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マゴテリアへ
第14話
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「それにしてもアルフォンソ支団長にはどこに行ったら会えるんですかね。」
マリアと別れ、大通りを歩きながらロヴェルがつぶやく。
「確かにそうだな…。」
キウラが立ち止まって考え込んでいると、セレーナが「オルドネアの外交官としていらしてるのであれば、城に部屋が用意されているはずです。」と説明した。
「でもいきなり王城に行っても取り次いでくれるはずないわ。どうしましょう。夜に侵入しましょうか。」
「アリアネス様…物騒なことを言うのはやめてください。」
目を輝かせて提案するアリアネスをロヴェルが溜息をついて止める。
「君たちって行き当たりばったりなんだね。」
後ろからついてきているザガルードが呆れ顔で話す。
「こんな時こそロヴェルの出番じゃないのか?妖精の力でアルフォンソ様を連れてくるとかできないのか?」
キウラがいいことを思いついたとでもいうようにロヴェルに詰め寄るが、ロヴェルは苦笑しながら首を横に振った。
「力を使えばできないこともないですが、ここは王都でバライカの力がとても強くなってます。俺が不用意に力を使えば、俺たちの居場所がすぐにばれて危険なんです。」
「…役立たず。」
「ひどい!」
ロヴェルの説明を聞いていたセレーナが小さな声で罵倒すると、ロヴェルが涙目になって悲鳴を上げた。
「だったらやっぱり夜に侵入するしかないわね。今日の晩にでも…。」
「…お前たち、もっと頭を使ったらどうだ。」
ぎゃーぎゃーと騒いでいるアリアネス達に声がかけられる。
全員が顔を上げると、そこにいたのは苦笑しているアルフォンソだった。
「ア、アルフォンソ様!」
アルフォンソの顔を見たとたんに涙目になったキウラが急いで傍に駆け寄ると、アルフォンソは嬉しそうにキウラの体を受け止めた。
アリアネス達も嬉しそうに駆け寄るが「…ここで騒ぐのは危ない。お前ら馬車に乗れ。」と指示され、近くに止まっていたアルフォンソの馬車に乗り込んだ。
「お前ら、ここが敵国だってこと忘れてんのか。」
全員が馬車に乗り終わり、走り出すと同時にアルフォンソが大きなため息をつく。
「警戒が足りませんでした…。申し訳ありません。」
キウラが気落ちしながら頭を下げると、アルフォンソが「いや、分かればいいんだ。」と急いで言葉を返した。
「…。」
そんな様子をじーっと見つめているアリアネス達の視線に気づいたアルフォンソが一度咳払いをして話題を変える。
「とにかく王都まで来られたみたいで安心したぞ、お前ら。」
「わたくしがいるのですから当たり前ですわ。それにラシード様もご助言をくださいましたし。」
アリアネスが頬を染めると「あの人、やっぱり来たのか。」とげんなりした表情を見せる。
「え?何かあられたのですか?」
アリアネスが聞くとアルフォンソは「いや、なんでもない。」と首を振った。
「騎士団長が来たのなら分かると思うが、俺は今外交官としてこの国に来ている。数日前に到着して交渉に入ったが、まぁーなかなか厳しい状況だ。」
アルフォンソの説明にアリアネス達は熱心に耳を傾ける。
「マゴテリアの貴族どもはもう戦争する気満々だな。王女にも面会を申し入れたが全く反応がない。バライカも加護を受けた奴の居場所も分からねーしな。…そこで頼みの綱がお前だ。」
アルフォンソがニヤッと笑いながらザガルードを指差す。
「俺の所にも騎士団長が来て事情を説明してくれた。お前、マゴテリアの王女の弟らしいな。…お前がいれば王女と面会できるかもしれない。」
「どういうことですか?」
「…この国では王族は僕の姉だけだと思われている。僕は幼少時に死んだことになっているからな。でも死んだはずの弟が現れたとなれば、王女は会わない訳にはいかないだろう。」
ロヴェルが聞くと、ザガルードがめんどくさそうな顔をしながらも丁寧に説明してくれた。
「でも偽物だと言いがかりをつけられ拒否される可能性もあるのでは?」
セレーナが聞くと「それはない。むしろあちらはそんなことはできないはずだ。」とザガルードが即答する。
「どうして?何か根拠でもあるのかしら?」
アリアネスが首をかしげると、ザガルードが首元から何かを取り出した。
「…僕が捨てられた時から持っているネックレスだ。マゴテリアの王家しか持つことが許されない緑の宝石が埋め込まれている。これを見せれば、少なくとも姉に会うことはできるだろう。」
「本当にこの男を探し出してもらって助かったぞ、アリアネス嬢。」
アルフォンソがにやりと笑いかけるのに、アリアネスもまた笑顔で返す。
「ザガルードを探し出した冒険者ということにして、俺がお前たちの身柄を保証する。そうすればお前たちも王城に入ることができるはずだ。俺とザガルードとキウラは王女に会いに行く。アリアネス嬢たちは王城の中にある騎士団で、加護を受けた奴の情報を集めてくれ。」
「分かりましたわ。」
「全力を尽くします。」
アリアネスとセレーナは返事をした後、視線を交わしてお互いに頷いた。
マリアと別れ、大通りを歩きながらロヴェルがつぶやく。
「確かにそうだな…。」
キウラが立ち止まって考え込んでいると、セレーナが「オルドネアの外交官としていらしてるのであれば、城に部屋が用意されているはずです。」と説明した。
「でもいきなり王城に行っても取り次いでくれるはずないわ。どうしましょう。夜に侵入しましょうか。」
「アリアネス様…物騒なことを言うのはやめてください。」
目を輝かせて提案するアリアネスをロヴェルが溜息をついて止める。
「君たちって行き当たりばったりなんだね。」
後ろからついてきているザガルードが呆れ顔で話す。
「こんな時こそロヴェルの出番じゃないのか?妖精の力でアルフォンソ様を連れてくるとかできないのか?」
キウラがいいことを思いついたとでもいうようにロヴェルに詰め寄るが、ロヴェルは苦笑しながら首を横に振った。
「力を使えばできないこともないですが、ここは王都でバライカの力がとても強くなってます。俺が不用意に力を使えば、俺たちの居場所がすぐにばれて危険なんです。」
「…役立たず。」
「ひどい!」
ロヴェルの説明を聞いていたセレーナが小さな声で罵倒すると、ロヴェルが涙目になって悲鳴を上げた。
「だったらやっぱり夜に侵入するしかないわね。今日の晩にでも…。」
「…お前たち、もっと頭を使ったらどうだ。」
ぎゃーぎゃーと騒いでいるアリアネス達に声がかけられる。
全員が顔を上げると、そこにいたのは苦笑しているアルフォンソだった。
「ア、アルフォンソ様!」
アルフォンソの顔を見たとたんに涙目になったキウラが急いで傍に駆け寄ると、アルフォンソは嬉しそうにキウラの体を受け止めた。
アリアネス達も嬉しそうに駆け寄るが「…ここで騒ぐのは危ない。お前ら馬車に乗れ。」と指示され、近くに止まっていたアルフォンソの馬車に乗り込んだ。
「お前ら、ここが敵国だってこと忘れてんのか。」
全員が馬車に乗り終わり、走り出すと同時にアルフォンソが大きなため息をつく。
「警戒が足りませんでした…。申し訳ありません。」
キウラが気落ちしながら頭を下げると、アルフォンソが「いや、分かればいいんだ。」と急いで言葉を返した。
「…。」
そんな様子をじーっと見つめているアリアネス達の視線に気づいたアルフォンソが一度咳払いをして話題を変える。
「とにかく王都まで来られたみたいで安心したぞ、お前ら。」
「わたくしがいるのですから当たり前ですわ。それにラシード様もご助言をくださいましたし。」
アリアネスが頬を染めると「あの人、やっぱり来たのか。」とげんなりした表情を見せる。
「え?何かあられたのですか?」
アリアネスが聞くとアルフォンソは「いや、なんでもない。」と首を振った。
「騎士団長が来たのなら分かると思うが、俺は今外交官としてこの国に来ている。数日前に到着して交渉に入ったが、まぁーなかなか厳しい状況だ。」
アルフォンソの説明にアリアネス達は熱心に耳を傾ける。
「マゴテリアの貴族どもはもう戦争する気満々だな。王女にも面会を申し入れたが全く反応がない。バライカも加護を受けた奴の居場所も分からねーしな。…そこで頼みの綱がお前だ。」
アルフォンソがニヤッと笑いながらザガルードを指差す。
「俺の所にも騎士団長が来て事情を説明してくれた。お前、マゴテリアの王女の弟らしいな。…お前がいれば王女と面会できるかもしれない。」
「どういうことですか?」
「…この国では王族は僕の姉だけだと思われている。僕は幼少時に死んだことになっているからな。でも死んだはずの弟が現れたとなれば、王女は会わない訳にはいかないだろう。」
ロヴェルが聞くと、ザガルードがめんどくさそうな顔をしながらも丁寧に説明してくれた。
「でも偽物だと言いがかりをつけられ拒否される可能性もあるのでは?」
セレーナが聞くと「それはない。むしろあちらはそんなことはできないはずだ。」とザガルードが即答する。
「どうして?何か根拠でもあるのかしら?」
アリアネスが首をかしげると、ザガルードが首元から何かを取り出した。
「…僕が捨てられた時から持っているネックレスだ。マゴテリアの王家しか持つことが許されない緑の宝石が埋め込まれている。これを見せれば、少なくとも姉に会うことはできるだろう。」
「本当にこの男を探し出してもらって助かったぞ、アリアネス嬢。」
アルフォンソがにやりと笑いかけるのに、アリアネスもまた笑顔で返す。
「ザガルードを探し出した冒険者ということにして、俺がお前たちの身柄を保証する。そうすればお前たちも王城に入ることができるはずだ。俺とザガルードとキウラは王女に会いに行く。アリアネス嬢たちは王城の中にある騎士団で、加護を受けた奴の情報を集めてくれ。」
「分かりましたわ。」
「全力を尽くします。」
アリアネスとセレーナは返事をした後、視線を交わしてお互いに頷いた。
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