私は、親友の為に目を閉ざした。

私とあなた

　ある日私は、病院の個室で一人の少女と出会った。

　私と少女はすぐに気が合い、仲良くなった。
　毎日のように病院を訪れ少女に会いに行く。
　数日がたったある日私は、少女の病気を知った。
　網膜動脈閉塞症（もうまくどうみゃくへいそくしょう）ストレスからくる病気らしく母親を失ったショックにより発症し、いまだになおっていないらしい…

　私は、少女に言った。
「私は、あなたの痛みを知ることが出来ない…だから私もあなたの痛みを知ることが出来るように、目を瞑るよ。だから、あなたの痛みは私の痛み」
　私は、痛みをまずは感覚として理解するため目に布を巻き目を閉ざす。
　少女は、「そんな…そんなに気にしなくていいよ」と言っているが私は、決めたことはやりきる性分なので寝るときも、風呂のときもタオルを巻いていた。

　目を閉ざした生活を２ヶ月近く続けた頃から、鼻や耳の感覚が、研ぎ清まされていく、目の代わりになろうとしているのだろう。

　それから数日後…私の母親が死んでしまった。
　母のお葬式には、タオル巻いて出れないので、タオルを外してみると、外しているのに目の前が暗い。
　私は、思った。『これで彼女と一緒だ』と…
葬式などが、一段落し私は、彼女に報告しに病院へ。

「私やっとあなたの痛みを理解出来た。あなたと一緒、一心同体ね」
　私が、そう言うと彼女は「私ね。治る見込みが出来たの…だからやっとあなたの顔がみれる」と嬉しそうに話している。
その時、私は思った。



『私は、何のために目を……私とあなたは一心同体だよね…』

　私は、あなたを受け入れた…
あなたも私を受け入れないといけない。

　私は、果物を切るために持ってきたナイフを
そっと手に取り、少女の目を閉ざした。
『これで私とあなたは一心同体だね』