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舞台裏(リュシオル・ライトブリンガー13)
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「じゃあ、シオンは、脚を集めて適当に束にして。」
慣れた作業なのだろう、ベルは、小さなナイフで器用に脚を落としていった。
それを僕は集め、渡された干した植物の茎で、適当にまとめていく。
「脚は虫刺されの薬になるから、薬屋に後で売るんだ。」
虫が虫刺されの薬になるのは不思議だと思った。
「肉はドラゴンの餌になる。毒抜きすれば誰でも食べられるけど、
毒抜きしなくても、ドラゴンは、喜んで食べるから。」
税金の代わりに国に納める事もあるそうだ。
王都には竜騎士団あるから、その辺の需要だろう。
ちょっと食べてみたい気もする。
「そして殻!丈夫で軽くてつやつやの殻!防具や馬車の一部、
それから装飾品などにも使われる儲かるやつだから傷つけるなよ。」
ベルは先生としても優秀だった。
「虫とか平気なんだ。」
最後まで処理を手伝ったシオンに思い出したようにベルが言った。
ディーは疲れたのか、パラソルの下で眠っている。
寝顔も可愛い。
「もう既に、虫と思えるサイズを超えているが……、割と平気だ。
ベルは、栗の味がする虫を食べた事ある?」
そう聞いたら、微妙な顔された。
「ないよ。栗の味がするなら、栗を食べれば良いじゃん。栗好きなの?」
シオンは、ベルは父様と一緒かと思った。
ベルはベルで、シオンにフィエブオオムカデが処理すれば人間も食べられる事を
教えたのは失敗だったかもしれないと思った。
食べられるとは言ったけど、人の口には、あまり美味しいものではない。
喜んで食べるドラゴンに与えるべきだろう。
「栗は、好き。」
ベルは何が好きなんだろう?
「殻一枚あげるよ。何かに使うと良い。姉上には内緒な。」
働いた分のお小遣いとして、ベルとシオンで黒いつやつやの殻を一枚づつ
持って帰る事にした。
残りは、ベルが倉庫の中の資材の部屋に移す。
「どうやってばれない様に、持って帰るの?」
結構な大きさの殻を前に困惑して聞くと、
「上着の下に入れてたら、誰も気づかないって。」
この時は楽しくて、ベルのお腹がぽっこりして面白いなと思ったのに
何故か、ばれないと思っていた。
あの後、ディーを起こして、帰ろうって言った時、
フィエブオオムカデに襲われた事に対し、
「私達だけの秘密にしましょうね」
と言うディーが、二人のお腹に気が付かなかったから、
ばれないと言う、妙な自信が付いてしまったのかもしれない。
本邸に、着いた途端、ディーとベルの母様に見つかって、すごく怒られた。
「何故大きいままで……。」
と呟くディーに、次からはきちんと相談しようと思った。
すごく怒っているのは、心配しているからだと解るので、ベルを見習って
真面目に話を聞く。
どの位の時間、そうしていただろうか?
ディーの様子がおかしいと思った。
思わずこっそり見ていると、ばっちり視線が重なった。
そうなるともうじっとしていられなくて、ディーと、さっきまで視線の先に有った
バスケットの前に、割り込むように転移した。
そして、バスケットの中に居る何かに、鑑定眼を使う。
「ねぇ、ディー、聖獣フェニックスって知ってる?」
聖獣フェニックスって、こんなバスケットに入るんだ……。
「このお屋敷の正面玄関のキラキラした鳥のステンドグラス、あれ、フェニックスよ。
ボルケニィウスの家の家紋にもなってるわ。赤やオレンジ色で表現される事が多い火の鳥。
そして、この地における昔話では割とポピュラーな存在よ。実在するかは別にして。」
ディーの解りやすい説明を聞き、じゃあ、やっぱりあのフェニックスだよね?
と、思った。
シオンが好んで読む、冒険ものの伝記にも良く出てくるのだ。
「……実在してるよ。」
そう言って、バスケットに両手を突っ込んで、中の生き物を取り出そうとする。
えー、フェニックスってこんなぷるぷるなのー?
黒くてキラキラしたスライムは、赤い眼を爛々とさせて僕の手の中に収まった。
僕の知ってるフェニックスとは全然違うけど、一応これでもフェニックスらしい。
あ、ベルの前で、二人の母様がゆっくりと倒れるのが見えた。
だけど、手の中にフェニックスが居るから動けない!
慣れた作業なのだろう、ベルは、小さなナイフで器用に脚を落としていった。
それを僕は集め、渡された干した植物の茎で、適当にまとめていく。
「脚は虫刺されの薬になるから、薬屋に後で売るんだ。」
虫が虫刺されの薬になるのは不思議だと思った。
「肉はドラゴンの餌になる。毒抜きすれば誰でも食べられるけど、
毒抜きしなくても、ドラゴンは、喜んで食べるから。」
税金の代わりに国に納める事もあるそうだ。
王都には竜騎士団あるから、その辺の需要だろう。
ちょっと食べてみたい気もする。
「そして殻!丈夫で軽くてつやつやの殻!防具や馬車の一部、
それから装飾品などにも使われる儲かるやつだから傷つけるなよ。」
ベルは先生としても優秀だった。
「虫とか平気なんだ。」
最後まで処理を手伝ったシオンに思い出したようにベルが言った。
ディーは疲れたのか、パラソルの下で眠っている。
寝顔も可愛い。
「もう既に、虫と思えるサイズを超えているが……、割と平気だ。
ベルは、栗の味がする虫を食べた事ある?」
そう聞いたら、微妙な顔された。
「ないよ。栗の味がするなら、栗を食べれば良いじゃん。栗好きなの?」
シオンは、ベルは父様と一緒かと思った。
ベルはベルで、シオンにフィエブオオムカデが処理すれば人間も食べられる事を
教えたのは失敗だったかもしれないと思った。
食べられるとは言ったけど、人の口には、あまり美味しいものではない。
喜んで食べるドラゴンに与えるべきだろう。
「栗は、好き。」
ベルは何が好きなんだろう?
「殻一枚あげるよ。何かに使うと良い。姉上には内緒な。」
働いた分のお小遣いとして、ベルとシオンで黒いつやつやの殻を一枚づつ
持って帰る事にした。
残りは、ベルが倉庫の中の資材の部屋に移す。
「どうやってばれない様に、持って帰るの?」
結構な大きさの殻を前に困惑して聞くと、
「上着の下に入れてたら、誰も気づかないって。」
この時は楽しくて、ベルのお腹がぽっこりして面白いなと思ったのに
何故か、ばれないと思っていた。
あの後、ディーを起こして、帰ろうって言った時、
フィエブオオムカデに襲われた事に対し、
「私達だけの秘密にしましょうね」
と言うディーが、二人のお腹に気が付かなかったから、
ばれないと言う、妙な自信が付いてしまったのかもしれない。
本邸に、着いた途端、ディーとベルの母様に見つかって、すごく怒られた。
「何故大きいままで……。」
と呟くディーに、次からはきちんと相談しようと思った。
すごく怒っているのは、心配しているからだと解るので、ベルを見習って
真面目に話を聞く。
どの位の時間、そうしていただろうか?
ディーの様子がおかしいと思った。
思わずこっそり見ていると、ばっちり視線が重なった。
そうなるともうじっとしていられなくて、ディーと、さっきまで視線の先に有った
バスケットの前に、割り込むように転移した。
そして、バスケットの中に居る何かに、鑑定眼を使う。
「ねぇ、ディー、聖獣フェニックスって知ってる?」
聖獣フェニックスって、こんなバスケットに入るんだ……。
「このお屋敷の正面玄関のキラキラした鳥のステンドグラス、あれ、フェニックスよ。
ボルケニィウスの家の家紋にもなってるわ。赤やオレンジ色で表現される事が多い火の鳥。
そして、この地における昔話では割とポピュラーな存在よ。実在するかは別にして。」
ディーの解りやすい説明を聞き、じゃあ、やっぱりあのフェニックスだよね?
と、思った。
シオンが好んで読む、冒険ものの伝記にも良く出てくるのだ。
「……実在してるよ。」
そう言って、バスケットに両手を突っ込んで、中の生き物を取り出そうとする。
えー、フェニックスってこんなぷるぷるなのー?
黒くてキラキラしたスライムは、赤い眼を爛々とさせて僕の手の中に収まった。
僕の知ってるフェニックスとは全然違うけど、一応これでもフェニックスらしい。
あ、ベルの前で、二人の母様がゆっくりと倒れるのが見えた。
だけど、手の中にフェニックスが居るから動けない!
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