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狼の家②
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目前に現れたのは、尖った獣の耳だった。
こげ茶の毛に覆われた三角の耳が、ぼさぼさの金髪の中からピンと立ち上がっている。
ジャックは思わず手を伸ばしてそれを摘まんだ。メイジーは一瞬非難めいた視線を向けるも、黙ってされるがままになっている。
「……確かに、良くできてる」
「だから、造り物じゃない。本物だ」
「だって、メイジーには耳がついているじゃねぇか、ちゃんと顔の横に」
「でも、これも本物だ。頭から生えている。小さな頃から」
ジャックは髪を掻き分け確かめる。耳の付け根は確かに、頭皮と一体化していた。
「すげー」
「なんだその感想は。気持ち悪くないのか?」
「別に」
驚いたことは驚いたが、不快感はない。ジャックはなぜかすんなりと、狼少女の存在を受け入れていた。
人間だって元は獣なわけだし、突然変異で獣の耳が生えることもあるのかもしれない。世界は不可解なもので満ちているのだ。
「ジャックはやっぱりおかしな大人だ」
メイジーは藪の中にしゃがみこみ、膝を抱える。ジャックもその横に屈んだ。
こげ茶の毛に覆われた三角の耳が、ぼさぼさの金髪の中からピンと立ち上がっている。
ジャックは思わず手を伸ばしてそれを摘まんだ。メイジーは一瞬非難めいた視線を向けるも、黙ってされるがままになっている。
「……確かに、良くできてる」
「だから、造り物じゃない。本物だ」
「だって、メイジーには耳がついているじゃねぇか、ちゃんと顔の横に」
「でも、これも本物だ。頭から生えている。小さな頃から」
ジャックは髪を掻き分け確かめる。耳の付け根は確かに、頭皮と一体化していた。
「すげー」
「なんだその感想は。気持ち悪くないのか?」
「別に」
驚いたことは驚いたが、不快感はない。ジャックはなぜかすんなりと、狼少女の存在を受け入れていた。
人間だって元は獣なわけだし、突然変異で獣の耳が生えることもあるのかもしれない。世界は不可解なもので満ちているのだ。
「ジャックはやっぱりおかしな大人だ」
メイジーは藪の中にしゃがみこみ、膝を抱える。ジャックもその横に屈んだ。
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