そして手の中のガラス容器が気になる!
「リュシオル・ライトブリンガーだ。ボルケニィウスの食べ物には興味がある。」
白い手が、蓋を開けると真っ白なバター飴がころころと姿を見せる。
「よろしかったらおひとつどうぞ。」
差し出された容器に、好奇心が勝ち過ぎて、発動した鑑定眼が、
その中に一つだけ混じった同色の曹長石をマークする。
「あ、言い忘れてました。一つだけ、石が混じっているので、間違えないでくださいね。」
そうか、これが、『悪戯な仔猫ちゃん』ってことか!
唐突にそう理解したが、サフィールの忠告通り、その表現方法は封印したので口には出さない。
「曹長石か、良く磨いてある。本当に見分けがつかない。」
手にとって比較してみるが、他の飴と見比べても全然見分けがつかない。
僕の為に用意してくれたのだろうか?
そして、飴はどんな味がするのだろう……。
「美味しいが、普通の飴だな。」
舐めても噛んでも普通の飴だった。
その後、未来について話し合った。
一息で、沢山の不安な事を言ってくれた彼女の肺活量に思わず剣を勧めてみたが、
残念ながら、あまり乗り気ではない様だった。
そう言えば、母様に勧めた時も、『女の武器は扇よ。』と言って、
扇で口元を隠して笑っていらしたな。
なんでだろう?
その後もあまり僕との婚約に、前向きではない様だったけど、嫌われている訳では無いみたい。
サフィールの言う通り、推していくしかないと思ったので、
父様や兄様や、サフィールや、ちょっとだけ花屋の真似をして見た。
母様の部屋の恋愛小説も参考にしたけど、ほっぺに手を添えるって、あれで良かったのかな?
一生懸命、口説いて居たら、父様達が帰ってきてしまった。
昼間からお酒を飲んで居るなんて珍しい。
でも、二人で話をできる時間を作ってもらえてよかった。
もうひと押しだ。
「じゃあ、明日から何をして遊ぼうか?」
もう帰りたくないな。
晩餐の準備の為、一度部屋を出た所で、キラキラしないグレナディアが一人増えていた。
弟?
着ているものも違うし、よく見ると違うけど、そっくりだ。
再会の邪魔にならない様に傍で眺めていると、気になる単語が聞えて来た。
「姉上に作って貰った刀が覚醒しました!」
元気のよい声で、グレナディアに報告する内容が気になって声をかける。
「覚醒だと!?」
覚醒とは武器が、魔法を帯びて特殊効果が発動するようになることだ。
使うと追加魔法がかかるものや、武器自体が強化される付加魔法がかかるもの
使用者に付加魔法がかかるものなど色々だ。
だけど、覚醒させた本人と武器でないとそれは発動しない。
武器を扱うものにとって憧れであり、
確かに存在するけれど、めったに目にする事の出来ない奇跡でもあった。
それなのに、目の前の自分と年の変わらないような少年が、
既にその奇跡を手にしていると言うのだ。
話をしてみたい。
刀と言っただろうか?
覚醒した武器を見せて欲しい。
何故か自己紹介の後、睨まれてしまったが、父様に引っ張り出されなければ
質問攻めにしていただろう。
別室に連れて行かれ、落ち着いたら、今日、自分がお見合いに来た事を思い出した。
グレナディアには、呆れられていないだろうか?
さっき貰った曹長石を眺めながら甘い飴の味と、赤い色の女の子を思い出す。
「グレナディア、可愛かったね。」
そう言うと母が驚いた。
病気の可能性まで疑われたけど、サフィに可愛いって言う位なら、アークの方が可愛い。
確かに、女の子に可愛いって言いたくなったのは、初めてかな?
サフィも嫌いじゃない。
大事な友達だ。
一生懸命母に説明しようと思ったけど、もう良いって言われた。
ちゃんと伝わったかな?
まあいいや、グレナディアは剣に興味ないと言ってたけど、ルベルティオはどうだろう?
刀ってどんな武器だろう?
覚醒って何が起きるんだろう?
ああ、ここに来てよかった。
ずっとここに居たい。
0
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。
その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。
そこで待っていたのは、最悪の出来事――
けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。
夫は愛人と共に好きに生きればいい。
今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。
でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。
妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。
過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――
どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~
涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!
わがままな婚約者はお嫌いらしいので婚約解消を提案してあげたのに、反応が思っていたのと違うんですが
水谷繭
恋愛
公爵令嬢のリリアーヌは、婚約者のジェラール王子を追いかけてはいつも冷たくあしらわれていた。
王子の態度に落ち込んだリリアーヌが公園を散策していると、転んで頭を打ってしまう。
数日間寝込むはめになったリリアーヌ。眠っている間に前世の記憶が流れ込み、リリアーヌは今自分がいるのは前世で読んでいたWeb漫画の世界だったことに気づく。
記憶を思い出してみると冷静になり、あれだけ執着していた王子をどうしてそこまで好きだったのかわからなくなる。
リリアーヌは王子と婚約解消して、新しい人生を歩むことを決意するが……
◆表紙はGirly Drop様からお借りしました
◇小説家になろうにも掲載しています
【完結】転生したので悪役令嬢かと思ったらヒロインの妹でした
果実果音
恋愛
まあ、ラノベとかでよくある話、転生ですね。
そういう類のものは結構読んでたから嬉しいなーと思ったけど、
あれあれ??私ってもしかしても物語にあまり関係の無いというか、全くないモブでは??だって、一度もこんな子出てこなかったもの。
じゃあ、気楽にいきますか。
*『小説家になろう』様でも公開を始めましたが、修正してから公開しているため、こちらよりも遅いです。また、こちらでも、『小説家になろう』様の方で完結しましたら修正していこうと考えています。
悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。
楽しんで頂けると幸いです。
※他サイト様にも掲載中です
攻略対象の王子様は放置されました
蛇娥リコ
恋愛
……前回と違う。
お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。
今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。
小説家になろうにも投稿してます。
断罪現場に遭遇したので悪役令嬢を擁護してみました
ララ
恋愛
3話完結です。
大好きなゲーム世界のモブですらない人に転生した主人公。
それでも直接この目でゲームの世界を見たくてゲームの舞台に留学する。
そこで見たのはまさにゲームの世界。
主人公も攻略対象も悪役令嬢も揃っている。
そしてゲームは終盤へ。
最後のイベントといえば断罪。
悪役令嬢が断罪されてハッピーエンド。
でもおかしいじゃない?
このゲームは悪役令嬢が大したこともしていないのに断罪されてしまう。
ゲームとしてなら多少無理のある設定でも楽しめたけど現実でもこうなるとねぇ。
納得いかない。
それなら私が悪役令嬢を擁護してもいいかしら?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる