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事の始まり
第1話
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「アリアネス・バレンターレとの婚約は破棄する」。
(あらあら…。)
アリアネスは自分の婚約者が朗々とした声で宣言するのを無表情で聞いていた。オルドネア帝国の国王が主催するパーティー。国王が溺愛する幼い王女の「少人数でのパーティーをしてみたい」との要望で開催された、非公式なものではあるが、この国の有力貴族が集まるこの場でそんなことを言う意味を、彼は本当に分かっているんだろうか。
「あら、やっとあの性悪女と縁を切られるのね。」
「むしろ今まで婚約されていたことのほうが不思議よ!」
周りからくすくすと馬鹿にしたような笑い声が聞こえ始める。
「それで、俺は新しくファニア・フォーリオンと婚約することにする。」
銀髪を後ろに撫で付けた、数えきれない程の勲章を付けた上着を気だるげに肩にかけている男。意志の強そうな眉に、切れ長の青色の瞳。鍛え上げられた身体を包む真っ白な軍服。この国の女性全員を魅了するラシード・コネリオンはいつものように少しだけ気だるげに話を続ける。
「ラシード殿!?そ、それは、どういうことなのですか!?」
婚約者、いや、すでに元婚約者と言ったほうがいいのだろうか。彼に駆け寄ろうとしたところで、兵士に止められたのが私のお父様、イグニス・バレンターレ伯爵だ。いつでも冷静沈着、どんなことがあってむ無表情で黙々と仕事をこなすと評判のお父様の顔は、驚愕のあまり、目を見開いており、怒りからか真っ赤に染まっていた。
「どうしてまたこういう日にそのような冗談を!」
お父様がそういうのも無理はない。今日は私、アリアネス・バレンターレ伯爵令嬢とラシード・コネリオン帝国騎士団長との結婚発表のお披露目式となるはずだったのだから。
それなのにラシード様から出た言葉はまさかの婚約破棄。何も知らされていない父親の取り乱しようは貴族にあるまじきほどで、周りには不快そうに顔をしかめている人々を何人かいる。もちろん、私も今初めて聞いたのだが。
「アリア!どういうことなの!!」
お母様のモリアンも涙目になりながら詰め寄ってくる。ことの重大さをわかっているのだろう。アリアネスはわずか20歳にして「捨てられた女」というレッテルが貼られてしまったのだ。
「俺はそもそもアリアネスみていな女は好みじゃない。いつもツンとしてて、全く可愛げがないだんよな。見た目も、ファニアの方が綺麗な金髪だし、瞳も青くてきれいだしな。性格も可愛らしいし、比べるまでもない」。
「それに、ファニア様は肌も雪のように白くていらっしゃるわ。見て、アリアネス嬢の肌…!」
周囲から聞こえてくる声を聞いて、思わず自分の体を抱きしめる。彼女たちが批判したいのは私の肌だ。社交界にいる誰とも違う浅黒い肌。そして「まるで性格の悪い猫のよう」と言われる吊り上った瞳。「男を惑わす娼婦の体」と言われる胸が張った豊満な肉体。どれだけ撤回をしようとも見た目だけは替えられない。小さいころから批判の的になっていた自分の容姿への悪口。アリアネスは、最早いくら言い訳をしても、誰も評価を改めてくれないことを分かっていた。そんな自分の容姿を唯一、認めてくれた人だと思っていたのに。
そんな全幅の信頼を寄せていた人が自分に侮蔑の目を向けている。
「ラシード様…。」
一方、先ほど婚約者に指名されたファニア・フォーリン子爵令嬢。田舎で母親と一緒に暮らしていたらしいが、フォーリン子爵が若い頃に孕ませたメイドの子供だということが分かり、養子に迎えられた女性だ。まるで妖精のように美しい容姿、天真爛漫な性格から社交界で良いも悪いも話題になっている方だったはず。そんな彼女が熱に浮かされたようにラシードを見つめている。
「そういう訳だ、アリアネス嬢。婚約の話はなかったことにしてもらう。問題はないな、バレンターレ伯爵?」
「くっ!
お父様はラシード様に何も言うことができず、悔しそうな表情でうつむいている。娘がこれだけコケにされても、何も言い返せないのだ。それはラシード様が伯爵家である我が家よりも位の高い侯爵家の人間であることと、今国王の覚えが一番とも言えるこの国最強の騎士団長の座についているからだ。
190センチの長身を持つラシード様が自分の半分ほどの身長しかないファニア様を抱きしめて、アリアネスに向かって虫を払うように手を数回振った。
「アリアネス!何とか言ってちょうだい!」
モリアンが必死にアリアネスの肩を揺さぶる。
何も言わない私を見て、ファニア様は何を勘違いしたのか、「アリアネス様…。わたくし、一生懸命、ラシード様を支えますわ。」と瞳を潤ませ、自分の体をラシード様の方へと傾ける。
「アリアネス!!」
お父様が悲鳴じみた声を上げる。
「いい加減にしていただけませんこと?」
アリアネスが自分の口元を隠していた扇子をぴしゃりと閉じ、凛とした声を響かせる。同時に、一気にフロアが静まり返った。
「なんだ、アリアネス嬢。俺に何か文句あるのか?」
「いいえ、そんなことございませんわ。私はただ、こんな私にこれまで優しくしていただいたラシード様に最後のお礼をお渡ししたいのでございます。」
よよよとよろけつつ、両手で顔を覆う。
「お礼だと?ほぉ、最後に随分と可愛らしいことを言うじゃないか。いいだろう、最後にもらってやる。」
ラシードがやつきながら、アリアネスの傍へと寄ってくる。ファニアが心配げにラシードの服を引っ張るが「大丈夫だ。女に俺がやられると思うのか?」と言って甘い視線を交わしていた。
「さぁ、最後の贈り物とやらをもらおうか?」
「えぇ、贈り物は…、こちらですわ!!!」
「ぐおあ!!」
「きゃああああああ!」
アリアネスは近づいてきたラシードを素早く引き寄せて、膝を彼の股間へと思いっきり叩き込んだ。
「おーっほっほっほ!騎士団長ともあろうお方が情けないお姿ではありませんこと?」
アリアネスは、うめき声をあげて思わずその場に膝をつくラシードを見下し、高笑いを上げる。
「今更、婚約破棄ですって!わたくしがあなたと結婚するために何年無駄にしてきたと思っているのかしら?10年よ!10年!そうですわよね、国王様!」
「あ、あぁそうだな。アリアネス嬢の言うとおりだ。た、ただ、ラシードがどうしてもファニアと結婚したいというのなら、私は止める権利はない。」
幼い王女の世話に奔走していた国王は、最初アリアネスの迫力に気圧されるたが、ラシードという最大の戦力を自分の側に置いておきたいらしく、結局言葉を濁してしまう。
「アリアネス伯爵令嬢がご乱心だ!誰か止めろ!」
兵士がわらわらと寄ってきてアリアネスに触れようとするが「私の体に触らないでちょうだい!」と次々に腹に蹴りを受け、その場に崩れ落ちていく。
「私たちは貴族なのですよ。そのような一時に感情に流されていては、この国を、国民を守ることなどできるはずもありません。武のコネリオン家と文のバレンターレ家が1つになることは、この国の発展へとつながるのです。どうかお考え直しを!」
「…お前のそういう賢しらなところは気に入らない。これは一時の感情ではない。俺はアリアネス嬢とは結婚せずに、ファニアと一緒になる。これは決定事項だ。」
まだ青い顔をしているものの立ち上がったラシードは、アリアネスに冷たい視線を向ける。
「あなたは国よりも、その方を選ぶというのですか?」
アリアネスがファニアに鋭い視線を向けると「ひゃ!」と可愛らしい悲鳴を上げて、ラシードの後ろに隠れてしまった。
「お前には分からないさ。」
(この方は!!)
へらりと笑うラシードを見て、アリアネスの頭が真っ赤に染まる。
「いいでしょう!あなたが好き勝手されるのであれば、私だって好きにさせていただきますわ!そう、あなたは絶対の私と結婚していただきます!」
「へぇ…。どうするつもりだ?まさか騎士団長権限でも使うつもりか?」
鼻で笑うラシードに向かって、アリアネスは扇子を突きつける。騎士団長権限。それは、この国でたった1人の騎士団長が国王から与えられた権利だ。その権利とは「1回だけ、国内を限定としてどんな望みも叶えられる」というものだ。
「えぇ、そのまさかですわ。オルドネア帝国騎士団長殿、これは宣戦布告でございます。あなた様を必ず騎士団長から引きずり降ろして差し上げますわ!私が騎士団長になってあなたは私の旦那様になるのです!」
おーっほっほっほとまた高笑いをした後、呆けた顔で立っているラシードをそのままにアリアネスは紫の美しいドレスをひるがえして優雅に会場を後にしたのだった。
(あらあら…。)
アリアネスは自分の婚約者が朗々とした声で宣言するのを無表情で聞いていた。オルドネア帝国の国王が主催するパーティー。国王が溺愛する幼い王女の「少人数でのパーティーをしてみたい」との要望で開催された、非公式なものではあるが、この国の有力貴族が集まるこの場でそんなことを言う意味を、彼は本当に分かっているんだろうか。
「あら、やっとあの性悪女と縁を切られるのね。」
「むしろ今まで婚約されていたことのほうが不思議よ!」
周りからくすくすと馬鹿にしたような笑い声が聞こえ始める。
「それで、俺は新しくファニア・フォーリオンと婚約することにする。」
銀髪を後ろに撫で付けた、数えきれない程の勲章を付けた上着を気だるげに肩にかけている男。意志の強そうな眉に、切れ長の青色の瞳。鍛え上げられた身体を包む真っ白な軍服。この国の女性全員を魅了するラシード・コネリオンはいつものように少しだけ気だるげに話を続ける。
「ラシード殿!?そ、それは、どういうことなのですか!?」
婚約者、いや、すでに元婚約者と言ったほうがいいのだろうか。彼に駆け寄ろうとしたところで、兵士に止められたのが私のお父様、イグニス・バレンターレ伯爵だ。いつでも冷静沈着、どんなことがあってむ無表情で黙々と仕事をこなすと評判のお父様の顔は、驚愕のあまり、目を見開いており、怒りからか真っ赤に染まっていた。
「どうしてまたこういう日にそのような冗談を!」
お父様がそういうのも無理はない。今日は私、アリアネス・バレンターレ伯爵令嬢とラシード・コネリオン帝国騎士団長との結婚発表のお披露目式となるはずだったのだから。
それなのにラシード様から出た言葉はまさかの婚約破棄。何も知らされていない父親の取り乱しようは貴族にあるまじきほどで、周りには不快そうに顔をしかめている人々を何人かいる。もちろん、私も今初めて聞いたのだが。
「アリア!どういうことなの!!」
お母様のモリアンも涙目になりながら詰め寄ってくる。ことの重大さをわかっているのだろう。アリアネスはわずか20歳にして「捨てられた女」というレッテルが貼られてしまったのだ。
「俺はそもそもアリアネスみていな女は好みじゃない。いつもツンとしてて、全く可愛げがないだんよな。見た目も、ファニアの方が綺麗な金髪だし、瞳も青くてきれいだしな。性格も可愛らしいし、比べるまでもない」。
「それに、ファニア様は肌も雪のように白くていらっしゃるわ。見て、アリアネス嬢の肌…!」
周囲から聞こえてくる声を聞いて、思わず自分の体を抱きしめる。彼女たちが批判したいのは私の肌だ。社交界にいる誰とも違う浅黒い肌。そして「まるで性格の悪い猫のよう」と言われる吊り上った瞳。「男を惑わす娼婦の体」と言われる胸が張った豊満な肉体。どれだけ撤回をしようとも見た目だけは替えられない。小さいころから批判の的になっていた自分の容姿への悪口。アリアネスは、最早いくら言い訳をしても、誰も評価を改めてくれないことを分かっていた。そんな自分の容姿を唯一、認めてくれた人だと思っていたのに。
そんな全幅の信頼を寄せていた人が自分に侮蔑の目を向けている。
「ラシード様…。」
一方、先ほど婚約者に指名されたファニア・フォーリン子爵令嬢。田舎で母親と一緒に暮らしていたらしいが、フォーリン子爵が若い頃に孕ませたメイドの子供だということが分かり、養子に迎えられた女性だ。まるで妖精のように美しい容姿、天真爛漫な性格から社交界で良いも悪いも話題になっている方だったはず。そんな彼女が熱に浮かされたようにラシードを見つめている。
「そういう訳だ、アリアネス嬢。婚約の話はなかったことにしてもらう。問題はないな、バレンターレ伯爵?」
「くっ!
お父様はラシード様に何も言うことができず、悔しそうな表情でうつむいている。娘がこれだけコケにされても、何も言い返せないのだ。それはラシード様が伯爵家である我が家よりも位の高い侯爵家の人間であることと、今国王の覚えが一番とも言えるこの国最強の騎士団長の座についているからだ。
190センチの長身を持つラシード様が自分の半分ほどの身長しかないファニア様を抱きしめて、アリアネスに向かって虫を払うように手を数回振った。
「アリアネス!何とか言ってちょうだい!」
モリアンが必死にアリアネスの肩を揺さぶる。
何も言わない私を見て、ファニア様は何を勘違いしたのか、「アリアネス様…。わたくし、一生懸命、ラシード様を支えますわ。」と瞳を潤ませ、自分の体をラシード様の方へと傾ける。
「アリアネス!!」
お父様が悲鳴じみた声を上げる。
「いい加減にしていただけませんこと?」
アリアネスが自分の口元を隠していた扇子をぴしゃりと閉じ、凛とした声を響かせる。同時に、一気にフロアが静まり返った。
「なんだ、アリアネス嬢。俺に何か文句あるのか?」
「いいえ、そんなことございませんわ。私はただ、こんな私にこれまで優しくしていただいたラシード様に最後のお礼をお渡ししたいのでございます。」
よよよとよろけつつ、両手で顔を覆う。
「お礼だと?ほぉ、最後に随分と可愛らしいことを言うじゃないか。いいだろう、最後にもらってやる。」
ラシードがやつきながら、アリアネスの傍へと寄ってくる。ファニアが心配げにラシードの服を引っ張るが「大丈夫だ。女に俺がやられると思うのか?」と言って甘い視線を交わしていた。
「さぁ、最後の贈り物とやらをもらおうか?」
「えぇ、贈り物は…、こちらですわ!!!」
「ぐおあ!!」
「きゃああああああ!」
アリアネスは近づいてきたラシードを素早く引き寄せて、膝を彼の股間へと思いっきり叩き込んだ。
「おーっほっほっほ!騎士団長ともあろうお方が情けないお姿ではありませんこと?」
アリアネスは、うめき声をあげて思わずその場に膝をつくラシードを見下し、高笑いを上げる。
「今更、婚約破棄ですって!わたくしがあなたと結婚するために何年無駄にしてきたと思っているのかしら?10年よ!10年!そうですわよね、国王様!」
「あ、あぁそうだな。アリアネス嬢の言うとおりだ。た、ただ、ラシードがどうしてもファニアと結婚したいというのなら、私は止める権利はない。」
幼い王女の世話に奔走していた国王は、最初アリアネスの迫力に気圧されるたが、ラシードという最大の戦力を自分の側に置いておきたいらしく、結局言葉を濁してしまう。
「アリアネス伯爵令嬢がご乱心だ!誰か止めろ!」
兵士がわらわらと寄ってきてアリアネスに触れようとするが「私の体に触らないでちょうだい!」と次々に腹に蹴りを受け、その場に崩れ落ちていく。
「私たちは貴族なのですよ。そのような一時に感情に流されていては、この国を、国民を守ることなどできるはずもありません。武のコネリオン家と文のバレンターレ家が1つになることは、この国の発展へとつながるのです。どうかお考え直しを!」
「…お前のそういう賢しらなところは気に入らない。これは一時の感情ではない。俺はアリアネス嬢とは結婚せずに、ファニアと一緒になる。これは決定事項だ。」
まだ青い顔をしているものの立ち上がったラシードは、アリアネスに冷たい視線を向ける。
「あなたは国よりも、その方を選ぶというのですか?」
アリアネスがファニアに鋭い視線を向けると「ひゃ!」と可愛らしい悲鳴を上げて、ラシードの後ろに隠れてしまった。
「お前には分からないさ。」
(この方は!!)
へらりと笑うラシードを見て、アリアネスの頭が真っ赤に染まる。
「いいでしょう!あなたが好き勝手されるのであれば、私だって好きにさせていただきますわ!そう、あなたは絶対の私と結婚していただきます!」
「へぇ…。どうするつもりだ?まさか騎士団長権限でも使うつもりか?」
鼻で笑うラシードに向かって、アリアネスは扇子を突きつける。騎士団長権限。それは、この国でたった1人の騎士団長が国王から与えられた権利だ。その権利とは「1回だけ、国内を限定としてどんな望みも叶えられる」というものだ。
「えぇ、そのまさかですわ。オルドネア帝国騎士団長殿、これは宣戦布告でございます。あなた様を必ず騎士団長から引きずり降ろして差し上げますわ!私が騎士団長になってあなたは私の旦那様になるのです!」
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