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青い王子と雨の王冠
王④
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「話は決まったかな?」
ロミィがふわりと天泣の前に降り立つと、その横にドサっと睡蓮の体が落ちてきた。「痛い!」と悲鳴をあげている睡蓮を無視してロミィは天泣に笑いかける。
「この睡蓮って男は僕が貰って行ってもいいかな?どうやらこの男がこの国に黒を持ち込んだ張本人みたいだからね。色々と話を聞きたいんだ。」
「ふ、ふざけるな!私は知らないと何度も言ったはずだ!!」
天泣に向かって喚いている睡蓮の前に水仙が進み出る。それを見て、睡蓮は目を輝かせて少しずつ彼女ににじりよった。
「あぁ、美しい水仙様。ずっとあなたに憧れておりました。私の気持ちは王のようなあなたを壊す恋心ではありません。これはあなたを慈しみ、守るための綺麗な心なのです。どうか私をお褒めください。水仙様!」
「睡蓮…、私はあなたのこと嫌いじゃなかったわ。不器用ながらもこの国のために一生懸命だった。どうして変わってしまったの?」
「一生懸命だけではこの国は救えないのです!そう教えて貰ったんです!この国を、水仙様を、村雲様を守るためには大きな力が必要だと!なにものも飲み込んでしまうような強大な力がないと大事なものは守れないと!」
ハフィが睡蓮の顔を見る。涙でぐちゃぐちゃになった睡蓮の瞳はまるで何かに操られているように虚に見えた。
「ロミィさん!睡蓮さんが!」
「分かってるよ、ハフィ。ここからは僕の仕事だ。」
ロミィが素早くローブを脱ぎ、呪文を唱える。
「ロジィーロ・メフィメフィー!」
「ギィ!!」
睡蓮の口からしゃがれ声が漏れる。苦しむように首をガジガジとかきむしったかと思うと、ガクリと項垂れてしまった。
「あ、あの、睡蓮さん…?」
「ダメだよ、ハフィ。近付いたらダメだ。…君は誰だい?」
ロミィが硬い声音で聞くと、睡蓮がガバリと顔を上げた。その口は避けているかのように深い笑みを浮かべている。
「はは!気付かれちゃった?近くにいたらバレそうだから遠くから操っちゃおうって思ったけど、これもバレるなんてねぇ。」
「何者か聞いている。」
今までにないロミィの真剣な姿にハフィは身を固くする。いつもひょうひょうとしているロミィがこんな風になるほど危険な相手なんだと分かったからだ。
「ふふ。今日は挨拶だけ。近いうちにまた会いに行くよ。その時には名前ぐらいは教えてあげるさ。」
「待て!」
ロミィの言葉と同時に睡蓮の体から力が抜けてその場に倒れ込む。ハフィは睡蓮を助けたいが、先程ロミィから止められた手前動くことができずにいた。
「睡蓮!」
すぐに動いたのは村雲だった。倒れ込む睡蓮の体を抱き起こす。
「睡蓮!睡蓮!?…寝てる?」
村雲はぐーぐーと気持ちよさそうな寝息を立てる睡蓮を見て大きなため息をつく。
「もうその子は安全さ。操っていた奴は出て行ったからね。まぁ、話は聞かせてもらうけれど。」
ロミィがまたローブを被って天泣に向き直る。
「依頼は完了した。それじゃあたっぷりの報酬の話をしようか!」
「ロミィさん!!!」
師匠の空気を読まない発言にハフィは大声で抗議してのだった。
ロミィがふわりと天泣の前に降り立つと、その横にドサっと睡蓮の体が落ちてきた。「痛い!」と悲鳴をあげている睡蓮を無視してロミィは天泣に笑いかける。
「この睡蓮って男は僕が貰って行ってもいいかな?どうやらこの男がこの国に黒を持ち込んだ張本人みたいだからね。色々と話を聞きたいんだ。」
「ふ、ふざけるな!私は知らないと何度も言ったはずだ!!」
天泣に向かって喚いている睡蓮の前に水仙が進み出る。それを見て、睡蓮は目を輝かせて少しずつ彼女ににじりよった。
「あぁ、美しい水仙様。ずっとあなたに憧れておりました。私の気持ちは王のようなあなたを壊す恋心ではありません。これはあなたを慈しみ、守るための綺麗な心なのです。どうか私をお褒めください。水仙様!」
「睡蓮…、私はあなたのこと嫌いじゃなかったわ。不器用ながらもこの国のために一生懸命だった。どうして変わってしまったの?」
「一生懸命だけではこの国は救えないのです!そう教えて貰ったんです!この国を、水仙様を、村雲様を守るためには大きな力が必要だと!なにものも飲み込んでしまうような強大な力がないと大事なものは守れないと!」
ハフィが睡蓮の顔を見る。涙でぐちゃぐちゃになった睡蓮の瞳はまるで何かに操られているように虚に見えた。
「ロミィさん!睡蓮さんが!」
「分かってるよ、ハフィ。ここからは僕の仕事だ。」
ロミィが素早くローブを脱ぎ、呪文を唱える。
「ロジィーロ・メフィメフィー!」
「ギィ!!」
睡蓮の口からしゃがれ声が漏れる。苦しむように首をガジガジとかきむしったかと思うと、ガクリと項垂れてしまった。
「あ、あの、睡蓮さん…?」
「ダメだよ、ハフィ。近付いたらダメだ。…君は誰だい?」
ロミィが硬い声音で聞くと、睡蓮がガバリと顔を上げた。その口は避けているかのように深い笑みを浮かべている。
「はは!気付かれちゃった?近くにいたらバレそうだから遠くから操っちゃおうって思ったけど、これもバレるなんてねぇ。」
「何者か聞いている。」
今までにないロミィの真剣な姿にハフィは身を固くする。いつもひょうひょうとしているロミィがこんな風になるほど危険な相手なんだと分かったからだ。
「ふふ。今日は挨拶だけ。近いうちにまた会いに行くよ。その時には名前ぐらいは教えてあげるさ。」
「待て!」
ロミィの言葉と同時に睡蓮の体から力が抜けてその場に倒れ込む。ハフィは睡蓮を助けたいが、先程ロミィから止められた手前動くことができずにいた。
「睡蓮!」
すぐに動いたのは村雲だった。倒れ込む睡蓮の体を抱き起こす。
「睡蓮!睡蓮!?…寝てる?」
村雲はぐーぐーと気持ちよさそうな寝息を立てる睡蓮を見て大きなため息をつく。
「もうその子は安全さ。操っていた奴は出て行ったからね。まぁ、話は聞かせてもらうけれど。」
ロミィがまたローブを被って天泣に向き直る。
「依頼は完了した。それじゃあたっぷりの報酬の話をしようか!」
「ロミィさん!!!」
師匠の空気を読まない発言にハフィは大声で抗議してのだった。
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