1 / 12
第一章 最弱の始まり
LV.1 努力は報われない
しおりを挟む
努力は報われる。
ずっとそう信じて、努力してきた。
誰に何を言われても、決して諦めることなく、頑張ったはずだった。
でも、世の中、どうにもならないことだってある。
不条理とも言えるような力の差、才能の有無、格の違い。
周りの人間たちと足並み揃えてやってきたはずなのに。
俺だけが、レベル1の雑魚のままだった。
「おお、俺たちにもとうとうレベルが」
中学1年生になると頭上にレベルが見える世界。
俺たちは、都内の学校の体育館で、憧れでもあり、生まれて初めての事態にすっかり興奮しきっていた。
全ての中学1年生たちの頭上に、レベルが表示されるための『レベリング記念式典』が開催された。
今日は、体調も素行も不良の人間達も、この一生に一度のイベントだから、体育館に全員が集まっているだろう。
欠席の生徒にも等しく『レベリング』されるようだが、やはり、人生で最初で最後の行事には死んでも参加したいものだ。
生徒たちの前に立つ理事長が、ごほん、と咳払いをして、俺たちに告げる。
「君たちは、このレベリング記念式典で、レベルを授けられました。レベルは『魔物』から自分の身を守る盾ともなりますが、人を傷つける剣にもなりえます。くれぐれも使い方を誤らないように」
理事長の挨拶もそこそこに、人生のビッグイベントが幕を下ろした。
みんなはこの先の人生に、大きな期待、輝かしい将来を見据えた。もちろん俺もそうだった。
みんなが魔物を狩り始めるまでは。
「よっしゃあ!レベルアップ!」
魔物狩りの授業。支給された直剣を振りかざす男子生徒。頭の上には『LV.5』と表記されている。
魔物狩りの授業は、入学してからもう5回目を迎えている。
なのに、俺だけ。
「あははは、カナト、お前なんでレベル1のまんまなんだよ!」
「うるせっ!」
そう、俺だけが、レベル1のままだった。というか…。
「よっしょあ!見てろよお前ら!」
俺は、目の前の魔物、ゴブリンを見つけて全速力で前進する。直剣をゴブリンの頭に叩きつけて、倒した。
身体中に青く光る粒子が飛び交う。これがレベルアップの印だ。
「よし、これで」
レベルが2になったことが、感覚でわかる。青い粒子で分かるだけでなく、レベルを持つ人間は頭上の表示を見なくても、感覚で理解することができる。
しかし。
「あっ…」
レベルが…
1に戻った。
「ぷっ、あはははは!!マジかよ!!どんな冗談だよ!!」
「はあっ!ちょっ!なんでだあ!!」
意味がわからない。
今わかっていることは、俺はレベルがいくら上がろうが、しばらくすると1に戻ってしまう体質らしいということだ。
「だらしねえな、カナト」
毅然とした佇まいで、俺の前に立ったのは、小学校からのライバル、リョウだった。
授業の中でも高ランクの魔物をたくさん狩ってきた証明として、頭上には『レベル10』を
乗せている。
「リョウ、てめえには負けねえからな!」
「諦めろって。怪我するぞ」
「このやろ!」
飛びかかる俺を、リョウが軽くいなす。その勢いで、体勢を崩した俺は、大木の幹に激突した。
周りの人間たちの、ひそひそと話す声が聞こえる。
「おお、さすがリョウ」
「昔から喧嘩も強いし頭もいいし、基本なんでもできるやつだからなあ、こいつは。レベリングでもされたら逆転できると思ったのによお~。まさか、スキル診断で強度の『氷エレメント』の使い手だったんて、マジですげえよ。」
「それに対して、あいつは…。ガタイも頭も平均的なのに、いつもリョウに突っかかってコテンパンにやられてたもんな。スキル診断の結果だって、地味で弱そうな、『回避』だろ?」
「ウケるよな~。こいつとはたまに遊んでたけど、俺もう遊ぶのやめるわ。落ちこぼれとつるんでるなんて、だせえし」
『レベリング式典』から、リョウはライバルじゃなくなり、今までつるんでいた仲間とも次第に疎遠になった。
落ちこぼれの始まり。
昼休みは、食堂の隅でご飯を食べていた。
入学当初は、小学校からのやつらと4人グループで食ってたのにな。
どうして、レベルが1のままってだけで離れていくんだろう。
みんな結局、自分の価値のために人を選んでいるんだ。
周りを見渡せば、はっきり分かる。レベルの高い集団の塊とそうでない塊、異性にも人気のありそうなやつらとそうでないやつら。
明るいやつらは暗いやつらとは付き合いたがらない。自分が根暗に見られるかもしれないから。
レベルの高いやつらは俺のようなレベル1とは付き合いたがらない。自分が低レベルの雑魚に見られるかもしれないから。
そんなことをぼんやりと考えていると、視界の隅にご飯を入れたトレーが置かれるのを確認できた。
「よっ!」
そうやって、中肉中背の俺の背中を軽く叩く。
見慣れた顔だ。
黒髪にはっきりと見開いた両目。整った顔立ち。女子なのに俺に届きそうな身長。第一印象は絶対と言っていいくらい、しっかり者と称されるほど、しっかりとした印象。
ミツキだ。
物心ついたときからお幼馴染で、家も近いことから、近くの公園でよく遊んでいた。
「なあに、ショボくれた顔してんの、カナト。また、リョウに負けたの?」
俺たち3人は、小学校も一緒だったから、俺がリョウとよくやり合ってることも、もちろん知っている。
リョウに負けた後、悔しがる俺を、茶化しながらもこうやって隣にいてくれる。
「負けてねえよ」
強がるのも、いつものことだ。
「でも、リョウって、ホントにすごいよね。レベリングしてからも相変わらずエリートなんだから。他のやつらも、レベリングしてから見返してやろうと思ってただろうけど、残念ながら、敵わないね」
「ああ、でも、俺は絶対負けねえから」
「うん、あとさ、リョウは『生徒会』の人に声かけられたみたいよ。カナトも知ってるよね?スキルの素質を評価された生徒だけが選抜される、学校でも最強の実力と権限を持つ機関。」
うん、と相槌を打つ。
『生徒会』は俺ももちろん知ってる。ミツキの言う通り、最強の実力と権限を持つ。発足してから10年余が経った今では、勢力が高く教師たちとほとんど対等な力関係にあるらしい。そして、リョウのような、入ったばかりの一年生を勧誘するのは異例中の異例で、認めたくないけど、あいつは、そんな最強の機関にも期待されているみたいだ。
「本当にすごいよ。」
そう言い放つ彼女の表情から、本心でそう言っているのがよく分かった。
「俺だって、いつかは生徒会に入ってやる、ていうかむしろ、超えてやるよ」
「そんなの、無理だって。やっぱり、リョウだけは別格だよ。ああいうのを天才っていうんだね」
「あいつが天才? 大袈裟だろ」
「いや、大袈裟なんかじゃなくて、本当だよ。リョウは、すごい」
なんだよ、それ。
こいつも、いつもリョウのことばっかり。
昔だって、そうだった。3人でいるときはリョウにばっかり話しかけて、俺と2人でいるときもリョウの話が中心になる。
ミツキも、女の子なのにケンカが強く、勉強もリョウ以上にできていた。そして、レベリングされた今では、強度の『風エレメント』の使い手。
リョウだけじゃない、生徒会に目をつけられているのは。
ミツキも、彼らからの期待値が高いことを、噂で知った。
どうして、俺だけが、弱いんだろう。
3人でいるときだって、比べられてきた。なんでこの2人にタケルがいるのか、場違いだ、引き立て役だ、などと言われてきた。
だから、ある日を境に2人に会うのはやめた。
「ごちそうさま。先に教室戻るから」
俺は、そう言って、ミツキの元から離れた。
知ってたんだ。
ミツキが、リョウに惚れていることを。
そして、分かってた。
俺が、ミツキに惚れていることを。だから、リョウに勝ちたかった。
クソッ。
勝ってやる。
俺のことを馬鹿にするやつらも、『生徒会』も、リョウも。
トレーを返却スペースに半ば叩きつけるように置いて、拳を握りしめたまま、教室へ帰った。
リョウとミツキが生徒会に入会したことを、1週間後の全校集会で知った。
壇上に立つ、生徒会のメンバーとその少し前に立つ2人。
2人と同じくらい前に立った、生徒会長が、入学して間もない1年を入会した経緯を説明する。
「みなさん、おはようございます。この度は、我々、生徒会に新たな仲間が加わりました。彼ら2人は、みなさん知っての通り入学してきたばかりの1年生で、戸惑っている方も多いでしょう。しかし、私、いや、私どもは彼らの可能性、将来性を信じることにしました。レベリングして間もない1年生にして、10を超えるレベル。スキルの素質。当会への勧誘以前に彼らの実力そのものが異例であると言えます。」
リョウに対する評価は、噂で聞くのよりも、直接目にする方がずっと悔しい。
会長が続ける。
「この国を支える『双極の結界塔』。魔物の侵入を防ぐ『抗魔塔』と、電気やガスなどの生活に必要な資源が貯蓄されている『生命塔』。先月、この二塔のうちの一つ、『抗魔塔』が破壊された事件から、残る『生命塔』を守る指令が、われわれ生徒会に下りました。それにあたって、生徒会は学校の風紀のみならず外部の活動にも力を入れるべく、彼ら2人を当会に招きました。国の中枢である塔の護衛。1年生には荷が重いことだとは承知ですが、会自体が新たな活動ということもあり、内容を後代に引き継げるように、今のうちに、実力のある1年生に経験を積ませたいという結論に至りました。」
この国を支えてきた『双極の結界塔』の1つ、『抗魔塔』が破壊された事件以来、多くの魔物がこの国に侵入してきた。『抗魔塔』があったときと無かった時では、国内の魔物の個体数の差が一目瞭然で、だから彼らが新戦力としてリョウとミツキを引き抜いたのだろう。
その一方で、俺は選ばれなかった。
俺は、壇上で持て囃される幼馴染2人を、ただ呆然と眺めることしか出来なかった。
ずっとそう信じて、努力してきた。
誰に何を言われても、決して諦めることなく、頑張ったはずだった。
でも、世の中、どうにもならないことだってある。
不条理とも言えるような力の差、才能の有無、格の違い。
周りの人間たちと足並み揃えてやってきたはずなのに。
俺だけが、レベル1の雑魚のままだった。
「おお、俺たちにもとうとうレベルが」
中学1年生になると頭上にレベルが見える世界。
俺たちは、都内の学校の体育館で、憧れでもあり、生まれて初めての事態にすっかり興奮しきっていた。
全ての中学1年生たちの頭上に、レベルが表示されるための『レベリング記念式典』が開催された。
今日は、体調も素行も不良の人間達も、この一生に一度のイベントだから、体育館に全員が集まっているだろう。
欠席の生徒にも等しく『レベリング』されるようだが、やはり、人生で最初で最後の行事には死んでも参加したいものだ。
生徒たちの前に立つ理事長が、ごほん、と咳払いをして、俺たちに告げる。
「君たちは、このレベリング記念式典で、レベルを授けられました。レベルは『魔物』から自分の身を守る盾ともなりますが、人を傷つける剣にもなりえます。くれぐれも使い方を誤らないように」
理事長の挨拶もそこそこに、人生のビッグイベントが幕を下ろした。
みんなはこの先の人生に、大きな期待、輝かしい将来を見据えた。もちろん俺もそうだった。
みんなが魔物を狩り始めるまでは。
「よっしゃあ!レベルアップ!」
魔物狩りの授業。支給された直剣を振りかざす男子生徒。頭の上には『LV.5』と表記されている。
魔物狩りの授業は、入学してからもう5回目を迎えている。
なのに、俺だけ。
「あははは、カナト、お前なんでレベル1のまんまなんだよ!」
「うるせっ!」
そう、俺だけが、レベル1のままだった。というか…。
「よっしょあ!見てろよお前ら!」
俺は、目の前の魔物、ゴブリンを見つけて全速力で前進する。直剣をゴブリンの頭に叩きつけて、倒した。
身体中に青く光る粒子が飛び交う。これがレベルアップの印だ。
「よし、これで」
レベルが2になったことが、感覚でわかる。青い粒子で分かるだけでなく、レベルを持つ人間は頭上の表示を見なくても、感覚で理解することができる。
しかし。
「あっ…」
レベルが…
1に戻った。
「ぷっ、あはははは!!マジかよ!!どんな冗談だよ!!」
「はあっ!ちょっ!なんでだあ!!」
意味がわからない。
今わかっていることは、俺はレベルがいくら上がろうが、しばらくすると1に戻ってしまう体質らしいということだ。
「だらしねえな、カナト」
毅然とした佇まいで、俺の前に立ったのは、小学校からのライバル、リョウだった。
授業の中でも高ランクの魔物をたくさん狩ってきた証明として、頭上には『レベル10』を
乗せている。
「リョウ、てめえには負けねえからな!」
「諦めろって。怪我するぞ」
「このやろ!」
飛びかかる俺を、リョウが軽くいなす。その勢いで、体勢を崩した俺は、大木の幹に激突した。
周りの人間たちの、ひそひそと話す声が聞こえる。
「おお、さすがリョウ」
「昔から喧嘩も強いし頭もいいし、基本なんでもできるやつだからなあ、こいつは。レベリングでもされたら逆転できると思ったのによお~。まさか、スキル診断で強度の『氷エレメント』の使い手だったんて、マジですげえよ。」
「それに対して、あいつは…。ガタイも頭も平均的なのに、いつもリョウに突っかかってコテンパンにやられてたもんな。スキル診断の結果だって、地味で弱そうな、『回避』だろ?」
「ウケるよな~。こいつとはたまに遊んでたけど、俺もう遊ぶのやめるわ。落ちこぼれとつるんでるなんて、だせえし」
『レベリング式典』から、リョウはライバルじゃなくなり、今までつるんでいた仲間とも次第に疎遠になった。
落ちこぼれの始まり。
昼休みは、食堂の隅でご飯を食べていた。
入学当初は、小学校からのやつらと4人グループで食ってたのにな。
どうして、レベルが1のままってだけで離れていくんだろう。
みんな結局、自分の価値のために人を選んでいるんだ。
周りを見渡せば、はっきり分かる。レベルの高い集団の塊とそうでない塊、異性にも人気のありそうなやつらとそうでないやつら。
明るいやつらは暗いやつらとは付き合いたがらない。自分が根暗に見られるかもしれないから。
レベルの高いやつらは俺のようなレベル1とは付き合いたがらない。自分が低レベルの雑魚に見られるかもしれないから。
そんなことをぼんやりと考えていると、視界の隅にご飯を入れたトレーが置かれるのを確認できた。
「よっ!」
そうやって、中肉中背の俺の背中を軽く叩く。
見慣れた顔だ。
黒髪にはっきりと見開いた両目。整った顔立ち。女子なのに俺に届きそうな身長。第一印象は絶対と言っていいくらい、しっかり者と称されるほど、しっかりとした印象。
ミツキだ。
物心ついたときからお幼馴染で、家も近いことから、近くの公園でよく遊んでいた。
「なあに、ショボくれた顔してんの、カナト。また、リョウに負けたの?」
俺たち3人は、小学校も一緒だったから、俺がリョウとよくやり合ってることも、もちろん知っている。
リョウに負けた後、悔しがる俺を、茶化しながらもこうやって隣にいてくれる。
「負けてねえよ」
強がるのも、いつものことだ。
「でも、リョウって、ホントにすごいよね。レベリングしてからも相変わらずエリートなんだから。他のやつらも、レベリングしてから見返してやろうと思ってただろうけど、残念ながら、敵わないね」
「ああ、でも、俺は絶対負けねえから」
「うん、あとさ、リョウは『生徒会』の人に声かけられたみたいよ。カナトも知ってるよね?スキルの素質を評価された生徒だけが選抜される、学校でも最強の実力と権限を持つ機関。」
うん、と相槌を打つ。
『生徒会』は俺ももちろん知ってる。ミツキの言う通り、最強の実力と権限を持つ。発足してから10年余が経った今では、勢力が高く教師たちとほとんど対等な力関係にあるらしい。そして、リョウのような、入ったばかりの一年生を勧誘するのは異例中の異例で、認めたくないけど、あいつは、そんな最強の機関にも期待されているみたいだ。
「本当にすごいよ。」
そう言い放つ彼女の表情から、本心でそう言っているのがよく分かった。
「俺だって、いつかは生徒会に入ってやる、ていうかむしろ、超えてやるよ」
「そんなの、無理だって。やっぱり、リョウだけは別格だよ。ああいうのを天才っていうんだね」
「あいつが天才? 大袈裟だろ」
「いや、大袈裟なんかじゃなくて、本当だよ。リョウは、すごい」
なんだよ、それ。
こいつも、いつもリョウのことばっかり。
昔だって、そうだった。3人でいるときはリョウにばっかり話しかけて、俺と2人でいるときもリョウの話が中心になる。
ミツキも、女の子なのにケンカが強く、勉強もリョウ以上にできていた。そして、レベリングされた今では、強度の『風エレメント』の使い手。
リョウだけじゃない、生徒会に目をつけられているのは。
ミツキも、彼らからの期待値が高いことを、噂で知った。
どうして、俺だけが、弱いんだろう。
3人でいるときだって、比べられてきた。なんでこの2人にタケルがいるのか、場違いだ、引き立て役だ、などと言われてきた。
だから、ある日を境に2人に会うのはやめた。
「ごちそうさま。先に教室戻るから」
俺は、そう言って、ミツキの元から離れた。
知ってたんだ。
ミツキが、リョウに惚れていることを。
そして、分かってた。
俺が、ミツキに惚れていることを。だから、リョウに勝ちたかった。
クソッ。
勝ってやる。
俺のことを馬鹿にするやつらも、『生徒会』も、リョウも。
トレーを返却スペースに半ば叩きつけるように置いて、拳を握りしめたまま、教室へ帰った。
リョウとミツキが生徒会に入会したことを、1週間後の全校集会で知った。
壇上に立つ、生徒会のメンバーとその少し前に立つ2人。
2人と同じくらい前に立った、生徒会長が、入学して間もない1年を入会した経緯を説明する。
「みなさん、おはようございます。この度は、我々、生徒会に新たな仲間が加わりました。彼ら2人は、みなさん知っての通り入学してきたばかりの1年生で、戸惑っている方も多いでしょう。しかし、私、いや、私どもは彼らの可能性、将来性を信じることにしました。レベリングして間もない1年生にして、10を超えるレベル。スキルの素質。当会への勧誘以前に彼らの実力そのものが異例であると言えます。」
リョウに対する評価は、噂で聞くのよりも、直接目にする方がずっと悔しい。
会長が続ける。
「この国を支える『双極の結界塔』。魔物の侵入を防ぐ『抗魔塔』と、電気やガスなどの生活に必要な資源が貯蓄されている『生命塔』。先月、この二塔のうちの一つ、『抗魔塔』が破壊された事件から、残る『生命塔』を守る指令が、われわれ生徒会に下りました。それにあたって、生徒会は学校の風紀のみならず外部の活動にも力を入れるべく、彼ら2人を当会に招きました。国の中枢である塔の護衛。1年生には荷が重いことだとは承知ですが、会自体が新たな活動ということもあり、内容を後代に引き継げるように、今のうちに、実力のある1年生に経験を積ませたいという結論に至りました。」
この国を支えてきた『双極の結界塔』の1つ、『抗魔塔』が破壊された事件以来、多くの魔物がこの国に侵入してきた。『抗魔塔』があったときと無かった時では、国内の魔物の個体数の差が一目瞭然で、だから彼らが新戦力としてリョウとミツキを引き抜いたのだろう。
その一方で、俺は選ばれなかった。
俺は、壇上で持て囃される幼馴染2人を、ただ呆然と眺めることしか出来なかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
軽トラの荷台にダンジョンができました★車ごと【非破壊オブジェクト化】して移動要塞になったので快適探索者生活を始めたいと思います
こげ丸
ファンタジー
===運べるプライベートダンジョンで自由気ままな快適最強探索者生活!===
ダンジョンが出来て三〇年。平凡なエンジニアとして過ごしていた主人公だが、ある日突然軽トラの荷台にダンジョンゲートが発生したことをきっかけに、遅咲きながら探索者デビューすることを決意する。
でも別に最強なんて目指さない。
それなりに強くなって、それなりに稼げるようになれれば十分と思っていたのだが……。
フィールドボス化した愛犬(パグ)に非破壊オブジェクト化して移動要塞と化した軽トラ。ユニークスキル「ダンジョンアドミニストレーター」を得てダンジョンの管理者となった主人公が「それなり」ですむわけがなかった。
これは、プライベートダンジョンを利用した快適生活を送りつつ、最強探索者へと駆け上がっていく一人と一匹……とその他大勢の配下たちの物語。
クロワッサン物語
コダーマ
歴史・時代
1683年、城塞都市ウィーンはオスマン帝国の大軍に包囲されていた。
第二次ウィーン包囲である。
戦況厳しいウィーンからは皇帝も逃げ出し、市壁の中には守備隊の兵士と市民軍、避難できなかった市民ら一万人弱が立て籠もった。
彼らをまとめ、指揮するウィーン防衛司令官、その名をシュターレンベルクという。
敵の数は三十万。
戦況は絶望的に想えるものの、シュターレンベルクには策があった。
ドナウ河の水運に恵まれたウィーンは、ドナウ艦隊を蔵している。
内陸に位置するオーストリア唯一の海軍だ。
彼らをウィーンの切り札とするのだ。
戦闘には参加させず、外界との唯一の道として、連絡も補給も彼等に依る。
そのうち、ウィーンには厳しい冬が訪れる。
オスマン帝国軍は野営には耐えられまい。
そんなシュターレンベルクの元に届いた報は『ドナウ艦隊の全滅』であった。
もはや、市壁の中にこもって救援を待つしかないウィーンだが、敵軍のシャーヒー砲は、連日、市に降り注いだ。
戦闘、策略、裏切り、絶望──。
シュターレンベルクはウィーンを守り抜けるのか。
第二次ウィーン包囲の二か月間を描いた歴史小説です。
異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる
家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。
召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。
多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。
しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。
何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。
ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた
ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。
今の所、170話近くあります。
(修正していないものは1600です)
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる