転生石好き令嬢の生存戦略

ぬるちぃるちる

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舞台裏(リュシオル・ライトブリンガー12)

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ベルが敷布をセットすると、ディーは何事も無かったかのように食事の準備を始めた。
怖い思いをさせたのに、僕が危険にさらした事、全く気にしてない様に見える。
だからといって、許される訳ではないけれど……。

ベルは怒っていた。
僕を信用して、大切なディーを預けたのに、僕はきちんと守れなかった。
怒って当然だ。

落ち込みつつ、自分より大きなフィエブオオムカデの残骸を見ていると
これを切って倒した、ベルが呼びに来た。

「頭をついておいたから、もう動かないよ」
 そんな心配はしていなかったけど、ベルに言われて、
完全に真っ二つなのに、頭を突いておかないと動くのかと、驚いた。
図鑑に書いてあったフィエブオオムカデのサイズよりはるかに大きい。
真っ赤な頭、真っ黒の節の一つ一つが僕の顔より大きい。

「後で一緒に解体しよ。その前にご飯。」
 怒ってるのに優しいベルに促されて、ふかふかのシートに座った。
ベルは隠してるつもりなのかもしれないけれど、
ディーも、ベルが怒っているのを感じて居るらしく、色々ぎこちない。

「ほ、ほら、ベル。たこ焼きよ!中に入ってるのイカだけど!」
 それでも丸いたこ焼き(イカ焼き?)を差し出されると、
パクリとそのまま口にした。

……あ。
密かに憧れていた『あーん』を、目の前でナチュラルにやっている
双子に、複雑な思いを抱く。

だけど、今はそんな事よりも、
ちゃんとグレナディアを護れなかった事で落ち込まなきゃ。
軌道修正して反省再開したのに、こちらを伺うようにちら見してくる二人が気になる。
……また、食べさせっこしてる……。

思わずうめき声をあげた僕に、グレナディアがたこ焼きを差し出して来た。
思いがけず、リュシオルのあこがれのシチュエーションに到達したが……、

「僕には、そのタコを食べる資格がない……。」
 自分の力では護れなかった。
今回、何か一つでも悪い方に転んでいたら、そう考えると、
世界から色が失われるのにも等しい、いや、それ以上の恐怖を覚える。
引き続き、うじうじとしていたら、柔らかくて、口に温かなものが押しあてられ
香ばしいソースの香りがして来た。
思わず口を開いて受け入れる。

グレナディアに食べさせて貰った、たこ焼きは、とても美味しかった。
そして汚れた口をナプキンで拭って満足そうなディーの温かな手を握って
そのぬくもりを自分の頬に移す。
何があっても今度こそ自分が護るのだと言う決意と共に。

「姉上が混乱してるから手を離して。」
 ずっと離したくなかった温もりをベルに取り上げられ、ディーと再び向き合った。

「べ別に、混乱してないし、今回はサフィール様が護って下さったのだからもう良いじゃない!」
 ベルじゃなくて、サフィールが護ったという認識に、ベルもショックを受けている。
そして、この場にいないサフィールの影響力の強さに、僕も凍りついてしまった。

「こういう所も姉上の魅力なのです。」
 知ってるよ。
ディーはどんな時でも魅力的なのだから。

さあ、食後は、フィエブオオムカデの解体だ。
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