Room 510

ふっきれる

貴方って最近特に吹っ切れたと言うか心の底から気持ちよさそうね。

はい、貴女のおかげです。
ひとつ、私の脳内で結論が出たこと。
ひとつ、私の変態愛を貴女が受け入れてくれるのでどんどん素直にさらけ出せていること。

貴方は救いがないぐらい変態ね。
「お願い」の内容に最初は驚いた。次に驚きを通り越して「感心」するようになった。最近では笑いがこみ上げてくるわ。またとんでもないおね
だけど本気でわたしが嫌がることはしないからね。だから付き合っていられるのよ。

強引だったり被虐的なプレイは好みですが、本気で泣き叫んで嫌がる相手をいたぶると言うのは…

ちょっと考えて続ける。

まぁその、やってみたかと言われたらやってみたいです。
ですが「今日は私の好きにさせてください」とお願いして同意を貰わないととてもする気になれません。
傍から見ればどんなに変態で異常なプレイであっても、SEXはやはりふたりで楽しむべきものだと思います。ひっくり返せばふたりが楽しめて世間様にご迷惑を掛けないなら好きにしたら良いと思います。

…それだけいろいろ考えていても、変態なことが好きなのね。
なんで？

それがわかったら本当に苦労しないんですよね。
性欲は本能的なものなので誰にでもあるとは言え、なぜこんなに多様なのか。
生殖するためには当たり前ですが生殖行為をおこなう必要がありますね。
だから生殖行為をおこなう種が残った。
これが自然淘汰。
260万年ほどの時間を掛けて今の人類、私たちがいます。
この260万年の間に人類種でも生き残れなかった種がいるわけです。
我々は生き残れた。いわば生殖のエキスパートです。

なのに。
なのになぜこんなに変態性癖で溢れているのでしょう。
同性愛やアナル志向は別に現代に「発見」された性癖ではありません。
語弊があるかもしれませんが歴史ある文化とさえ言えるでしょう。
異性とSEXすることがなく生涯を終えればその個体の遺伝子は後世に残りません。
異性とSEXすることに興味を持てない遺伝子は絶えるはずなのです。
しかし絶えていない。
もちろん私みたいにふつうのSEXが好きで、そのうえ変態性癖持ち…と言うパターンも多いでしょう。

今、Amazonなどをみればアダルトグッズが山のようにラインナップされています。
申し上げたとおり性癖は正常な人間の欲求であり、誰もが持っていて当然です。
相手がいなければ自慰で代償する必要もあります。
それを手助けしてくれるグッズが売れるのもうなずけます。

ですが、パートナーと変態行為を楽しむためのグッズが大変多いですね。
人間には好奇心が備わっています。
そして、同じことの反復には飽きるようにできています。
常に新しいことを、知らないことを本能的に求めるようにできているのです。

脳内報酬システムが動機の大きな要因でしょう。
例えとしては「お腹がすけばご飯が美味しそうに見える」がわかりやすいでしょうか。
はち切れそうなほど満腹だと「もうご飯なんか見たくない」になる点も重要です。

私たちは新しいことを求め、知ることを求め、美しいことを求め、本能的欲求の充足を求め歩み続けるのです。


根本的に脳の結線が通常と異なる真の変態さんはさておき、正常範疇の個体でも同じSEXを繰り返せば飽きがきます。
恥ずかしいことでも後ろめたいことでもなく正常な反応です。
ふつうのSEXには飽きた。もっと言えばパートナーに飽きた、もっと進むと異性に飽きた。
どこまで進むかは個体差が大きいと思いますが、飽きる特性がヒトにある以上「ちょっと日常を逸脱する」ことで新たな刺激を得ようとするチャレンジには合理的な理由があります。なお社会倫理的に適合するかはここでは問いません。

ですからAmazonではちょっと刺激的なアダルトグッズが売れるのでしょう。
使用することで背徳感や非日常感がスパイスされる。このSEXに興奮を覚えるとスパイス抜きでは満足いく刺激が得られなくなるかもしれません。
また、パートナーと秘密を共有する一体感も幸福感を与えることでしょう。

最初は１の刺激で満足だったが、繰り返すことで慣れてしまった。
さらに強いい２の刺激を求める。
そして３の刺激を。
そしていずれは１０になり、２０になる。
どこまで突き進むのかは個体の持つ好奇心、性欲、社会倫理感などが影響することでしょう。
この点で私はわりと進んでしまった方だと自覚しています。


さて欲求には段階があります。

まずは認知。
それを知らないことには、起草しないことには欲求の起こりようがありません。

続いて渇望。
「ほしい！」とか「知りたい！」とか「やりたい！」です。

ここで欲求が満たされれば報酬系が働いて幸福感を得られるわけです。
満たされないと代償行為に走るか犯罪に走るか我慢するかの三択です。


私は長く渇望していました。
エロ漫画なりエロ動画といった代償行為にも手を染めました。
脳内が乙女なので見知らぬ女性と肌を合わせる気になれず風俗にはいきませんでした。
行っていたらそれはそれで突き進んでいたように思えます。

代償行為としてオナニーを選んだわけですが、当然「オカズ」にも飽きます。
飽きればより強い刺激を求めてさまい続けました。

最初はSEXしている動画を見る、漫画を読む。
輪姦、拘束、コスプレなどシチュエーションのバラエティを広げだす。
アナルSEXなどより過激なプレイに進む。
挿れるだけではなく、出す浣腸プレイに進む。
最終的に排泄へとすごろくのように駒を進め「やってみたい！」が強化されていきました。
貴女と出会う直前の私は積もり積もった欲求不満の成れの果てだったのです。

ですが、どんなに過激な内容であってもエロ漫画もエロ動画もフィクションです。脳内妄想はカーストの頂点まで上り詰めました。しかし現実は一歩も進んでいません。
よく言われる例えで恐縮ですが「F1レースゲームをどれだけやっても自動車の運転ができるようにならない」ですね。
ただ虚しさが募るだけで、実際の浣腸プレイがうまくなるわけでもなんでもありません。

満たされぬ思いは積り続け、オナニーのオカズは過激な刺激を求める一方。
出口のない螺旋階段を下り続けるようなものでした。
それがどんなに暗黒への道であっても私は他の道を知らず、ただただ降りていくしかなかったのです。
そしてきっと、同じような道を辿っている仲間も多くいるのだろうと思います。

そんな破滅への道を歩む中、私は幸運にも貴女に出会いました。
世界人口８０億人。
自由恋愛が許され安全で楽しいSEXライフをおくれる環境にある国や地域はそう多くありません。
また、その環境にいてもパートナーに恵まれないケースが多々あります。
ましてや変態をこじらせた異常性欲者であればますます門戸は狭い。

本当に、ほんとうに幸運です。
貴女というすばらしいパートナーとめぐり逢いました。
果てしない彼方まで行ってしまった妄想に対し、はじめて現実が一歩を踏み出したのです。
追いつくことはかなわないでしょう。
それでも光速と音速ほどの差があったとしても進んでいることは事実なのです。
欲求が満たされ報酬系が働く。私は貴女といることで幸福の原点、そして到達点にいるのです！

私は忘れません。
はじめて浣腸器にお湯を入れてシリンダーをはめた時。スムーズすぎて先端からピュっとお湯が飛び出て驚きました。
はじめて貴女のアナルに浣腸器を挿入した感覚。押し込んだ時の抵抗感。大気中だとあんなに軽く動いたのに腸内に注入するには思いのほか力でねじ込む必要があるのですね。
この調子で心の感動体験を軽く３０万文字ぐらい語れそうですが割愛します。

そして最近はSだけでなくMの歓びも教えていただきました。
最初はおおいに戸惑いましたが、これはとても刺激的です。
なにより貴女もとても楽しそうです。

溺れるように貴女とのSEXに耽（ふけ）っているわけですが、当初はこれでいいのかと自問しました。

貴女をふつうに愛するだけでなく、変態プレイに参加させるわけですから。
人生の貴重な時間を私との変態時間に割かせていいものなのか。
もし私と別れたとしてその後貴女はふつうのパートナーとSEXして満足できるのか。
このように心配しておりました。

しかし貴女から「わたしは自由意志で参加している。お前の言いなりではない。なめんな」と言われてスッキリ解決しました。
大変自己中心的かつ上から目線。失礼千万だったと深く反省しております。

そして、先ほども少し触れたようにこのような恵まれた環境におかれた幸運を、頼まれもしないのに他者に遠慮する必要はないと思い至りました。
幸せを享受できる今の状況も永続が約束されたわけではありません。
私たちの時間をどのように過ごそうと社会にご迷惑を掛けない限り自由でよいのです。
そして貴女はこんな私を愛し、受け入れてくれる。
私も貴女を心から愛している。
ならば、このすばらしい時間を心の底から堪能しないなんて不遜が過ぎる。
これが私の結論です。

この結論に達するまでずいぶんと悩みました。
吹っ切れた今は思う存分貴女との快楽に溺れたいのです。

もう、ビシバシやっちゃってください。